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第1283話 セバスチャンさんにお願い事をされました
第1283話 セバスチャンさんにお願い事をされました
「街の者達が知れば、それが各村へと広まるわけですな。一応そちらへは各村長への報せを別でします。街からの広まりとどちらが早いかはわかりませんが……広く周知させるためですな」
これからはラクトス近くの屋敷ではなく、別の場所にいますよってアピールするってわけだな。
ただそうする事によって、要人の居場所を多くの人に……それこそ良からぬ事を企む輩にも報せる事になってしまうけど、それはあまり心配していないらしい。
屋敷は、周辺を壁で囲んでおり、護衛さんが見張っているけど、ランジ村にはそんな厳重な警備はないはずだ……まぁ、フィリップさん達はいるけど。
聞いて見ると、フェンリル達がいる事やレオがいる事で特に問題はないだろうと。
……考えてみれば、護衛や兵士さんなどを多く配置するよりも、よっぽど優秀な見張りがいたか。
番犬みたいなものだろう、犬じゃないけど……番狼とかかな?
ちなみにこれは、エッケンハルトさんからの指示でもあるらしく、その連絡をする際に間違えてクレアへ直接渡される指示書というか手紙に、俺との関係を見ているように……などが間違えて書かれていたらしい。
エッケンハルトさん、クレアへの手紙だから油断したのかもしれないけど、間違えてないかくらいは誰かに確かめてもらった方がいいと思います。
他の事が忙しかったりするせいかもしれないけど……意外と、うっかりしているところがあるよなぁ。
俺も人の事はあんまり言えないか。
「そこで、タクミ様にお願いがございます」
「え、俺にですか?」
なんだろう、セバスチャンさんからのお願いとは珍しい……少しだけ嫌な予感がするのは、気のせいだろうか?
「セバスチャン、本当にタクミさんにお願いするの?」
「もちろんです、クレアお嬢様。むしろタクミ様以外に頼める方はいないと思いますよ?」
「それは、そうだけど……注目されるのは慣れているけれど、さすがに恥ずかしいわ」
「クレアが恥ずかしがる事って、一体……?」
クレアが困ったようにセバスチャンさんと話している。
どれだけ街中で目立って注目されても、人前に出る事に慣れているクレアは、恥ずかしがる事はこれまでなかったはず。
そんなクレアが恥ずかしいと言う程の事って……?
「難しい事ではありませんよ、タクミ様。ラクトスの街を通り抜ける際に、クレアお嬢様を抱いて歩いて欲しいのです……」
「えぇ!?」
セバスチャンさんの言葉に驚いて、思わず大きな声が出た。
クレアの方を見ると、そうした時の事を思い浮かべているのか、恥ずかしそうに頬を赤らめさせてそっぽを向いている……満更でもなさそうなのは、あまり触れない方が良さそうだ。
ラクトスの街をクレアと……いや、クレアを抱いてって……。
通るのは多分というか、間違いなく一番人の多い大通りだろう……馬車も一緒に移動するだろうし、レオもいるから細い道は通れない。
当然注目を集める。
いや、俺とクレアの関係をそれとなく、むしろはっきりと? 報せるためにはもしかしたらいいのかもしれないけど。
でも、抱いてって……当然ながら正面から抱き合っている状態ではない事は確かだ、歩きにくいし、セバスチャンさんから言われたのは「抱いて」だからな。
となると、リーザのような体の小さい子供ならともかく、立派な大人の女性であるところのクレアを抱くにはいわゆる姫抱っこをするしかないわけで。
まぁ、今朝リーザにもやったし……俺がやるかはともかくとして、クレアがお姫様抱っこをされているのは凄く絵になるとも思うけど!
……クレアが俺以外に、お姫様抱っこをされているのを想像するのは、なんだかモヤモヤして嫌だな。
エッケンハルトさんなら父親だし、想像する時は俺自身かエッケンハルトさんにしておこう。
って、余計な事をグルグルと考えてしまうあたり、相当混乱しているのが自覚できた。
「いや……えっと……嫌じゃ、ないんですよ? でも、その……恥ずかしいと言いますか……」
「あれだけ、私だけでなく使用人達の前でも、抱き合っているお二人でもですか?」
「それは……はい、申し開きの言葉もありません」
クレアに告白してからこっち、抱き合っている姿を見られた事は数多い。
セバスチャンさんに覗き見していた事を謝罪されて、その時はあまり注目しないでいてくれたら……というような事を言った覚えがある。
けど自分の行動やクレアの行動を思い返してみると、わざわざ注目されようとしていると思われても仕方ないくらい、誰の前とか関係なく抱き合ったり、微笑み合ったり……囁き合ったりなどもしていたっけ。
それこそ、屋敷の使用人さん達で俺とクレアのそういった場面を、見ていない人はいないくらいに……。
考えれば考える程、自重とした方がとかもっと時と場所を考えろなんて、自分に言い聞かせたりはするんだけど。
でもなぜか、クレアを目の前にすると反省していた事が全部吹き飛んでしまっていた。
それだけ、お互いずっと我慢していた事や一緒にいたい気持ちなんかが、溢れてしまっていると考えられもするけども。
いつか落ち着く日が来るかな? と思いつつ、ずっとこうかもしれないと思っていたり。
「……私、重くてタクミさんには負担かもしれません……」
俺が頭の中で色々考えているのが、嫌がっているように見えたのか、クレアが落ち込んだ様子で呟いた。
クレア、どちらかというと恥ずかしさもあって消極的反対だったんじゃないの!?
「うぇ!? い、いやそんな事は……うん、そんな事は絶対にないから!」
クレアの気持ちが重いなんて事は絶対……うん? いや違うな、そういう重さじゃなくて体の重さって意味かと、否定するように叫んでから気付いた。
重いか重くないかは……そりゃ、リーザよりは重いだろうけど……でも、クレアの体重が重くて負担になるなんて事は絶対にない。
これでも毎日鍛えているし、クレアを抱き上げるのは簡単……ラクトスの端から端までずっとだったら、ちょっと辛いかも?
いやいやいや、クレアはマルチーズだった頃のレオより軽いし! 気持ち的に!
「だ、大丈夫! クレアなら一日中でも負担にはならないくらいだから!」
ま、まぁ、ダイエットとか気にして頑張っているからな、大丈夫だろう――。
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