第23話 温泉回 2

 三人がはしゃいでいると、脱衣所へと続く扉が開いた。スレンダーな体型をした裸の少女が現れる。


「チッ。マズい奴等と鉢合わせしちまった」


 そう発したのは、エレメンタリーズのサラマンディーだった。


「おろ? サラマンちゃんだ。ヤッホー」


 朋世は手を振る。


「お、おぅ」


 サラマンディーはバツが悪そうに小さく手を上げる。


「わー。温泉楽しみだねー」


 サラマンディーの後ろからぞろぞろと美少女達が出て来る。エレメンタリーズのご一同であった。

 アリスティーが知事になってから1ヶ月。両アイドルユニットが顔を合わせるのは、知事選以来にであった。

 サラマンディーと愛理の視線が合う。中空でバチッと火花が散った。


「ウェンディーさん、おひさですニャー」


 愛理と違い、エレメンタリーズにライバル意識を持っていない朋世はお気楽に手を振る。


「朋世ちゃーん。おひさー」

「ウエンディーさん。体の洗いっこしよっか? 背中流すニャ」

「あら、いいですわね。じゃあ私も朋世ちゃんのお背中を洗います」


 朋世とウェンディーは、きゃきゃとはしゃぎながら洗い場に行く。美砂とシルフィとノームも挨拶を交わしつつ、洗い場に行った。


「朋世ちゃんの胸、とても大きいわね」

「ひゃん。もう、ウェンディーさん。揉んだら駄目ですニャ」


 どさくさにまぎれて、朋世の胸に手を滑らせるウェンディー。彼女も爆乳の持ち主であった。


「シルフィーさんの胸……とても小さいですね……」

「あ、あんたも小さいじゃないのよ!」


 美砂とシルフィはいつの間にかパイ比べをしている。成る程、お互い隆起が少ない。どちらが大きいかなどと議論しているが、ハッキリ言ってどんぐりの背比べ状態。

 洗い場できゃきゃと乙女の嬌声を上げ、盛り上がっているのに対し、湯船の中では愛理とサラマンディーがまんじりともせずにいた。


「負けたとなんか思ってねーからな」


 サラマンディーがポツリと漏らす。


「……なによ。この前の知事選のこと? こっちも勝ったとは思ってないわ。僅差の勝負だったし、実力は互角だし」

「分かってるんならいいんだよ」

「次もお互い、いいライブをしたいわね」


 愛理はスッと手を差し出す。サラマンディーは邪険そうにその手を叩いた。


「いたー。ちょっと何すんのよ?」

「馴れ合う気はねーっての。アリスティーとエレメンタリーズはずっとライバルだ。アンダースタン?」

「もう」


 愛理は膨れ顔をし、湯の中に半分顔を沈めた。口からぽこぽこと気泡が浮き出る。


「ときにお前等さ。なんで、フンザン温泉なんかに来たの?」

「明日、フンザン山の火口を視察することになったの。なんでも、フンザン山に噴火の兆しがあるみたいなの。それが終わったら、オーツ村で戦争被災地の現地視察」

「フ、フンザン山に入るのか?」

「そうだけど。何か問題が?」

「そ、そうか。あそこは火山だからな。たしかに、いつ噴火するか分からないよな……」

「そういうサラマンディーは何でここに来たの? やっぱり温泉?」

「そ、そう。温泉で湯治だ。日頃の疲れを癒やさなきゃだしな。いやー、あたしらくらいの人気グループになるとつらいぜー」

「そう。それじゃ、ごゆっくり」


 愛理は言い残し、湯から上がった。引き締まった彼女の艶めかしい裸体が露わになる。ちなみに、バストは人並みの大きさであるが、すごぶる形が良い。所謂、お椀型である。


 アリスティーの皆も湯から上がり、バスタオルで裸体を包みつつ、腰に手を当てフルーツもどき牛乳を飲んだ。風呂上りにこれをやるのは、この世界でもお約束のようである。


 その後、夕飯を食べ、もう一度温泉に浸かった。


 かくして、愛理達は湯治に宿の食事にと、温泉の醍醐味を満喫した。知事としての激務が続いていたアリスティーだが、いい休養日となった。

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