第1の障害

「それでは、障害物競争決勝、選手の入場です」


 決勝進出者がグランドに入場する。そして、本部のテントから鈴井校長が現れた。

 スタートラインに並ぶ選手たち。しかし、グランドには障害物が見当たらない。

 不思議がる生徒たち。鈴井校長がマイクを持って話す。


「この決勝は校内を一周する障害物マラソンです。

 コースの各所に『スペシャル』障害が待ち受けていますので、

 それらを乗り越えてゴールをめざします。

 みなさん、がんばってね。ってスタート!」


 スタートといった瞬間鈴井校長が飛び出して行った。

 慌てる選手たち。校長にブーイングする生徒たち。

 校長は舌を出し走り出していく。


 校舎に向かって走りだすと、大きなボールのようなものが転がってきた。

 急に止まる鈴井校長。他の選手が校長を追い抜かす。

 ボールをよけようとすると、なんとボールが動きに合わせて曲がってきた!

 驚く選手たち。安永がなんとかフェイントを使ってボールをよけたが、

 ボールが後ろから追いかけていく。

 他の選手たちもボールに追いかけられて周りを走りまわっている。

 藤さんが疲れて止まってしまう。するとボールも止まった。

 よく見ると、ボールには目がついていた。


「ミッフィー?でも色が違うな……」


 安永がミッフィーのようなものを拾い上げる。


「おーほほほっ!それはミッフィーの兄弟、『マロン軍団』よ。かわいいでしょ」


 突如あすか先生が高らかに笑った。


「でも、こんなにいたらむしろ怖い……」


 しげるが危険なツッコミを入れる。


「なに、リーダー」


 怒るあすか先生。


「ほら、校長は先に行っているわよ」


 選手たちが振り返ると、鈴井校長が何事もなかったかのように先を走っている。

 慌てて追いかける選手たち。

 マロン軍団も追いかけようとするが、あすか先生の合図で立ち止まった。

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