【大感謝!500万PV突破!】異世界転移したら飼っていた犬が最強になりました~最強と言われるシルバーフェンリルと俺がギフトで異世界暮らしを始めたら~【Web版】
第911話 フェンリルから話を聞きました
第911話 フェンリルから話を聞きました
「で、どうしてこんな所にいたんだ? って、それよりも姿を見せた時と、俺達をはっきり見た時で気配が変わったけど……」
「ガフ、ガフガフ……ガフ!」
「あ、すまない。――デリアさん、ちょっと怖いかもしれないけど、何を言っているのか教えてくれるかな?」
「は、はい……わかりました……」
フェンリルを撫でながら、本来なら森にいるはずなのにどうしてここにいるかなどの質問をしてみる。
撫で続けているのは、フェンリルが気持ち良さそうにしているから、なんとなく手を離しにくいだけなんだが……なんとなく、甘えて撫でて欲しそうにしているレオの事を思い出す。
ともあれ、俺の質問に答えようと鳴くフェンリルだが、何を言っているのかわからないので、デリアさんにお願いして通訳をしてもらう事にする。
頷いたデリアさんがフィリップさんから離れて、フェンリルに近付いてくれたけど、さすがにまだ恐怖心を完全に払拭できないのか、また俺の背中にピッタリと張り付いた。
……その状態じゃ、話しにくくないかな? デリアさんがそれでいいなら、いいんだけど……。
「えっと、それじゃまず最初はこちらを警戒していたようだけど……」
まぁいいかと、フェンリルに話を聞く事にして、いくつかの質問をした……話を聞く間、ずっと撫でていたから手が疲れたけど……。
デリアさんを通しての説明によると、なんでもこのフェンリルはよく森を離れてこの辺りに来るらしいんだが、普段は人間が近付いたらすぐに距離を取っていたらしい。
驚かせたり、怖がらせたりしないためらしいけど……気が利くフェンリルだ。
ともあれ、今回も俺達が近付いて来たために、距離を離そうとしたらしいんだが、その際に一つの気配というか、匂いに気付いたとの事。
その匂いは、俺からプンプンと漂っているレオの……というより、シルバーフェンリルのものと思われる匂いらしい。
その事を聞いて、そんなに匂うかな? と自分で匂いを嗅いでみたけどよくわからなかった……まぁ、人間の嗅覚だし自分の匂いってよくわからないものだしな。
……お風呂に入ったり、体を拭いたりもしていたし、服も洗っているのになぁ。
ちなみにその話を聞いた時、背中にくっ付いているデリアさんがコクコクと頷いているようだったので、デリアさんの方はレオの匂いを感じていたようだ。
その際に「タクミさんの匂いは安心できます……」なんてデリアさんが呟いたりして、少し照れるような恥ずかしいような微妙な気分だったが……。
「それじゃ、俺達……というか俺を見て、レオの、シルバーフェンリルの匂いをはっきりと感じたってわけか?」
「ガフ、ガフガフー!」
最初は、シルバーフェンリルの匂いと人間の匂いが混じっている事で、警戒してしまったらしいが、俺の姿を見て、さらに近くで匂いを嗅ぎ取った事で、安心したとの事だ。
そういえば、フェンもシルバーフェンリルが森に入った気配などは感じ取れたため、森の奥へ逃げていたとか言っていたっけ……目の前のフェンリルは、俺から漂うレオの匂いをちかくで嗅いで、敵対する事はないと確信したらしい。
匂いからそこまでの事がわかるのか? と思ったけど、犬や猫はナワバリとかも匂いで知らせるらしいから、人間にはわからない何かがあるんだろう。
ともかく、シルバーフェンリルの匂いから、村を襲ったりとか自分が襲われたりと考えて、敵わないとわかっていても警戒して、強大な気配を出しての戦闘態勢だったらしいんだが、俺を見て安心したという事だ。
だから、最初は威圧のような強い気配を感じたのに、お座り状態になってからは危険な気配を感じなくなったのか。
「でも、どうしてこの近くによく来るんだ? それに、話を聞いていたら村を守るような感じもするけど……」
本能に従うなら、シルバーフェンリルの匂いが近付いて来たら、絶対敵わない相手なのだから逃げるか、服従するかのはず……レオの言い分ではだが。
ともかく、そうせずに立ち向かおうとしているのは、村が襲われるのではと思ったとも言っていた。
それってフェンリルらしからぬというか、魔物なのに村を守ろうとしている行動だと思うんだが……そう思って聞いてみる。
「ガフ、ガフガフ。ガフッガフ」
「え、それじゃ……あなたが……?」
「デリアさん?」
「あ、すみません。えぇと……」
答えるように鳴くフェンリルに、デリアさんが何やら驚いたり戸惑うように声をあげる。
何を言っているのかわからない俺が、デリアさんに声をかけると、一度謝った後通訳して教えてくれた。
このフェンリル、デリアさんを村の木こりさん……育てのお爺さんに託したフェンリルだったらしい。
「そうだったのか……でも、どうしてデリアさんを連れていたんだ?」
「ガフ、ガッフガフガフ……ガフゥ……」
「……そんな事が」
赤ん坊だったデリアさんを、フェンリルが連れていた理由が気になったので聞いてみると、空を見上げながら答えるように鳴いた。
デリアさんによる通訳によると、その日は偶然このフェンリルだけで森の中を移動していたらしい。
まぁ、オークのような獲物となる魔物を探したりするため、群れを形成するフェンリルでも単独行動はよくあるらしいが、その時もそうだったとの事だ。
そして、そのうち群れを成すトロルドを見つけたんだが、トロルドは食べても美味しくないらしく、無視して離れようとしたところでおかしな事に気付いたと。
なんでも、群れていたトロルドは何かを囲むようにしていたうえに、嗅ぎ慣れない匂いを感じた。
なんというか、シェリーを見つけた時と似たような状況だけど、集団で何者かを襲おうとする習性がトロルドにはあるんだろう。
ともかく、気になったフェンリルがトロルドを蹴散らし、囲んでいた何かを見てみると、そこに獣人の女性が倒れていたとの事だ。
フェンリルにとっても特別な獣人が倒れていて、焦ったらしいが、その時には既に事切れていたようで、悲しみながらもそのままにしていられず、穴を掘って埋めてやろうと思った矢先、倒れて事切れている獣人の女性が地面に押し付けるようにして、赤ん坊を庇うようにしていたらしい――。
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