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第1059話 ゴムを使っての酔い止め法
第1059話 ゴムを使っての酔い止め法
「そうなのですね。数が少ないのでしたら、少々素材としての供給に不安が残りますな……」
「スリッパに使う分程度なら大丈夫だと思います。まぁ、この街の住人が全員一度に買いに殺到する、とかでなければですけど」
「さすがに、そのような事は起こらないでしょうな。なら……?」
「今見せている形の物なら、定期的に一定数提供できますよ」
「でしたら、スリッパの滑り止めにも使えますな。しかし……費用が気になるところではあります」
素材提供は特に問題ない……というか、ゴムを周知させると言う程大袈裟ではないけど、緩やかに知ってもらうためにスリッパは丁度良さそう、というのがセバスチャンさんの意見。
売れすぎる事はなく、素材を提供しても枯渇しない程度になるからって事らしい……『雑草栽培』があってこその物のため、一気に広まってゴム自体が足りない事態にならないようにだな。
ちなみに、スリッパに採用された場合定期的にゴムを作って卸す必要があるけど、これは今のところ公爵家が担当してくれる事になっている。
価格も抑えてスリッパの製作費を跳ねあがらせないようにとか、売値を高くし過ぎないために色々考えてくれているようだ。
後々は、これも俺が雇った執事さん達が管理するようになる……と言われたけども。
費用に関しては安くできる事を約束しつつ(これも公爵家と相談済)、とりあえず試作スリッパに付けて見て試す事になった。
足先が出る物でない物、耳が付いている物いない物などなど、色んなバリエーションのスリッパができそうだな……一応、スリッパに使う布というか、布地の染色に関しても好みがあるため色んな種類を作るよう話をした。
……これは、ハルトンさんの店で商品を見ているシャロルさんが、服の色について店員さんと話していたのを聞いたからなんだけど……結構、こういう所に商売のヒントってあるものなんだなぁ。
それが成功するとは限らないけど。
「ゴムとは不思議なものです」
ハルトンさんの仕立て屋を出て、クレアと合流する事になっている、ハインさんの雑貨屋さんへと向かいながら、キースさんが呟く。
「そうですか?」
「はい。伸縮性があるのに、耐久性もあり……樹液の状態や、レオ様やフェンリル達がおもちゃにしている物は白いのに、先程仕立て屋で見せた物は黒です。それに、熱を加えなければ口の中に入れる事もできます」
「そう言われればそうですね……」
確か、ゴムって何かと混ぜる事で色んな性質を持たせる事ができる……だったっけ? ゴム自体にも、いくつか種類がある事は知っているけど、あまり詳しくない。
でも、俺にとってはあって当たり前の生活だったから、あまり不思議に思う事はなかった。
まぁ、さすがに乳白色の樹液が黒くなったのには驚いたけど……タイヤのゴムを思い出した。
「そういえば、エミーリアが喜んでいました。ゴムのおかげで、少しは体調が良いと」
「エミーリアさんが、エンジェルフォールをしなくなって安心です」
「セバスチャンさんやヴォルターさんとか、他にも効果を実感しているみたいですね、よかったです。」
アロシャイスさんとチタさんが、二人で安心したように話す。
乗り物で酔ってしまうのは、体調も大きく作用するけど体質に拠るところもあるからな。
本人が酔いたくなくて酔っているわけじゃないのに、エンジェルフォールをしてしまうとその度周囲に迷惑が掛かってしまうし。
ラーレやフェンリル達の背中を汚すわけにもいかない……エミーリアさんと一緒にフェンリル達へと乗る機会が多い、チタさんやシャロルさんは特に安心しているだろうな。
ちなみに俺達が話しているのは、簡易的な酔い止めのための措置についてだ。
以前、ガムを噛んでいたり梅干を食べたりという、民間療法的な酔い止め法の話を聞いた事があって、それをゴム……熱して性質が変わる前の、チューインガムを噛んでもらって試してみた。
……梅干しは食べるんじゃなくて、へそにっていうのもあるけど、梅干しがないのとさすがにへそにくっ付けるのは試したいと思わないが。
とにかく、チューインガムを酔ってしまう人達に噛んでもらい、ラーレやフェンリルに乗ってもらうと少しだけ効果が出た。
劇的な効果ではなかったのは残念だけど、多少気分が悪くなって酔う事はあっても、これまでのようにエンジェルフォールを我慢するまでにはならなかったらしい。
エミーリアさんだけでなく、セバスチャンさんが特に喜んでいたけど……ヨハンナさんやフィリップさんもか。
そうして、ゴムはほんの少しだけ乗り物酔い対策に使われるようになった、という経緯だ。
当初のゴムの使用目的とはズレているけど、噛むためのガムは本当に少しだから、問題はないと思う。
ゴムの事を話したり考えたりしているうちに、雑貨屋の近くまで来る。
入り口の前では、ティルラちゃんが俺達に向かって手を振っているのが見えた……人が多いのもあるけど、あそこだけ雰囲気が違って目立つなぁ。
ほとんどが、日の光を反射して綺麗な輝きを示す金髪のクレアが原因な気がするけど。
まぁ、レオを連れているこちらも、あれ以上に目立つのは間違いないか。
「レオ様ー! タクミさーん! リーザちゃーん!」
「ワフワフー!」
「ティルラお姉ちゃーん!」
手を振るだけでなく、叫んで俺達を呼ぶティルラちゃん。
応えるレオやリーザを横目に、ティルラちゃんや隣で苦笑して小さく手を振るクレアに向かって、俺も手を振った。
「タクミさん、イザベルやハルトンとの話はどうでしたか?」
「イザベルさんには、感謝しないといけないね。あと、ゴムの滑り止めも含めて、スリッパはもう少しでできそうかな」
お互いが駆け寄るレオ達やティルラちゃんとは別に、クレアからここに来るまでの事を聞かれる。
イザベルさんから値引きされていた事や、タイニーライトを買ってきた事を伝え、スリッパの販売はもうそんなに先の事ではないと伝えた。
スリッパはゴムを付けて試用したら、あとは販売するために生産するくらいだろう。
販売用の数を用意する製作時間はかかるだろうけど、試用するのはそんなに時間はかからないはず――。
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