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第1113話 体が重いのは寝不足のせいだけではないようでした
第1113話 体が重いのは寝不足のせいだけではないようでした
「はぁ……とりあえずは、今決める事は決まりましたかね?」
「そうですね……急いで決める必要がある事は、今はないかと」
息を吐き、考え事でフル回転状態だった脳を解す。
座ったままだけど、伸びをしてリラックスだ……使用人の選択を考えていての寝不足から、指名時の緊張感、お金に関する相談と続いたからなぁ。
充実感を感じながらもちょっと体が重いのは、寝不足が一番の原因か。
「お疲れ様です、タクミ様。どうぞ」
「ありがとうございます。ん……はぁ……。ライラさんの淹れてくれたお茶を飲むと、やっぱり安心できますね」
労われ、お茶を淹れてくれるライラさんにお礼を言いながら、一口飲む。
このお茶を飲むと休んでいる感覚と共に、安心する感じもするなぁ。
「……タクミ様、少々お顔が赤いように感じますが?」
「そうですか?」
お茶を飲んで、椅子の背もたれに体重をかけて休憩していると、ライラさんがふと気付いたように俺のを顔を覗き込む。
顔が赤いなんて、特に恥ずかしいとか照れる事があったわけじゃないんだけどなぁ。
お茶が熱かったとかでもないし……クレアのように、頻繁に顔が赤くなるわけでもない。
「失礼します」
「……ライラさん?」
俺の事を心配してくれたのか、ソッとライラさんの手が伸びて俺のおでこに当てられた。
これが一番、顔が赤くなりそうではあるけど……。
「タクミ様、もしかして体の調子がいつもと違ったりはしませんか? 少々、熱があるように感じられます」
手を当てたままのライラさん……顔が赤くなるどころか、体温上昇の一番の原因はこれじゃないかと。
「えっと、ちょっと寝不足なので体が重いなぁとは。……言われてみると、体が熱いような気がしないでもない……ですかね?」
寝不足だったのは間違いないし、使用人さんを指名する時からずっと……その前からかな? ともかく体が重く感じるのは確かだ。
実は、朝食後に疲労回復の薬草を食べておいたんだけど、寝不足が原因の疲労にはあまり効果がないらしく、ほとんど意味はなかった。
その他にも、確かに体温が高いような、いつもより自分の手足が温かい気はする。
「やはり……寝不足が原因かはわかりませんが、お休みになった方がよろしいかと。病に罹っているかもしれません」
「そんな大袈裟ですよ。疲労回復の薬草の効果はありませんでしたけど、これくらいなら平気です」
険しい表情になったライラさんだけど、病というのは大袈裟だと思う。
このくらいの体の重さや熱なんて、日本で働いていた頃はよくあったし、それでも変わらず働いていたからな。
「疲労回復の薬草を……? それでも寝不足からの不調が回復しなかったのなら、尚更です! 私は以前タクミ様から頂いた疲労回復の薬草で、寝不足での疲れも取れました。効果がない事はあり得ません!」
「え、そうなんですか……?」
険しかった表情が、今度は訝し気になるライラさん。
そこから強めに注意されてけど……あれ、疲労回復の薬草って寝不足にも効果があるのか。
睡眠時間が少ない場合の不調は、主に疲労が蓄積される事だから……そう考えると疲労の一種として回復しないとおかしいか。
だとしたら、疲労回復の薬草を使えば寝ずに延々と働く事ができる? いやいや、今はそんな事を考えている時じゃないか。
「キースさん、至急セバスチャンさん達に報せて下さい。私はこのままタクミ様を」
「畏まりました!」
「そんな、皆に報せなくても……あ、行っちゃった」
ライラさんが頼み、すぐに部屋から出て行くキースさん。
止めようと思ったけど、本当に俺自身が不調なのか声が小さかったせいもあって、キースさんには聞こえていなかった様子。
「タクミ様、キースさんの事よりまずは横になって下さい! 休む必要があります!」
「いやいやライラさん、これくらい平気ですって。ちょっと体が重いかな? というくらいで、全然動けますから」
キースさんが出て行った扉を見ている俺に、ライラさんが訴えかける。
ちょっと熱があって体が重く感じる以外は、咳も出ていないし、他に不調に感じる事はない……風邪というか、発熱時によくある関節痛は、意識したらそういえばちょっと痛いかもと、思うくらいだ。
「ほら、大丈夫ですよ。これくらいならこれまでも働いていた経験がありますから。心配する程じゃありませんよ?」
椅子から立ち上がり、大丈夫という事をライラさんにアピールするため、腕を上げたり降ろしたり、スクワットみたいな動きをしたりしてみる。
うん、やっぱり動こうと思えば動けるな。
日本で仕事をしていた時は、これくらいで休む事なんてなかった……というより、働き始めてすぐの頃に一度休んで怒られてからは、休めなくなったんだけど。
ともかく、慣れているのでこれくらいは平気だ……まだ決めないといけない事、特に誰を雇うかの相談もしないといけないのに、今は休んでいられない。
「駄目です! 無理をし過ぎですタクミ様! タクミ様はこれから私達使用人を雇い、人の上に立つ方なのです。私のような使用人とは違って、替えが利くわけではありません! それに、タクミ様にもしもの事があれば私だけでなく、レオ様やリーザ様、クレアお嬢様も悲しみますよ!?」
「あ……はい、すみません」
いつも冷静というか、淡々としている部分のあるライラさんにしては珍しく、動く俺の手を引っ張りベッドまで引っ張りながら大きな声で怒られる。
いや、怒られるというより叱られるの方が適切か。
そこまで言われては、俺も平気な事をアピールし続ける事はできず、おとなしく従ってベッドに向かうしかない。
替えが利かないなんて、初めて言われたなぁ……。
「タクミさん!」
「ワフ、ワフ!」
「クレアにレオ? キースさんが呼んだのかぁ」
「クレアお嬢様、レオ様、もう少しお静かに。タクミ様のお体に障ります」
「あ、ごめんなさいライラ。タクミさんも」
「ワフゥ……」
ライラさんに手を引かれ、ベッドに座ったくらいのタイミングで部屋に飛び込んできたのは、クレアとレオだ。
キースさんが伝えてからすぐに来てくれたんだろう……心配してくれるのはありがたい。
けどライラさん、大きな声を出されたからって体に障るとかそんな事はないですからね? 重病人じゃないですから――。
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