ユーザー登録
『お前のものにすればいい』
メイトの扱いについては慎重であるべきと考える
「私が責任を持つ。何より発掘品の権利は見付けた
舞香の言うとおりだった。この世界において、
蒸気の配管が届かないところに追いやられた者達に自身が発掘した大型電気ヒーターを重蔵が提供したのも、掘り当てた彼がそれを望んだからである。追いやられた者達の中に彼の幼馴染がいたからだ。彼にとっては初恋の相手でもあったその女性の為に、重蔵は迷うことなく
その女性も、長い過酷な暮らしの所為もあってか、先日、息を引き取った。しかし、重蔵がもたらした電気ヒーターがよく効いた暖かい部屋で静かに事切れたその女性の表情は、とても安らかなものだったという。
だからこのメイトを掘り当てた
「……」
改めてこくりと頷いた舞香に促されるように、
「
それを確認すると同時に、<あさぎ>が応えた。
「ご利用、ありがとうございます。からあさぎ様のユーザー登録を行いました。行政のサーバーからの応答は確認できませんでしたが、正規のコードですので登録は有効となります。
初めまして、からあさぎ様。私も<あさぎ>と申します。どうぞ末永くよろしくお願いいたします」
そう言って<あさぎ>は、輝くような笑顔を見せた。それは、この世界の人間達が失ってしまった、底抜けに明るくて穏やかで柔らかい笑みだった。
むしろ
『なるほどこれは、世界をひっくり返すかもしれん…』
自分が責任を負うと宣言した舞香だったが、その言葉の重さを今更ながらに感じていたのだった。
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