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第985話 色選びと追加注文をしました
第985話 色選びと追加注文をしました
「ふむふむ、それじゃとりあえず五つお買い上げですね、毎度ありがとうございます。えっと、こっちに他の在庫が……セバスチャン、ちょっと手伝うさね」
「人使いが荒いですな、イザベル。私はお客なのですが……」
「ぼーっと立っているだけなら、手伝ったっていいじゃないか。それに、あんたは買わないんだろう?」
「わかりました……」
イザベルさんが椅子から立ち上がり、在庫が入っているらしき箱からタイニーライトを出しながら、セバスチャンさんに手伝わせる。
さすがのセバスチャンさんも、イザベルさんにはかなわないのかな?
仲がいいのだと思っておこう。
セバスチャンさんとイザベルさんが協力して、タイニーライトを色別に並べ、その中から自分の好きな色を選ぶ。
「タクミさんは、どんな色にしたんですか?」
「俺は……単純ですけど、男なので青にしました」
「私はピンクにしましたよ、姉様」
「リーザは白だよー」
クレアが選びかねているようで、俺が選んだ色を聞かれる。
俺は男だから、合いそうな青色だ。
ティルラちゃんは淡い桜色のような、ピンクに光るタイニーライトを持って嬉しそうに報告。
リーザは以前から親しんでいて好きと言っていたからだろう、迷わず白色を選んだ……銀色がないから、白はレオの色がいいかなと思ったんだけど、まぁいいか。
「そうですか……どうしましょう、悩んでしまいますね」
頬に手を当てて悩むクレア。
色の数は全部で十種類あるけど、好きな色で決めていいと思うんだけど、目移りしてしまうのかもしれない。
暗めに発光する青系以外は、目を引くからな。
「……タクミさん、どの色がいいでしょうか?」
「えーっと……そうだね。クレアなら、黄色とかいいんじゃないかな?」
迷ったクレアが、俺に意見を求める。
俺には、色に関するセンスはないと思うんだけど……並んだタイニーライトの中から選ぶとしたら、黄色かな。
特に色合いについて考えたわけじゃないけど、クレアを見た時絶対に目に入る、綺麗な金髪。
エッケンハルトさん譲りの髪色をしているティルラちゃんとは違い、輝くような金髪はクレアを象徴しているような気がするんだ。
同じじゃないけど、金髪と黄色って似ているからな。
「黄色ですか?」
「うん。クレアの綺麗な髪色と似ているからね。あ、でもクレアが飾って鑑賞する物だから、自分の髪色と同じなのは微妙かな?」
「……あ、いえ! タクミさんが考えて下さった、黄色にします! ティルラやリーザちゃんとも違う色ですから」
選んだ理由を伝えると、一瞬ぼんやりした表情になった後、少し頬を染めながら首をブンブンと振ったクレアが、黄色に決める。
確かに他と色が被っていないけど、クレアの様子からは別の理由が垣間見えた……って、俺が選んだからだとかなら、嬉しいかな。
「それじゃ、レオにあげる色は……」
「パパ、リーザが選んでいい?」
「あぁ、いいぞ。リーザが選んだなら、レオも喜びそうだ」
残る色で、レオにはどんな色が合うかを選び始めると、リーザが決めたいと主張。
リーザが選ぶなら、レオはどんな色でも喜びそうだし、任せよう。
「あ、イザベルさん、今すぐじゃなくていいので、タイニーライトを他に……そうですね、五十個買えますか?」
俺達が持って帰る物以外にも、タイニーライトを複数買おうと思い、個数を適当に決めてイザベルさんに聞く。
五十個にしたのは、値段が鉄貨五十枚だからで特に考えていないけど……足りなくなるよりはいいかと、多めに注文。
それでも銅貨二十五枚だし、高い買い物という程じゃない。
「ご、五十!? そりゃ、注文されたらあたしは用意して売るさね。けど、そんなに必要なのかい?」
「これから人が増えそうなので、皆に渡して楽しんでもらおうかなと。あ、色は緑がいいか……緑を五十でお願いします」
急な大量注文で驚くイザベルさんに、色も指定して改めてお願いした。
注文したタイニーライトは、薬草畑で雇った人達に配ろうかなと考えている。
娯楽が少ないように思うので、ちょっとした楽しみでもできればってとこかな。
小さい物で邪魔になりにくいから、嫌がられないとは思う。
「はぁ、わかったさね。数が多いから日数はもらうけど、用意するよ」
「はい。急いではいないので、日にちはかかっても構いません。よろしくお願いします」
まだどれだけの人を雇うかは決まっていないので、ゆっくり用意してもらえばいい。
「タクミ様、数多くのタイニーライトを買って、どうするのですか?」
「えっとですね……」
俺が何をするつもりなのか、興味津々な様子で聞いてくるセバスチャンさんに説明しながら、リーザがレオにプレゼントするタイニーライトの色を選ぶのを見守る。
あれこれと発光させて楽しそうに選ぶリーザは、明るく鮮やかな水色に決めた。
俺の青と、リーザの白を混ぜような明るい色という理由らしい。
これなら、レオも喜んでくれるだろう。
タイニーライトを買ったり追加の注文をしたり、ランジ村の家で使う魔法具を選んで見積もりを頼んだり、イザベルさんのお店での用を済ませて、外へ出る。
どれだけの費用が掛かるか、用意するのにどれだけかかるかなどは、また後日改めて。
その時は厨房で使う物も考える必要があるので、ヘレーナさんなり他の料理人さんを連れて来る事になっている。
あと、執事さんもセバスチャンさんじゃなく、俺が雇うと決めた人を連れて来ないとな。
「おとなしく待っていてくれたなー。よしよし……ほら、レオ」
「ワフ。スンスン……ワフ?」
店の外でヨハンナさんに撫でられながら、待ってくれていたレオを褒めつつ、買ってきたタイニーライトをレオに見せる。
鼻先を近付けて匂いを嗅いだ後、何これ? と言うように首を傾げた。
「リーザとお揃いなの! これは、こうやると光るんだよー!」
「ワフ。ワフ、ワフー!」
「ははは、喜んでくれたようだな」
リーザが自分のタイニーライトを触って光らせつつ、俺がレオに見せているのも光らせて、使い方を楽しそうに教える。
皆で同じ物をというのが、よっぽど嬉しいようだ。
レオは触ると光る物と理解して頷き、リーザの持っている方と見比べて同じ物だとわかったんだろう、喜ぶように鳴いた。
喜んでもらえたようで、何よりだ――。
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