【大感謝!510万PV突破!】異世界転移したら飼っていた犬が最強になりました~最強と言われるシルバーフェンリルと俺がギフトで異世界暮らしを始めたら~【Web版】
第974話 ラクトスは騒ぎになり始めていたようでした
第974話 ラクトスは騒ぎになり始めていたようでした
「クレア様、皆様!」
「ご苦労様です。人が集まっているようですね?」
「はっ! 先程、西から空を飛ぶ魔物が街の中へ入りました。まだ被害などの報告されておりませんし、大きな騒ぎは怒っていないようですが……対応するため偵察隊を送り、我々はいざという時に備えております。また、状況によって住民の避難を誘導する準備に取り掛かっております!」
「そうですか……迅速な対応見事です」
ラクトスの西門、その手前でレオやフェリー達から降りた俺達。
いつもなら門を過ぎるまでレオに乗っていたりもするんだけど、今回は人が集まっていたからだ。
鎧に身を包み、武装して集まる人達……ラクトスの衛兵さん達が、物々しい雰囲気で集まっている。
ゆっくりと近付き、先頭のセバスチャンさんが指示を出していた隊長格と見られる人に話し掛け、事情を聞く……俺も顔は何度か見た事がある人だ。
それによると、飛んできたラーレは既に確認されているようだ。
一部の街の人達もラーレを見たのか、まだ早い時間にも拘らず衛兵さん達の向こう側……門を通った先に、ちらほらと人が集まっているのが見えた。
ラーレ自体は、街の中に入らなくとも一部の衛兵さん達も見た事があるはずなんだけど、多分高い場所を飛んでいたため、地上からちょっと見ただけじゃラーレだとわからなかったんだろう。
「想像通り、騒ぎになっている……なろうとしているようですね」
セバスチャンさんの横に、クレアも進み出て話しかける。
まだ街中が大騒ぎとか混乱とかまでにはなっていないようだけど、クレアが言う通りこれからってところだったんだろう。
早めに追いかけて良かった。
「クレア様、飛んできた魔物がどのような目的かはわかりませんが、ここは危険です。すぐに……」
「安心して下さい。その魔物はラーレです。なので、街の人達に危害を加える事はありません」
「は……ラーレ、とは。以前にも街の入り口に来ていた、あの鳥型の魔物の事でしょうか?」
隊長さん? が頭を下げ、クレアに危険だと伝えてラクトスから離れるように言うのを遮り、ラーレの事を話す。
ラーレを見た事があるらしく、驚いた様子で首を傾げた。
「そうです。ラーレはティルラの従魔になっている魔物です。こちらにレオ様がいらっしゃるのもあって、敵対行動や人を害する行動はしません」
「そ、そうなのですか……では、あの魔物の背にはティルラ様が乗っておられたのですか?」
「夜が明けた頃、ティルラがラーレに乗り、屋敷からラクトスへ向かったのです。すみません、妹がご迷惑をかけたようで」
隊長さんに頷き、ラーレが危険ではない事、ティルラちゃんが乗っていてこちらに来た事などを伝える。
その際、クレアが街の人達や衛兵さん達を騒がせてしまった事の謝罪のため、頭を下げる。
少しだけ離れて後ろで待機しているリーザやレオ、フェンリル達以外の、クレアを含めた使用人さん達が、セバスチャンさんに至るまで全員頭を下げた。
もちろん、俺も一緒に。
「いえ、そんな! クレア様が頭を下げられる必要はございません!」
「ク、クレア様、頭をお上げ下さい! 他の皆様も!」
隊長さんのみならず、集まっていた衛兵さん達が慌てる。
頭を下げているままなので、全ては見えないけど……俺達を見ていた全員が慌てたり戸惑ったりしている様子だ。
まぁ、領主貴族の娘であるクレアが来て、妹とその従魔が原因とはいえ頭を下げたら、驚くのも無理はないかな。
とはいえ、身分とか関係なくこうして頭を下げられる人だからこそ、多くの人に信頼されているんだと思う。
腰が低いというわけではなく、謝るべきところ謝れるって事だし……あくまで、俺個人の庶民としての感覚で好感が持てるってだけだけど。
「おそらくスラムにいると思いますが、間違いありませんか?」
「はっきりとはわかりません。ですが、降りて行った先が街の北側であり、スラムの方だったのは確認しております」
「そこから移動していれば、別の場所にいる可能性もあると。わかりました」
数分程度経って、慌てた隊長さんを含めた衛兵さん達が落ち着いて、セバスチャンさんがラーレの行き先を確認。
外壁の上とかからも確認していたようだから、建物に遮られずにある程度ラーレが降りた場所はそれなりにわかったようだ。
ティルラちゃんの目的がスラムだと知らないので、降りてから移動している可能性も考慮して、はっきりスラムにいるとは言えないんだろう。
「いかがいたしましょうか、クレアお嬢様?」
「そうね……まずティルラとラーレを発見する方が先ね。――ラーレが降りた方へは、偵察の兵からはまだ?」
「はっ! 鳥の魔物が街へと降りる姿を確認した際に、数人を向かわせました。ですが、報告はまだです」
「そう。私達も慌てて追いかけたから……」
俺達がラクトスに着いたのと、ラーレが着いたのはそんなに時間が離れていないんだろう。
準備があったから遅れてはいるけど……数十分くらいの時間差だとすれば、偵察して報告までされている程の時間はない。
西門からスラムまで、歩いて行くだけでもそれなりに時間がかかるからな。
走っても……大体十分以上はかかる距離だし。
「では、ここで報告を待つ者と、それから……そうね、フェンリル達の事を街の者達には?」
「周知させてあります。新しく入ってくる者もいますので、街の者達全てがというわけにはまいりませんが……少なくとも、ラクトスの衛兵全員と街の管理員、店を構えている者達には、報せてあります」
「わかりました。では、フェンリル達も一緒に街に入るので、衛兵に通達して下さい。協力してラーレやティルラの捜索をしてもらいます」
「はっ!」
ラーレは目立つから、見つけるのもそう苦労しないと思うけど、発見は早い方がいいため、危険はない事と同時に衛兵さんへも協力してもらう。
俺やリーザ、クレアとヨハンナさんは、レオやフェリーと一緒にラーレとティルラちゃんが向かったはずのスラムへ行く本命。
もしラーレとティルラちゃんがスラム以外の所へ行っていた場合を考えて、フェンやリルルは、シェリーも一緒に使用人さん達と一緒に街中の捜索……セバスチャンさんは、西門に残って情報の整理なども含めての司令塔的な役目だな――。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます