シールドマシン
『その機械はおそらく使えないからです』
その言葉に呆然となる
「
それでももし、シールドマシンを動かそうと思えば、この都市に供給できる電力は三分の二以下になってしまうでしょう。現在でも必ずしも十分とは言えない電力の三分の一以上を費やしてしまっては、人命にも係わる事態です。現実的ではありません。
また、電力の供給をすべて有線によって行っていること、規格が適合しないこと、それでもなお電力を供給しようと思えば大規模な改修が必要になること、それらすべてをクリアしてもおそらくそれ以外にも多くの問題が出るでしょう。シールドマシンと呼ばれる所以のパネルの供給も、現在の技術では困難を極めると思われます。
よって、事実上、運用は不可能だと考えられます。運用できない以上は
明日、私は、それを確認する為にシールドマシンを見に行こうと思います。確認してからでなければ、確定的なことは申し上げられませんので」
そして、この時ひめが
翌日、そのシールドマシンを確認する為に、調査チームの
「やはり……小型とは言え重掘削用のシールドマシンですね。これを動かす為には、あの地熱発電所が理論上出しうる出力の三分の一を要します。高出力なリアクターが近くにないと完全には動作しません。おそらく、ここの電力を賄っていた発電設備が機能を失い、その為に放棄されたのだと思われます。
もしこれを動かすとなれば、発電所の能力を少なくとも今より五十パーセント上げ、さらに有線で給電する為の大規模な改修が必要になるでしょう。さらにはシールド工法の為のパネルがないところを見ると、パネルの補充を行わないまま掘削を行っていたようです。トンネルを補強する為のパネルを設置せずに掘削したことで氷の圧力に抗しきれずに通路が歪んだのかもしれません。
以上の理由から、少なくとも現状ではこのシールドマシンを再度使用できる状態にすることは極めて困難と判断するしかありません」
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