異世界?
二人が竪穴式住居を出ると、なんと風景がガラリと変わっていた。
さっきまでの殺伐とした風景と異なり、竪穴式住居が十数件立っている。
稲穂が実っている水田、高床式倉庫、そしてたくさんの人々が稲刈りをしていた。
あまりの変化に安永とモモはしばらく呆けていた。
多くの人が働いている中、一人の女性がやる気なさそうに稲刈りをしている。
「あれ、カズ兄ちゃんの店で働いている人に似てない?」
「ああ、ミルクさんね。ロビンソン亭でもバイトしているよね」
しばらくすると集落の中心に建てられている祭壇の中から巫女のような服装をした女性が二人現れた。
「ひかり先生とあすか先生に似ているよね」
「うん」
すると、二人の巫女の前に他の住民たちとは違う服装を着た長身の男性が現れ、片膝をついた。
「ヒカリさま、アスカさま。今年も見事に実りました」
「そのようですね。これもルギ殿のおかげです」
「いえいえ、私の力は微々たるものです。この結果はみなの力です」
「では、御神体へのお供えを」
三人のやり取りを見た安永とモモは、
「ねね、あれルギーさんそっくり!」
「うん、女性に尻を敷かれている様がまさにルギーさん」
と笑いをこらえながら、こそこそと話していた。
ルギと名乗る男が稲穂を二人の巫女に差し出す。
するとあすか先生に似た巫女が祭壇の中に入り、何か丸い物を持ってまた祭壇から出てきた。
その丸い物を見たモモは思わず叫んだ。
「ミッフィー!」
「何者だ!」
モモと安永は男たち数人に見つかり、祭壇の前に連れて行かれた。
ひかり先生に似た巫女が二人に語りかけた。
「あぁたたち、不思議な格好をしていますね。異国の方ですか?」
「いえ、日本人ですけど」
安永が何も考えずに答える。
「日本?やはり聞いたことありませんね。それにしても、御神体のミフイ様の名前を知っているとは何者ですか?」
「え、あたしのペットに似ているから」
モモがミフイ様を指差した。
「おのれ、ミフイ様に何たる無礼!二人を閉じ込めておきなさい!」
あすか先生に似た巫女が突然怒りだし、モモと安永は男たちに竪穴式住居の一つに強引に入れられた。
安永とモモが竪穴式住居に入れられると、最初入ったときの殺伐とした風景だった。なにもないただ広いだけの部屋。外に人の気配はなさそうだ。
「もしかして、元にもどった?」
「そうかな?外に出てみようか」
安永を前に二人が外にでると、現在の殺風景に戻っていた。
「何だったんだろうね?」
「うん……」
お互い不思議そうに見つめあう。
「じゃ、ヤスケン、ビレバン行こうよ」
「ああ」
二人はバス停に向かった。
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