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第1093話 レオとフェリーを風呂に入れました
第1093話 レオとフェリーを風呂に入れました
「「「はーい!」」」
「グ、グル!」
元気よく答えたのは、フェリー担当のチタさんと、レオ担当のリーザとティルラちゃん。
三人共、楽しそうだ。
レオの担当はクレア、セバスチャンさん、リーザとティルラちゃん、それからアルフレットさんとシェーンさん達以外に補助として屋敷の使用人さん達。
フェリーは初めてなので慣れている俺とライラさんや、チタさんとこちらにも屋敷の使用人さん達がいてくれる。
「ワブブブブ」
「こらレオ、口を開けちゃいけないだろ?」
「プスー」
リーザとティルラちゃんが、少し強めに水を掛けてしまったせいか、口を開けて何やら鳴き声を出そうとするレオ。
変な声が出ていたのを聞いて、そちらに注意を送ると、口を閉じて鼻から抜ける空気で返事をしていた。
まぁ、顔を洗うのは最後のはずなのに、リーザ達に駆けられて驚いたからだろうけど……一応、そちらにも注意はしておく。
「よしよし、フェリーはおとなしくしてくれているなー」
「グルゥ? グルル……?」
「あぁ、返事はしなくていいぞ? 口を開けると、レオみたいになるからな」
「グル」
体に水を掛けられただけで、レオから言われていたような辛さみたいな事がないからか、おとなしくしながらも首を傾げて問いかけて来るフェリー。
返事をしなくていいと言えば、素直に短く頷いてギュッと閉じてくれる……先程まで、フェンとあれだけ激しく戦っていたのに、警戒して体を硬直させているのが、なんだか面白い。
「タクミ様、フェリーの毛がぺちゃんこになりました!」
「あはは、それは濡れたからですよ。ほら、人の髪の毛だって濡れたら同じようになるでしょ?」
「確かに……成る程ぉ、フェンリルでもそこは変わらないんですね……」
顔以外に何度も水を掛けられて、ずぶ濡れ状態のフェリーはモコモコしていた毛が水を吸って縮んだようにすら見える。
驚くチタさんは、俺の言葉に納得して感心しきりだ。
「こうしてみると、やっぱりフェリーはレオより小さいんだなぁ。まぁ、それでも俺達人間と比べると大きいんだけど」
「そうですね。濡れた状態で見てみると、レオ様よりさらに小さく見えます」
俺に同意するライラさん。
全身が毛で覆われている生き物……犬とか猫を風呂に入れた事のある人はよくわかると思うけど、濡れた状態になると毛が張り付いたりしてかなり小さくなったように見える。
フェリーも当然そうなんだけど、思っていたよりさらに小さく見えた。
普段の毛がモコモコしていて量が多いせいだろうか、馬と同じくらいの大きさに見えていたはずが、今はその半分……は少し言い過ぎにしても、それに近い印象になった。
レオは濡れてもそこまで小さい印象にはならないんだけど……毛質の違いもあるんだろうか?
フェリーはモコモコした毛で、羊毛に近い触り心地と見た目だ……近いだけで、触るとはっきり違うとわかるんだけど。
レオの方は、サラサラしていながらも触るとふんわり受け止めてくれるような感触だな。
「それじゃ、そろそろ本格的に洗って行きましょう。えっと……」
「タクミ様、こちらに」
「あぁ、ありがとうございます」
大体は水で流したので、次は汚れを取る段階だ。
ライラさんから、スッと桶を渡される……そこには泡立て済みの石鹸が入っていて、他の人達にも渡されていた。
俺がメイド長に、と言ったからかなんなのか、いつもより俺の先回りをして色々な準備をしてくれるライラさん。
今までと同じでいいと思うんだけど、ライラさんが頑張ろうとするのを否定したくないので、そのままにしておこう……助かっているのは間違いないしな。
ちなみに石鹸は、俺達人間が使う物と変わらない物だけど、日本にある物ほど洗浄力が強くない代わりに、刺激が少ない。
固形石鹸にしろ液体石鹸にしろ、科学的な物ではなく自然物だけで作られているから、だと勝手に考えている。
なので、レオ達にも使って大丈夫だろう……まぁ、ここに来てからの様子を見るに、レオもそうだけどフェリー達も人間よりよっぽど毛や肌は丈夫そうだけども。
「そうそう、丁寧に毛と毛の間にある汚れやほこり……土や砂なんかを取り除きながら、洗って下さい。多少なら大丈夫でしょうけど、力を入れ過ぎて引っ張らないように気を付けましょう」
「はい!」
「結構、落ちにくい汚れもあるんですね……」
「んっ……しょっ。中々、力の加減が難しいです」
ライラさんから受け取った泡立った石鹸を、手本を見せるようにしてフェリーの毛に付け、ゴシゴシと汚れを落としていく。
チタさんは意気込んで頷き、アルフレットさんは汚れに苦戦、シェーンさんは程よい力加減に苦戦している。
俺も最初は、シェーンさんのように力加減が上手くできなくて、レオの毛を引っ張ってしまったりもしたなぁ……特に、手が絡まった毛に引っかかった時とか、無理矢理解かない方がいいのにそのままとか……。
あの時は、今のように正確な意思疎通ができていなかったからわからないけど、もしかしたらそれもレオが風呂嫌いになる要因の一つだったのかもな。
「ママ綺麗になろうねー」
「レオ様の綺麗な毛、私は好きですよー」
「キューン……」
「ははは、あっちも楽しそうだ」
チラリとレオの方を見てみると、せっせと一生懸命リーザとティルラちゃんが、声を掛けながらレオの体を洗っていた。
口をあけないように、レオからは情けない鼻から抜ける声が聞こえたけど。
「レオはともかく、フェリーの方はもう少しかかりそうだなぁ」
顔以外の全身が泡だらけになったフェリー。
一度水で洗い流してみた後よく見てみると、まだ汚れが残っている……戦っていた以外にも、これまでしっかり汚れを落とすような事がなかったからだろう。
「キューキュー」
「……フェリーもそんな声を出せるのか。よしよし、もう少し我慢してくれなー?」
「キュー」
口と目を閉じているフェリーは、まだ終わらないかと言うように高い声を鼻から出した。
いや、鳴き声と言うより高い音ってくらいか、ちょっとシェリーの鳴き声に似ているけど。
もうしばらく我慢してくれとお願いするように、また石鹸を付けて撫でるようにしながら洗ってやる。
こちらは、まだ体を洗われている段階だからか、おとなしく聞いてくれたようだ――。
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