成長恐怖症とでも表現すべきなのだろうか。 思春期にさしかかって死を漠然と恐れるようになるのは誰にでも経験があり得る話だろう。本作は、そんな奇怪至極で曖昧模糊とした不安をルーペさながらに拡大して見せてくれる。 何気ない日常の一コマに、現在の視点で目にした患者と、過去のそれにおける同級生が語られ当てはめられていく様子は標本の作成のようだ。 必読本作。