第10話 リアルなギャルゲを追及したい
その少女、
これでも事前に
「いやー、ホンマはもうちょいクールなツンデレ美少女を演じたろかと
一度口を開いた途端、マシンガンのように言葉が飛び出してくる。
これはあれだ、いわゆる『大阪のオバチャン』て奴だ。
俺には関西の知人がいないので初めての経験だが、若い奴の中にもこんなのはいるのかもしれない。
ただ、こいつの場合は見た目とのギャップが激しすぎるというだけで。
「あー、じゃあとりあえず、
「ん、それでええで。ほんなら
嫌な事を思い出すからだ。
「悪いが『兄ちゃん』はやめてくれ」
「せやったら………『カケヤン』でどや!」
「『ヤン』はどこから来たんだよ。まぁ、それでいい」
「と言うわけでお互いの呼び名も決まったところで」
タイミングを見計らったように
「あらためて私から紹介するわ。この子は
「またか………」
「よろしく頼むわ、カケヤン!」
それは
もっと普通の出会い方をしていれば良い友人になれたかもしれない奴らだ。
だがこんな最初から『恋愛ゲームごっこ』をさせられる前提で紹介されてしまっては、どうしても余計なフィルターをかけて見てしまう。
「なぁ
「どういう意味?」
「つまり………とりあえず恋人になるとかそういう話は抜きにして、普通に友人として接したい。それじゃ駄目か?」
「いいわよ?」
「いいのかよ!?」
「あのね
「その例えの半分も理解できんが………つまり?」
「昨日も言ったけど、『過程』が大事なの。まずは
意外な返答だった。
俺はてっきり無理矢理にでも俺と誰かをくっつけようとしているのだと思っていたからだ。
ギャルゲというものをやった事が無いからわからんが、俺にも理解しやすいように解釈するならば、
さっきの話を信じるならば、結果的に俺が誰とも付き合う事にならなくても構わないという意味だろう。
そういう事なら多少は俺の中の気負いは無くなるが、同時に俺はいつになったら解放されるのかという不安は強くなる。
まさか一生ここで過ごせとでも言うつもりか?
「さて!まずは朝食!その後は
「昨日の続き?」
「そう。この国を見て回ってもらいます。昨日は結局、
「あ、ああ………まぁ。けど、そんなに見て回るようなもんがあるのか?」
「確かに今はまだ何も無いに等しいけど、流石に
それは確かにこいつの言う通りか。
少なくともこれからしばらくはここに住む事になるのだし、知っておいて損は無い。
「わかった。
「いえ、特に何も………」
「待った!」
俺が
「最初に
「ギャルゲ的に言われても俺にはわからんが………」
だが今の
考えてみれば
誰からも名前の事でからかわれず、静かな環境で勉強がしたい、だったはず。
その邪魔をするのは確かに俺も本意じゃない。
「じゃあ誰か他に案内してくれるのか?」
「そうね、今日のところは『中立』の人間に案内を頼むわ。ユイ!」
「はい。
「うわっ!」
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