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第1316話 お酒を飲んでも酔わない理由が判明しました
第1316話 お酒を飲んでも酔わない理由が判明しました
「あれ? タクミ君はあまりお酒飲まないの?」
首を傾げつつ、俺の隣に腰を下ろすユートさん。
野営中で屋外だから、椅子なんてないけどレジャーシート代わりの布が敷いてあり、そこに料理の乗ったお皿や樽ピッチャーを置いた。
さすがにお尻が冷たいし、日が沈んで気温が下がってきているから焚き火が恋しい……寒くはないんだけど、やっぱり焚き火近くの暖かさって安心する気がする。
二人でという事は、何かしら秘密の話があるんだろうから、離れた端の方になるのは仕方ないか。
ちなみにお酒は料理酒もあるけど、大半はランジ村から買い取ったワインだ。
俺が屋敷を離れるから、保管していてもあまり意味がないから、残り少なくなっていた分を全部持って来ている。
なので、移動中もラモギ入りのロゼワインが飲める。
屋敷に残る使用人さん達は仕事柄あまり飲まないようだし、ティルラちゃんが屋敷に戻っても飲めないからな。
ただ到着までに全部消費できるか少し心配だったんだけど、ユートさんが飲むならその心配はなさそうだな……ワインをピッチャーになみなみと注いで飲む、なんていうのはちょっとどうかとは思うけども。
ブドウジュースに関しては、定期的に作って屋敷に送るように手配するつもりだ。
わざわざ煮詰めたりラモギを入れた物じゃなくて、ちゃんとしたブドウジュースの方が美味しいだろうし。
「飲めなくはないけど、あまり好んでは飲まないかな。ランジ村のワインは美味しいから、最近はよく飲んでいるけど……」
「飲めないわけないよねー。ギフトもあるわけだし。そっかー……んぐんぐ」
俺の答えに、何やら納得してうんうん頷きつつ、大量にある料理を口に突っ込むユートさん。
リスのように口の中がパンパンになっている……突きたいけど、入っているのは咀嚼中の料理だからやめておいた方が無難だろう。
それよりも、ユートさんが今気になる事を言った。
「ギフトがあるから、飲めないわけじゃない? どういう事?」
「あふぇ? ひらふぁいほ?」
「……口の中の物は、ちゃんと飲み込んでから話しましょう」
「ほへんほへん……んぐんぐ! んっ!」
ギフトとお酒ってなんの関係が? という疑問を投げかける俺に顔を向けて、首を傾げながら話そうとするユートさん。
けど、まだ口の中には物が詰まりに詰まっているから何を言っているのかわからない。
注意すると、急いで咀嚼して飲み込んだ……あの量を短時間で飲み込んだのは凄いけど、もっとよく噛んで、とか言ったら口うるさく思われるだろうか?
あとチラッと口の中の物が見えたよ……王家で大公爵なのに、それでいいのかな? まぁ、俺はあまりマナーについてあれこれ言えるわけじゃないけど。
でも最低限、クレア達の前では気を付けるようにしているってのに。
「もしかしたら知らないのか……タクミ君、これまでどれだけお酒を飲んだか僕にはわからないけど、こちらに来てお酒に酔った事ないでしょ?」
「え、あ、うん。浴びる程飲むとかはしてないけど、ランジ村のワインを飲んでも酔わなかった。最初は、アルコール度数が低いのかなと思ったけど、違ったみたいで不思議だったよ」
日本では、よく上司に付き合わされて無理矢理ビールばかりを飲まされた挙句、トイレに駆け込むとかも含めて酔った経験は結構ある。
さすがに、記憶をなくすという経験はないが。
それはともかく、ランジ村のワインはフィリップさんが泥酔するくらいだからなぁ……エッケンハルトさんやクレアもそうだし、他にもランジ村のワインで酔った人を何人も見た……初めて会った時のユートさんもか。
アルコールの味ははっきりとしているから、度数が低いわけじゃないと思う。
こちらの世界の人達が、特別お酒に弱いってわけじゃないだろう……。
「それね、ギフトのせい。んぐ、んぐ……ぷはー!」
「ギフトの……?」
樽ピッチャーから豪快にワインを飲み、思いっ切り息を吐くユートさん。
ビールじゃないんだから、ワインはそうやって飲むもんじゃなくてもっと香りを楽しむ物……というのは、多分聞き耳を持ってくれないんだろうな。
「色合いは変わっても味は相変わらず美味しいねぇ。んぐ……うん、料理も美味しい!」
「いやあの……ギフトとお酒に関して、ちゃんと話して欲しいんだけど」
ロゼワインはただラモギを混ぜて色を変えただけで、味はそのままなので美味しいのはわかっている事だし、ユートさんがおつまみ代わりに食べる料理も美味しいのはわかっている。
それよりも、ギフトのせいで酔わないってどういう事か教えて欲しい……。
気になって夜しか寝られない、なんて言うとユートさんが喜んで話が逸れそうだから冗談は言わないように、頭の中にしまっておこう。
「そうそう、ギフトとお酒ね。えっと、ギフトは過剰使用すると意識を失って最悪、命が危険ってのは前にも話したよね?」
「うん……俺も、意識を失うまでは経験があるから、それは知っているけど」
「まぁ、ギフトなんて便利な能力があったら、意識を失うまで使っちゃうよねぇ。僕も最初は何度意識を失ったか……」
「俺の場合は、使いたかったとかそういうわけじゃないんだけど……」
でも、必要に迫られてというかシェリーを助けるためだから、あの時は仕方なかったと思っている。
おかげで今、フェンリル達との縁もあるわけだから。
というかユートさん、何度も意識を失うくらい使っていたんだ……大丈夫か少し心配になったけど、今こうしてワインを飲んで料理をつまんでいるユートさんがいるんだから、問題ないんだろう。
「そのギフトを使うための力は、魔力とはまた別のものなんだけど」
「それはなんとなく、わかるかな」
ギフトを使い慣れていくうちに、まだ使っても大丈夫……みたいな事は感覚的になんとなくだけど、わかるようになった。
けど、『雑草栽培』を使っていて体内に意識を向けると感じる魔力が減ったとか、そういう事はないから魔力ではない何かを使っているんだろうと考えている。
「うん。でね、その力ってお酒の……厳密に言うと違うのかもしれないけど、アルコールから吸収される力みたいなんだ」
「アルコールから?」
それってもしかして、アルコールがギフトの力って事で……いや、厳密には違うかもって事だから、何かに変換されてとか、そういう事なのか――。
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