第78話 耳掃除もロマン?
昼食も終わり千夏と俺は後片付けをし始めた。そんな中、千夏が
「片付けが終わったら、蒼汰くんを膝枕していいかな? 」
と聞いてきた。やっぱり来たかと俺は思うも、美樹にしてもらったわけだし断るわけもいかず
「うん……わかったよ」
と返事を返した。すると千夏は
「膝枕とともに男のロマンその2、美樹も出来なかったという耳掃除もしたいと思う! 」
とバックの中からだした耳かきを掲げてそう告げた。うん、たしかに膝枕されながら耳掃除はとても魅力的だとは思う。思うが……千夏。張り切り過ぎだってば。なに掲げてんのよ?
「はぁ……わかったわかった。それもしてもらうから先に片付け終わらせよう」
そう言ってさっさと片付けを終わらせるのだった。
千夏は正座が良いか足を伸ばしたほうが良いかを悩んでいるようで「うーん」と唸っていたが、いきなり
「ああ……失敗したよ」
といきなり落ち込んでそう言い出した。
「千夏? どうしたの? 」
俺がそう尋ねてみると
「いや……膝枕は素脚が出ている方が良いと言われていたのを失念していたよ。今日はジーパンだったんだった」
と千夏は悔しそうにそう言った。いや……ジーパンでいいよ。素脚だと余計に緊張するしと思いながら
「ジーパンでも良いんだよ。素脚が出ている出ていないよりも千夏にしてもらうことに意味があるから。それにジーパンでもきっと気持ちいいから」
なにが気持ちいいとは言わないが……そう告げると
「そうか。理解不足でごめんね」
となぜか千夏が謝ってくるのだった。
というより俺は気になった。だれが男のロマンとか教えているんだろうかと。なので千夏に聞いてみた。
「千夏。美樹も男のロマンって言って膝枕をしてたんだが、その話誰に聞いたの? 」
そう聞くと、千夏は
「ああ、千穂さんだよ。こうしたら男の人は喜ぶんだって私と美樹、そして美優に語ってくれたよ」
って千穂さんかよ! と俺は少し呆れてしまった。なにを子供に教えているんだかと。てっきりクラスの知り合いとかから聞いていたのかと思ってたのに……。俺はがっくりと肩を落としてしまうのだった。
千夏は足を伸ばしている方が気に入ったようでその態勢でぽんぽんと太ももを叩き俺に寝転ぶように誘ってきた。なので俺はそのとおりに太ももに頭を乗せ寝転んだ。うむ。すこしゴワゴワ感があるが、それでもジーパンだろうと気持ち良いものは気持ち良いなと実感する俺。
「蒼汰くん右耳を上に向けて」
千夏がそう言うのでそのとおりに体を傾けた。
「千夏は耳掃除慣れてるの? 」
と俺が聞くと
「人にするのは初めてだね。だけど大丈夫だと思うよ? 多分? 」
とちょっと心配になるようなことを言うのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます