扉の向こうの虚界に降る雨。

作者 詩一@シーチ

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★★★ Excellent!!!

現実世界と、「この世にあらざる世界」を片目同士に映す雩哉。
それらの世界の両方に像を結ぶ少女、奈留水。
これは彼らの、二つの世界を跨ぐ物語。

場景描写に人物の仕草が丁寧でさらにはセリフもみずみずしく、読んでいて大変気持ちのよい作品です。また、これまで誰も描いたことのないエピローグは大きな余韻を覚えるのにじゅうぶん素晴らしいものでした。
これだけ短い物語にもかかわらず、雩哉と奈留水がとにかく魅力的なキャラクターなのです。本作は心の底から「キャラクター小説」であるといえます。この物語を読まれる際には、ぜひ二人のキャラクターに注目をして下さい。

わたしたちを包む現実世界。
これはいったいなんなのでしょう。
どうしてこんな世界があるのでしょう。
きっと奈留水なら、道端に生えた猫じゃらしの一本にそのヒントを見つけるでしょう。また、古びたすべりだいに世界の一片を感じとることでしょう。そして雩哉は奈留水の背を、その輝かしい世界に向けてポンと押す。そんな二人なのです。

たいへん感動しました。布団の上で、二十分ほど余韻に浸っていました。
わたしの残されたいのちの中で、本作を読んだ時間と余韻に浸った時間は、かけがえのないものでした。この物語は、あなたの人生に必要な時間を届けてくれます。

★★★ Excellent!!!

テーマ曲としてACIDMANというスリーピースバンドの『スロウレイン』という曲を挙げておられその美しい音そのままの透き通るような短編です。
ストーリーはとても幻想的で、むしろわたし自身は伸びやかなエコーをかけたような文体が醸し出す雰囲気がとても好きになりました。
ボーイ・ミーツ・ガール、ガール・ミーツ・ボーイ、そして美しい世界を救うための二人の物語です。