長話
「ひめ…私はお前にしてもらいたいことがない。だからお前には私達の世界を理解してほしい…」
それに対し、『ひめ』と呼ばれた<ねむりひめ>は、穏やかな笑顔を浮かべたままで「はい」と答えた。
「この社会は、私のデータベースにあるものとはかなり異なるようです。よろしければ現在の状況をお教え願えますでしょうか?」
その言葉に、
ここは、永久凍土の天蓋に覆われた地下の空間であること。
そこに、七万人が暮らす<市>があり、それが現在の世界のすべてであること。
『ひめ』が作られた頃の技術も知識も失われ、メイトは完全なロストテクノロジーであること。
自分は
ひめは黙ってそれに耳を傾け、ただ聞き入っていたのだった。
今では長々と話をするという習慣が失われてしまった為、
「すまん…疲れた…」
と言ってベッドに横になってしまった。すると、ひめはベッドの脇に立ち、
「
私は、皆様方の為にすべての機能、能力を用いご奉仕させていただくことをお約束いたします」
そんなひめを見上げながら、
「
だが、そう言われても、
だから正直に応えた。
「よく…分からない……お前のことがよく分からないのと同じ……」
最後の方は、消え入りそうな言葉だった。
そして完全に
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