救護
この世界の状況と在り様を理解し、ひめは改めて人間達の為に自らを役立てることを決意した。
と言っても彼女はロボットであり人間のような心はない。心はないが、自らの在り様を最適化させることを良しとするという考え方はできる。だから彼女はそうするのだ。
「
自身の氷窟の掘削に集中していた
「
と断りを入れて彼を助け起こした彼女の目に、割れたガラスのようになった氷の破片が刺さった様子が見えた。
あまりの寒さで血は流れ出た途端に凍りつき、そのおかげで出血はそれほどではなかったが瞼に刺さった氷の破片が眼球を傷付けている可能性があった。慎重にそれを取り除き、自らのポケットからガーゼと絆創膏を取り出して傷口に当てる。
こういう事故は決して珍しくない。それによって命を失う者もいるし、命は助かっても
「
ひめは彼を背負って体にハーネスを掛け、固定する。そして氷窟を慌てずしかし迅速に移動して
その鐘の音を聞きつけた者が病院に連絡を入れ、六輪トラックを改造した救急車が櫓の下に駆けつける。そこにちょうど
幸い、
彼には妻と幼い二人の子供がおり、まだまだしっかりと働かなければいけない時だっただけに大事に至らずに済んで誰もが胸を撫で下ろした。
「
そんな
「いえ、これが私の役目ですから」
とただ笑ったのだった。
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