番外編-02 美優ちゃん置いていかれる。



「頑張ってね。私達はお邪魔だから先に帰るから」


 そう言って去っていく私の友達。

 そして、圭佑くんの玄関前になぜかいる私、相楽 美優。


 今日はクラスの友達と私3人で集まって喫茶店で会話していたのですが……

 私の家に美樹姉さんのことで山口くんが来ていることを思わず話してしまったところ、友達ふたりは山口くんのことがわかりませんでした。ほんと影が薄いわねと思い「圭佑くんと時々一緒にいる人」と伝えたところやっと理解してくれました。


 ですが、それが私が今ここにいる事の発端でした。


「圭佑くんの友達? それならさ。美優のお姉さんのことが心配だから圭佑くんに山口くんのことをいろいろと尋ねたいって言って家に行っちゃえば? 」


「それいいね。行っちゃいなさいよ、美優」


 友達ふたりは私が圭佑くんのことが好きだと知っているからだと思います。こんな事を言ってきて……


 あれよあれよという間に今ここにいて。おまけに1人にする? 置いていくの? どうしようと今私は苦悩の渦に苛まれているところです。


 ここまで来て帰る? それともいきなりだけどお邪魔しちゃう? 悩んでいたところに


「圭ちゃーーーん。誰か来てるよ? 」


 そんな声が上から聞こえてきました。上を見上げると2階の窓から同世代くらいの女性がこちらを見ていました。はて? 圭佑くんには兄弟は居なかったはず。そんな事を考えていると、その女性の横から圭佑くんが顔を覗かせて


「え? 隣のクラスの相楽か。どうした? とりあえず玄関まで行くから待ってて」


 そう言って玄関まで来てくれるのでした。


 玄関まで来てドアを開けてくれた圭佑くんは


「よくわからないけど、とりあえずここもなんだし家上がるか? 幼馴染がいるけどそれでも問題ないならだけどね」


 そう言ってくれました。


 圭佑くんに幼馴染がいたことがわかり、私はなんでこういう大事なこと教えないのよ、山口くんと少し憤ってしまったけれど


「あの、あの、えっと……お邪魔します」


 大した事も言えず家にお邪魔させてもらうことになったのでした。



 家に入ると2階の圭佑くんのお部屋らしき場所に連れられていきました。部屋に入ると先程の幼馴染という女性がいます。可愛らしい感じの方です。


「どうも、お邪魔します」


 私はとりあえず挨拶をします。というより何を言って良いのか頭が混乱していてわからないというのが現状かもしれません。


「すごく緊張してるみたいね。圭ちゃん、なにか飲み物持ってきてよ」


「あいあい、ちょっと待ってて、相楽」


 すごく仲の良さそうな感じで会話を交わすふたり。幼馴染だから仲が良いのは当たり前かもしれませんが……圭佑くんの雰囲気が学校とは違います。まあ、くつろげる家にいるからもあるんでしょうがそれだけではきっとないでしょう。


「はじめまして、私は圭ちゃんの幼馴染の亜美。よろしくね」


「えーと、はじめまして。相楽 美優です。よろしくお願いします」


「え? もしかして蒼汰くんの彼女になるかもしれない人じゃないよね? 」


 え? なんでそんな事言ってるの? と思ったけれど、圭佑くんと山口くんでそういうこと話してても不思議ではなく、それで美樹姉さんの事が伝わっててもおかしくないかと理解できました。


「えーと、それは私の姉です」


「あ、やっぱり違うよね。でも、あなたのお姉さんなんだ。そっか」


 なぜか亜美さんは温かい目をして何かを想像しているそんな感じになっています。ですが、すぐに真剣な顔にかわって声をかけてきました。


「相楽さん」


「はい、なんでしょう? 」


「ズバリ聞くね? 圭佑のこと好きでしょう? 」


 ほんとに遠慮も何もあったものではありません。ほんとズバリですよね?


「えーと、えー……そうですね」


 思わず素直に白状してしまった私。


「そっかあ。ちなみに圭ちゃんには言ってないけど私も圭ちゃんのこと好きだよ。って言ってもはっきりわかったのはここ数日前なんだけどね」


 そんな事を言って苦笑いする亜美さん。え? 




 それを聞いて、そうなんだ……この人も圭佑くんのこと好きなんだと理解するのにしばらく掛かってしまう私なのでした。

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