足の埃を払え、の解釈 ~オネスティ~
どこかの家に入ったら、そこにとどまって、その家から旅立ちなさい。
だれもあなたがたを迎え入れないなら、その町を出ていくとき、彼らへの証しとして足についた埃(ほこり)を払い落しなさい。
ルカによる福音書 9章4~5節
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この言葉は、イエスが弟子たちを宣教旅行に行かせる時に与えた指示である。
これは、私たちが生きる上での「流儀」の話にもなる。
この世界に「誠実」という言葉がある。「誠意」と言ってもいい。
英語で言えば「honesty」という単語になる。
誠実でない、とはウソがあるということである。
この場合のウソ、とはウソ全般を指さない。「事実とは異なること」をウソだと定義すると、中には「人のためになるウソ・人を救うウソ」もあるからだ。
だから、誠実でないというカテゴリーに入るウソとはー
「自分の表面的利益のために、それを得るのに都合の良い言動をすること」である。
人間関係において一番の鍵は、「誠実」である。
たとえ笑うのでも怒るのでも、そこは根底に「誠実」があることが望ましい。本当におかしいから笑う。本当に腹の底から怒りがこみ上げるから、怒る。
でも、たとえば自分より力ある者に対して、機嫌を取ることが自分の安泰につながると判断すれば、本当に楽しくなくても「愛想笑い」をするかもしれない。テストで悪い点を取ってきた子どもを怒るような時も、それは人としての純粋な怒りではなく「良い点数を取ってほしいのに、取ってくれなかった」という、目的の合否に対する反応である。
自分の要求が通らないことで生じる怒りは、誠実さとはかけ離れている。
しかし世の親に多いのは、一皮むけば親自身のための欲に過ぎないのに「あくまでも子どものためだ」と思い込めているタイプだ。実に、始末の悪いやつらである。
世の中には、色々なテクニック的知識に溢れている。
こう生きたらいい。こういう意識で臨めばいい。
心理学的なものから、宗教的・スピリチュアル的教えまで、実にバリエーションに富んだ教えの数々がある。そのどれを用いるも好き好きであり、自由である。
それらを有効とした上で、それでも「これだけ押さえられていれば、とりあえず他のことはしていなくても大丈夫」と言える実践がひとつある。
それが、「常に誠実である」 こと。
常にハッピーでいること、常に喜びをもつこと、常に感謝すること。そういうのは絵に描いたモチであり、常にそうであるのが不可能なものたちである。
だが、この「常に誠実であること」は、やろうと思えばできるタイプのものである。もちろん、簡単ではない。でも、達成可能だ。
ここまでを踏まえて、最初に紹介したイエスの言葉に戻ってみよう。
イエスは弟子たちを、見知らぬ土地に伝道旅行に行かせた。
その際、当然のことながら弟子たちひとりひとりに要求されるのが、「誠実」であることである。
厳しいイエスは、弟子たちが当然そう在ることが当たり前、と考えている。
そうでないと、次のことが言えないからである。
「だれもあなたがたを迎え入れないなら、その町を出ていくとき、彼らへの証しとして足についた埃(ほこり)を払い落しなさい」
弟子たちが誠実でないなら、どんな扱いを受けようが文句を言える筋合いのものではない。
しかし、与える側がウソのない「真に価値あるもの」を提供しているのにも関わらず、そこに唾をかけるような者がいたりしたら、足のほこりを払え、と。
さて。ここで足のほこりを払え、とはどういう意味か?
●そこまでのことは忘れて、次へ行け。
決して、「お前らのしたことの報いが来るぞ」という呪いでも捨て台詞でもない。
あなたが誠実を貫いた上での無理解や理不尽な待遇は、クヨクヨしなくていい。すぐに、次のチャンスへと向かいなさい。誠実を武器としてチャレンジし続けるあなたに、きっと好機は巡ってくるであろう。
あなたの誠実さに誤解や無礼で対応した者の人生に何が起きるかは、あなたの仕事の範疇ではない。それは、相手の人生や宇宙にお任せしておけばいい。いや、むしろ気にしないがいい。
足から塵を払うということは、「分からんちんのお前らなんか、こうだぞ!」とやり返す心で行うものではない。もう、そのことは忘れて次の希望に目を向けるぞ、という「気合注入」であり、心機一転のための儀式のようなものなのだ。
Honesty is such a lonely word.
誠実――なんて空虚な言葉だろう
Everyone is so untrue.
誰もが正直ではないからだ
Honesty is hardly ever heard.
誠実――聞いたことすらない
And mostly what I need from you.
でも、あなたに欲しいものはそれなんだ
この時代、「誠実なんて聞いたことすらない」なんて寂しすぎる。
今後、あなたが自分の中にも外にも 「オネスティ」 を見つけることができますように。
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