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第1210話 外での調理準備が完了しました
第1210話 外での調理準備が完了しました
「チチ? チチ!」
「チー! チー!」
「あ、コッカーもトリースも、あまり火に近付くなよー! 焼き鳥になっちゃうから!」
「「チッ!? チー……チー……」」
簡易的な竈は、レンガで囲んで薪を入れて火を点け、その上に鉄板を乗せた物だ。
外で火を点けて調理というのが珍しいのか、コッカーとトリースが一緒にその簡易竈の火を覗き込むようにしていたので注意。
羽毛に火が点いたら大変だからな……注意した俺の声を聞いて驚いて飛び上がったコッカー達は、少し距離を離しつつ、恐る恐る火を覗き込んだ。
火への興味は尽きないようだ。
「ワフ! ワフ! ワフー!」
「ママ頑張れー!」
「ワッフ! ワウ!?」
「あははは、ママすごい!」
レオは、俺達が作った簡易竈に対し、順次魔法で火を点けて行っている。
背中に乗ったリーザに応援されて、意気込み過ぎた時折レンガごと吹き飛ばしてしまったりもしているけど……まぁ楽しそう、かな。
「レオ様、もう少し火の勢いを小さくしてもらえると助かります……」
「ワフ……」
「ははは、レオも頑張っているな。まぁ、フォローしているチタさん達にあっちは任せよう」
チタさんやシャロルさん、キースさんやジェーンさんなどが、火を点けるレオを注意して見つつ、簡易竈の最終調整をしてくれている。
レオもやり過ぎた時は、すぐ反省しているようだし俺が注意しなくても大丈夫そうだ。
さて、薪の方も準備できているようだし……念のための消火用の水もある。
調理台の設置も終わったようだから、あとは食材を準備しているヘレーナさんが来たら、ハンバーグ作りを開始しつつフェリーが戻って来るのを待つだけだな。
ちなみに消火用の水は本当に念のためで、延焼とかしない限りは、使用人さん達が魔法で消火してくれるらしい。
飲料用ではないけど、水を出す魔法があるからな……俺も一応、教えてもらっている。
試しに使ったところ、魔力によって水量を調節できる結構便利な魔法だった。
飲料としてはお勧めできないのが少し残念だ……あと、調子に乗って水を出しっぱなしにしていると、体がだるい感覚があったんだけど。
セバスチャンさん曰く、あれが魔力の使い過ぎた場合の症状だと喜々として説明してくれた。
水道の蛇口を目一杯ひねって勢いよく水を出すくらいで、三十分程度でそうなったから、忘れないように感覚として覚えておいた方がいいとも。
ギフト程じゃないけど、魔力も使い過ぎは体の不調を来す原因になるので、そうなる前に留めておくべきだとか。
水を出したくらいでだるくなるって、自分の魔力に自信がなくなりかけたけど……セバスチャンさんにはむしろ感心された。
なんでも、平均的な人間の魔力であれば、勢いよく十分出すのが精一杯だと……まぁ、かなり勢いよく出していたから、魔力を垂れ流しにしていると考えれば、三十分も出し続けていればかなりの量になるのか。
クレアやティルラちゃんは、もっと長くできるだろうけど……。
「タクミ様、準備が整いました!」
「ヘレーナさん、ありがとうございます」
そんな事を考えつつ、レオ達が無事全ての簡易竈に火を点けて、満足そうにしているのを眺めていたら、ヘレーナさんが屋敷から出てきた。
料理人さん達を引き連れて、それぞれ大量の食材も持っている……よし、後は調理に入るだけだな。
「タ、タクミ様……本当に私も手伝ってよろしいのでしょうか? その……以前に大失敗しましたのに……」
ヘレーナさんにお礼を言いつつ、それぞれの食材を調理台に乗せていざ調理……となる前に、自信がなさそうに委縮しているゲルダさんから、話しかけられた。
前回の失敗があったから、今回も何かやってしまうんじゃないかと考えているようだ。
「ゲルダさん、大丈夫ですよ。今回は、オークの血抜きを近くではやっていませんから。それに、ミンチ肉を捏ねて成形するくらいです」
前回は、むしろ失敗して大惨事になるのが決まっていたかのように、近くでオークの血抜きをしていたからなぁ。
でも今回は、事前にヘレーナさん達に話してそれなりに備えているし、近くには危険な物を置かないようにしてある。
もし失敗しても、ミンチ肉が地面に落ちて食べられなくなるくらいだ……もったいないので、そうなった物はコッカー達が食べるけど。
むしろコッカー達は、役割を与えらえて嬉しそうでもあった。
「ゲルダ、タクミ様がせっかくの機会を与えて下さったのですから、やってみるべきではないですか?」
「ライラさん……はい、わかりました!」
諸々の準備を手伝ってくれていたライラさんからも、ゲルダさんに激励の言葉。
小さく震えてもいたゲルダさんは、その言葉で口を引き結び、やる気を出してくれたようだ。
……意気込み過ぎたり、緊張しすぎると失敗のもとにもなるかもしれないけど……拒否されるよりはいいか。
「またゲルダの料理、私も食べてみたいですからね」
「はい。ライラさんにも食べて欲しいです。もちろん、皆にも!」
「そういえば、ライラさんに料理を教えたのって、ゲルダさんだったっけ……」
屋敷で過ごしている二人を見ていると、なんでもそつなくこなすライラさんだから、ゲルダさんに料理をというのは想像しづらい。
けど、実は料理が上手いらしいゲルダさんが、ライラさんに教えたと聞いた。
その頃も既に、ある程度ドジというか……確か料理をすると必ず、何かしらの失敗をすると言っていたけど、今ほど酷くなかったのかもしれないな。
少なくとも、料理はできていたんだから。
「……私が教わった時も、小さな傷……刃物で指先を切るとか、その程度の失敗はしていました。ですが……いつ頃からでしょうか、物をひっくり返したりと、完成させるのも難しい失敗をするようになったんです」
ゲルダさんが準備をするために、まず手を洗いに行く背中を見つめながら、昔を思い出すように話すライラさん。
刃物で指先を切るか……まぁ、食材を切るのは当然だから、料理をするうえで誰もが一度は経験していてもおかしくない事だな。
俺も、初めて料理した時は猫の手を知らずに、よく指先に絆創膏が常に巻かれていた頃もあった。
今思えば、経験者が見たら危なくてハラハラするような手際だったからなぁ――。
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