実録・婚活ノート 番外編2

「ファイルNo.13。一つ年下(事務職らしい)。

・マッチング倶楽部で申し込まれた。

・東京で「すごい仕事」をして、体を壊して故郷に返ってきたばかり。

・親戚の経営する会社で、とりあえず(腰掛けの)仕事をしてるとのこと。

中?(副市長の公募に応募するかどうか、などなど)

・結婚以前に、人生を迷ってる感じ。体を壊した無念と、自分はこんなんで終わるわけない! という過信からか、今の状況を受け入れられない模様。

・かと言って、具体的な方針も計画もまだ立てられてない。

・居住地が遠かったので1回会ったあとはずっとメール(女子並みに顔文字を多用)。

・会ってる時もメールでもまったくオトコとしての顔が見えず、どういうタイプが好みか、どういう恋愛とか結婚が理想かなどを訊いたら音信不通に→経験なしだから??

【考察】

・好きになっていたら応援できたかも。でも、プライドの高さが少しこわかった。

・結婚したら、「彼の人生に巻き込まれる」って感じだったかも。」


 会ったのは、彼の住む地方都市と私の住む県都のちょうど中間。私は電車で、彼は車で来たのでドライブデートになった。

 車中では、国の経済システムに関わる大きな業務を委託された東京の会社で、徹夜続きの仕事をして体を壊し、やり遂げたのを機に退職して故郷に戻ったという話をされた。


 仕事の話はなかなか聞けない内容だったので、それはそれで面白かった。


 体をしっかり治して、充電して、次にやりたいことを探しているとのこと。


 それはいいと思った。


 ただ、地元の市が募集してる副市長の職に応募するか迷っているという話で、「どうせ、出来レースなんだ」「万一採用されても、こんなしがない地方都市じゃあ、おもしろい仕事もできないだろう」「仕事に可能性が感じられない」など、延々とネガティブなことを言っていたのが気になった。


 仕事をおもしろくするのは、自分次第!

 などと、ありきたりなことを言ったりしてみたけど、彼は「傷ついた戦士」状態なのだと思った。過去の栄光と、今の不甲斐ない自分の狭間で打ちひしがれ、道を見失っている。しかも、プライドが邪魔して、臨機応変に動けないようだった。


 ちょっと面倒くさいタイプかもなぁと思いつつも、彼の行く先に興味があったのでメールだけは続けていて、その途中で惹かれる部分が見つかれば婚活的にもいいと思った。


 が、ノートに書いたとおり、そろそろ本来の目的である婚活についても何らかの感触がほしいと思って、ざっくばらんに恋愛観や好きなタイプを訊いたら、なぜかぷつりと返事が来なくなった。それまで、私のメールにはその日の夜に必ず返事を寄越していたのに、だ。


 恋愛未経験とは考えにくいけど、少なくともかなりのトラウマを抱えている可能性も?

 つながりが切れてしまったので、わからずじまいだった。

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