第66話 村人たちとの別れ

 愛理達は荷物をまとめ、馬車へと乗り込む。ノイック村には、早朝らしく濃い霧がかかっていた。


「あんた達が出て行ってくれて、部屋が広々としてせいせいするよ」

「カティアさん……」

「けど、いつか戻っておいで。あんた達の部屋は開けとくことにするから」

「ううううう。カティアおばさーん。うわーん」


 カティアに一番懐いていた朋世は耐え切れなくなり、泣き出してしまった。巨大セントバーナド犬のカッシーナが彼女に向かって別れ際にバウと一吠えした。


「マリーねぇさん。ううう」

「美砂ちゃん。いつでも戻って来てね。うちの看板娘は貴方なんだからね」

「はい、必ず!」


 美砂はしゃくり上げながらも返事を返す。


 後ろに嫌な感触がしたので、彼女が振り返ると、ミーシャがいつの間にか馬車に乗っていた。美砂は遠慮なくミーシャを馬車の外に放り投げる。


 アンドレを筆頭にした親衛隊は皆涙していた。


「それじゃあ、皆」


 愛理は手を振り別れを告げる。


「達者でねー」

「必ず戻って来てくださいねー」


 村人から様々な声が飛んできた。


 エレメンタリーズも見送りに来ていたのだが、その中にサラマンディーの姿はなかった。彼女らしいなと愛理は思った。


 馬車が車輪の音を立て、発進する。


 愛理が窓から上空を見上げると、ライラが空を舞っていて、彼女達に向け手を振っていた。

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