第5話 未成年を自由にする権利は誰にもない?
「と、言うわけでだ。俺は帰らせてもらう」
「何が『と言うわけ』なのよ」
「サワちゃんに私の国を案内してもらって、この国の魅力の
「なるかボケ!………まぁ
「ふぅん。で?あなたは帰ってどうするの?」
「決まってるだろう。調査してたなら俺の夢は知っているはずだ。警察官になるために、まずは採用試験を受けて警察学校に……」
「ああ、これね?」
そう言って
それは俺がここに
「おまっ!それ返せ!!」
「別にいいけど。はいどうぞ」
俺は引ったくるように
念のために中身を確認するが、特に何か細工されたような変化は見られなかった。
仮に何かされていたとしても、面倒だがもう一度書き直せばいいだけなのだから、俺に被害など無いのだが。
「まぁいい。それじゃあ俺は帰らせてもらう」
「いいけどぉ………どうやって?」
「どうって………」
そう言えば、ここは日本のどこなんだ?
たしか「中部地方のどこか」みたいな事は言っていた気がするが、具体的な場所までは聞かされていない。
「ふん。それで脅しているつもりか?ここの正確な場所はわからんが、歩いてでも帰るさ。民家のひとつでも見つけられりゃ、あとはどうとでもなる」
「そう?………まぁいいわ。でもせめて今夜くらいは泊まっていきなさいよ。そろそろ日も暮れる時間だし、今からじゃ確実に山の中で野宿よ。仮に徹夜で歩いたところで、明日の朝までにここの敷地外の一番近い民家にすら辿り着けない事だけは断言するわ」
「ぐっ………」
悔しいが、夜の山奥で野宿した経験なんて無い。
警察官を目指すなんて偉そうな事を言っていたものの、俺はまだ高校を卒業したばかりのガキで、サバイバルの知識なんてほとんど無い。
「………わかったよ。今夜だけは世話になる」
「いいお返事ね♡」
「勘違いするなよ!お前は俺の同意も得ずにここへ連れてきた誘拐犯なんだからな!俺の身に危険が及ぶほどお前の罪が重くなるんだって事を忘れるな!!」
「はいはい。………ところで今のセリフはツンデレっぽくて、とても良かったわよ♡」
「お前を喜ばせるために言ってんじゃねーよ!!」
まったくこの女………少しも悪びれた様子が無いどころか、余裕すら感じられる。
俺に対して罪悪感を持てとは言わないが、少しは反省の色を見せてもらわないと気分が悪い。
「ところで
「ああ?」
この『
いや、これは許可ってより、自分の敷地内で好き勝手やってるだけの金持ちの道楽みたいなもんだろ。
法に触れない程度なら好きにしろとは思うが………ん?
よく見ると
「………何だそれ」
「中を確認してみなさい」
そう言われて俺は
中に入っていたのはA4サイズの紙切れが1枚のみ。
そこにはこう書かれていた。
『保護者同意証明書』
一番上の文字を読んだだけで頭がクラっとしたが、そこから下の
そして一番下には俺の父親、『
「ちなみに
「………18歳………未成年だから、保護者の許可は得ているとでも言いたいのか?言っておくが、保護者が許可したからと言って何でも許されるわけじゃないぞ!」
「そう言うと思って、もう1枚♡」
「………まだあるのか」
畳み掛けるようにもう一通の封筒を差し出す。
俺は乱暴に二つ目の封筒を奪い取り、中身を取り出す。
それは許可書とかそういう
『翔琉へ』
その汚い字を見た時点で誰が書いたものかすぐにわかった。
この手紙を書いた
それも最悪な事に、俺がこの世で最も尊敬する女性、
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