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第1470話 待望の食事ができたようでした
第1470話 待望の食事ができたようでした
「あ、成る程。わかりました。レオ達はテオ君と?」
「はい。オーリエ様がレオ様とテオ様達と一緒にいるのを望まれましたので、皆様で一緒に中庭へと向かわれました」
主様の呼び方に対して色々考えつつも、表に出さないようにしてアルフレットさんと話す。
レオ達はもう帰っているのか……戻って来たらこの執務室に来るか、それとも吠える声が聞こえるかと思っていたけど。
まぁオーリエちゃんの要求ならレオは断らないだろうし、仲良くなれている証拠でもあるか。
声が聞こえなかったのは、レオが静かにしていたというよりも、俺がクレアに集中していたからだろうな。
執務室の防音がしっかりしている、という事もあるかもしれないけど。
「わかりました。それじゃ、すぐに中庭に向かいます」
「畏まりました。では、私は準備にまいりますので……ただ、あまりごゆっくりはされない方がよろしいかと存じますが……」
そう言って、こちらを窺うアルフレットさん。
表情はほぼ無表情だけど、俺を見る目の奥は面白そうというような感情が湛えられているような気がする。
「いえ、すぐって言いましたから! ごゆっくりはしません!」
「そうですか……」
慌てて否定すると、残念そうにしながら扉の方へ振り返るアルフレットさん。
どうしてそこで残念そうにするのか……。
レオ達もそうだけど、夕食の準備はできているんだから皆を待たせちゃいけないのに。
今日はいつも以上に大事な夕食になるはずで……あ、そうだ。
「ちょっと待って下さい、アルフレットさん」
「はい、何かございましたか?」
部屋を出ようとしたアルフレットさんを呼び止める。
俺の言葉に、アルフレットさんは先程の残念そうな表情のまま再びこちらに振り返った。
……まだその表情のままだったのか、すぐには変えられないのかもしれないけど。
「ヘレーナさんは、今日これからの夕食について、何か?」
「ふむ、そうですね……主様やユート閣下からの助言もあり、自信作だと言っておられました」
「そうですか、ありがとうございます」
「はい、では私は他の者達を集めますので」
「よろしくお願いします」
気になっていた事を聞き、机の下でアルフレットさんにバレないよう拳を握って、ちょっとしたガッツポーズ。
俺やクレアに一礼して、部屋を出て行くアルフレットさんを見送った。
「タ、タクミさん? 今日の夕食に、ヘレーナと何か?」
「っ! あ、あぁ、えっと……ま、前に言っていたあれを頼んでいたのがね、で、できたみたいだから」
アルフレットさんが扉を閉め、静かになった執務室でクレアから声を掛けられ、体がビクッと反応したのを誤魔化そうとしどろもどろになりながら、理由を話す。
そうだった、夕食で喜んでいたけどまだ近くにクレアはいるわけで……アルフレットさんと話して、少しだけ落ち着いたけど、余韻とか色々ふっ飛ばしていた。
とりあえず、深呼吸して落ち着こう。
「あれ……ユート様が持って来られた? ヘレーナ達が、準備していたみたいですけど」
クレアは、まだ顔が赤いながらも興味が移ったからだろう、俺よりは落ち着いているようだ。
アルフレットさんと俺が話している間に、色々と落ち着かせていたんだろう。
「すぅ……はぁ……うん。お米とか醤油とかだね。まぁ、あまり品数は用意できないけど……最低でもご飯、お米を炊いた物は食べたいから」
味噌があるから、味噌汁も作ってくれているかな? 具はともかく、ご飯と一緒に味噌汁に関してはヘレーナさんに伝えてあるし。
深呼吸もしたし、意識をお米の方へ向けてなんとか平静を取り戻した、気になっておく。
意識を無理矢理逸らした、という事でもある。
すぐに向かうって言ったのに、ここでわたわたできないからな。
「タクミさんが、それだけ楽しみにしている料理ですか。ふふ、楽しみです」
「まぁ、特別美味しいという程でもないんだけどね」
あまり期待されても、期待外れだった時に落胆されそうだなぁ。
お米やみそ汁は美味しいし、醤油は日本人が開発した素晴らしい調味料なのは間違いない。
ただ、好みは人それぞれだし、お米そのものが他の物と比べて特別美味しいというわけじゃないからな。
味噌汁はホッとする味だし美味しいのはもちろんだけど、こっちで出されたスープも同じくらい美味しかったからな。
「でも、タクミさんがあれだけ惜しがっていたので、ついつい期待しちゃいますね」
「ははは、好みにもよるかもね」
「ふふふ、タクミさんの故郷の味、でしたっけ? 楽しみです」
「そうだね……」
まぁ、日本には他にも色んな食べ物があったから、今ではお米だけが故郷の味というわけではないけどね。
パンや麺類を主食みたいに食べる人だっているし。
でも俺は、どれも好きだけどやっぱりご飯派だ。
これであとは、焼き魚とか漬物があれば完璧な和食が……塩を大量に使うけど、たくあんくらいなら作れるか?
……またヘレーナさんと相談だな。
魚に関しては……確か公爵領には海がないって聞いたし、こちらはヘレーナさんだけでなくユートさんに聞いてみよう。
少なくとも、ランジ村近くの水道管が通っていた川には魚がいなかったからなぁ。
もしかしたら、どこかから調達して来てくれるかもしれないし。
「ではタクミさん、私は先に……」
「ん? 一緒に行かないの?」
あれこれと和食に付いて考えている間に、クレアが立ち上がりそそくさと部屋の扉へ向かう。
このまま一緒に中庭に行くものだと思っていたんだけど。
「ちょっと、落ち着く時間が欲しいので……すみません……」
「あ……いや、俺の方こそ気を遣えなくてごめん」
と思ったら、恥ずかしそうに俯き加減のクレア。
落ち着いたように見えていたけど、そう見せかけて我慢していただけみたいだ。
あ、でも……。
「ごめん、ちょっと待ってクレア」
「え?」
部屋を出て行こうとしているクレアに近付き、手を取る。
「これだけは言っておきたくて。落ち着いたら、なんだか言えなくなってしまいそうだから。えっとね……さっきクレアは私がさせませんって、俺が辛く感じるような事はさせないって意味だと思うけど……そう言ったよね?」
「あ、は、はい……あの時は、なんだか衝動的に言葉が出てしまって。駄目でしたでしょうか?」
「ううん、そんな事はない。クレアの気持ちは嬉しかったし、凄く心強い言葉をもらったと思っているよ」
赤い顔のまま、こちらをう上目遣いで窺うクレアに、首を振る。
……この状況で上目遣いは反則だろう、と叫びたいのは置いておいて、俺が感じた気持ちと一緒にクレアに考えを伝える――。
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