小説
趣味で小説を書いている。
書き上げればインターネット上で公開し、たまに反応があれば嬉しい。それなりに時間は食われるが、金がかからないいい趣味だと思う。
で、何故突然こんな話をしたかというと。
武士にバレたのである。
「読みたい」
武士は私の前に正座すると、そう言った。
いや、誰が読ませるか。
「何故だ。そこに行けば誰でも大家殿が書いたものが読めるのだろう? 某とてその内の一人ではないのか」
嫌なもんは嫌なんだよ。
小説なんざアレ、自分の性癖を文章化したようなもんじゃないの。
ヤダよ同居人に性癖博覧会ブック叩きつけるの。お前も嫌がれよ。
ほら、せーのでやっぱ見たくないでござるって言おう。
せーのっ。
「見たい」
しつけぇなコイツ。
私は、一向に正座を崩す様子の無い武士に呆れ果てた。
大体、私がどんな小説書いてると思ってるんだ?
「そりゃあ、心優しき大家殿のことだからな。桜の咲く頃に出会った男女が互いに想い合うも、片方が病気で先が長くなく、だが最後には全てを超えて結ばれるような、そんな“らぶすとおり”を書いておるに違いない」
一息で言い切ったな。
しかしお前、私をそんな風に思っていたのか……。
「違うのか?」
うん、違うね。
私が書いてるのはホラーですよ。
「ほら?」
ほら話だと意味合い違ってきちゃうな。間違いではないけど。ホラーだよホラー。
おばけ。幽霊。妖怪。ヒュードロドロ。
「……」
まあ、お前がどうしても読んでみたいと言うなら、仕方ない。私も感想とか欲しいしね。大丈夫大丈夫、それほど怖くもないから。
……おい、どこへ行くんだ武士。まだ話は終わってねぇぞ。
は? 筋トレ? こんな時間に? 行くのはいいけど私の話聞いてけ、な? これは最近聞いた都市伝説の一つなんだけど……。
待てよ、武士! オイ! お前が言い出したんだろ! 待てコラ聞いてけえええええ!!
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