【大感謝!510万PV突破!】異世界転移したら飼っていた犬が最強になりました~最強と言われるシルバーフェンリルと俺がギフトで異世界暮らしを始めたら~【Web版】
第1089話 戦いの勝利者が決まりました
第1089話 戦いの勝利者が決まりました
リルルの背中にしがみ付いているリーザやシェリーは、歓声を上げているけど……セバスチャンさんやクレア、それから俺は驚くばかりだ。
人間ではあり得ない戦いが見れる、とは思っていたけどまさか見えない程の速度で戦われるとは思っていなかった。
さっき、宙を蹴って体勢を変えたり反転していたのって、もう意味がわからない……離れて見ている俺達からすると、空中に見えない足場や壁があるようにも見えてしまったくらいだ。
これで魔法まで使って全力で戦われると、場合によってはキロ単位で離れているはずの屋敷にまで影響が出てもおかしくないくらいだ。
ほんと、何度も言うけど魔法を禁止にしておいて正解だったなぁ……。
というか、空中で軌道を変えるあれは魔法じゃないのか? 単純な身体能力でなんとかできるような事なんだろうか……? まぁ、レオが何も言わないんだから、魔法じゃないんだろうけど。
「パパー、フェリーもフェンもすごいねぇ! でも、あのままじゃフェリーが負けちゃうかなぁ?」
「凄いのは確かだけど……フェリーが不利なのか。って、リーザ? もしかしてフェリーとフェンの戦いが見えているのか?」
感心した様子のリーザだけど、フェリーが不利だとわかるって事はもしかして、と思って聞いてみると、はっきり見えているわけではないらしい。
ただ、リルルの背中にいるリーザを見てみると、俺と話しながらもレオ達と同じ方へと視線を向けていた。
「はっきりとは見えないけど、感じる、かな?」
「感じる……」
考えるな、感じろ……というのとはちょっと違うか。
ともあれ、目だけでなく耳も忙しなく動いている様子なので、動きの気配のようなものを感じ取っているのかもしれない。
さすが獣人と言ったところ、なのかな?
それから大体十分程度、突発的に襲いかかる突風などに耐えて過ごしていると、唐突に戦闘の終わりが訪れた。
「ガウ、ガウー!!」
「グルゥ~……」
「……終わった、のかな?」
「みたいですね……」
ドンッ! という一際大きい音と衝撃の後、地面に小さなクレーターができており、そこにフェリーがへそ天状態で頭をグルグルとさせていた。
フェンはフェリーのお腹に前足を二つとも乗せ、押さえた状態で顔を空に向けて大きく吠えて勝ち誇っているようだ。
リーザの言う通り、フェリーが不利だったらしくフェンが勝ったのか……本当にわかっていたんだなぁ。
「ワフ。ワフー!!」
「アオォォォォォォン!!」
「グルゥグルゥ……」
レオが遠くからでもはっきりわかる程頷き、前足を上げてビシッとフェンを指し、吠えて勝者宣言。
フェンの勝ちと言っているようだから、見た目通りのようだ。
レオの宣言を受けて、フェンはさらに勝ち誇って喜びの遠吠え……フェリーは目が回っているのか、顔をぐらぐらと揺らしながら、ちょっと情けない鳴き声を上げていた。
「よしよし、大丈夫か?」
「グルゥ……」
「ガウ……」
「ははは、フェンもちゃんと撫でるから。凄い戦いだったぞー!」
「ガウ!」
少し経って、ひっくり返ったままのフェリーのお腹を撫でて慰めてやる。
フェンに勝つ気満々だったのに、結果負けてしまったため、落ち込んでいたからな。
そうしていると、フェンが顔を寄せて撫でて欲しそうにしたので、そちらはガシガシと少し強めに褒めるのと一緒に撫でてやる。
褒められて嬉しかったのか、フェンの方は誇らし気に鳴いた。
「ワフゥ?」
「レオも後で撫でるから、今はフェン達だ」
「ママは私が撫でるよー」
「私もです!」
「ワフ~」
フェンやフェリーを交互に撫でる俺を見て、レオが自分は? と少し寂しそうに鳴く。
撫でてやりたいが……俺の手は二つしかないし、今は戦闘後のフェリー達を労うため我慢してもらおう。
と思っていたら、リルルの背中から降りたリーザや、ラーレの所からかけてきたティルラちゃんがレオに抱き着きながら撫でてくれた……クレアや使用人さん達も一緒のようだ。
レオはご満悦な声を漏らしているから、大丈夫そうだな。
「それにしても、フェリーもフェンも、結構汚れているなぁ」
「ガウ?」
「フェリーもそうだけど……俺達にはよく見えなかったが、それだけ激しい戦闘だったって事か」
「グルゥ」
改めてフェリーとフェンを撫でながら見てみると、体のあちこちが土で汚れていたり、毛が絡まっていて撫でる手が引っかかったりしている。
尻尾をブンブンふりつつ戦闘の興奮状態が続いているためか、手が引っかかったりしても、むしろそれすら撫でられる気持ち良さになっているみたいではあるけど。
「フェリー達も、風呂に入れないといけないか……」
レオを風呂に入れる事はあったけど、フェリー達を入れる事はなかったのを思い出す。
ある程度以上は、体を振るわせて汚れを落としたり川に入って綺麗にしているんだろうけど、一度ちゃんと洗ってやるのもいいかもしれないな。
「ワ、ワフ!?」
「ガウ?」
「グルゥ?」
「なんでそこでレオが反応するのか……まぁ風呂嫌いだからなんだろうけど」
リーザ達に撫でられてご満悦だったレオが、俺の口から出た風呂という言葉に反応し、驚きの鳴き声を上げる。
そんなレオの様子に、フェリーとフェンは仲良く首を傾げた。
最近は少しマシになって来ているとはいえ、やっぱりレオは風呂嫌いだなぁ……。
「まぁ、それは屋敷に戻ってからだな。……ん? リルル?」
「ガウゥ」
「ガウ、ガウ~」
ふと、俺のいる場所が陰ったと思ったら、後ろにリルルが来ていた。
そのリルルは、俺を挟んでフェンに顔を寄せて頬を擦り付ける。
嬉しそうに鳴くフェンの声を聞くに、勝った事を褒めているとかそういう感じだろう。
仲がいいな。
「グルゥ……」
「あはは、フェリーも頑張ったんだから。ほら」
「グルゥ~」
フェンとリルルの様子を見て、何やら羨ましそうに見るフェリー。
また落ち込みかけたので、苦笑しながらお腹を撫でてやる……そういえば、フェリーには番とかっていないのかな? 群れのリーダーって事は、いてもおかしくないと思うけど。
そんな事を考えながら、しばらくフェリー達を撫でて労ってやった。
その際、調子に乗ったフェンがフェリーに対して勝ち誇る瞬間があったけど、老いたフェンリルに勝ったからって調子に乗るな、と言うようにリルルから諫められたりしていた。
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