雨合羽
武士は、雨の日もよく出かけている。
ビニール傘を差し、ふらふらと散歩をする。ビニール傘が弾く雨の音や、あえて入る水溜りの感触が楽しいらしい。
というのは、以前書いたと思う。
追記。
「びにーるの合羽が欲しい」
なんか、新規の要求をされた。
何? ビニールの、合羽?
「こう……頭からガバッと被ってな。それで雨の中を行くのだ。幼き子が使っておってな、実に便利と思ったのである」
ほう。
え、ビニール傘でいいじゃん。
「……」
何その目ー。
不満を目に託して訴えんじゃねぇよ。言葉でコミュニケーション取れやジャパニーズ・サムライ。
「……」
もー、分かった分かった。
そんじゃお店行くか。
「かっぱぱっぱ」
なんだその反応。嬉しいのか。
というわけで一時間後、青色のでっかいてるてる坊主が爆誕した。
ちょんまげとか邪魔そうだけど。これで出歩いてたらまあまあ通行人からビクッとされるだろうけど。
「うむ!!!!」
武士は満足そうである。
なら、まあいいか。
「では行ってくる!」
おう、行ってらっしゃい。
で、その後日。
警官殿が、うちに来た。
「最近、雨の日に歌う青色の巨大なてるてる坊主が出没するとの通報が入ったのですが、心当たりは……」
……。
無いです。
「いや、武士……」
無いです。
「今ベランダに干してる雨合羽……」
無いです。
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