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第820話 新しく作る家の相談を開始しました
第820話 新しく作る家の相談を開始しました
ゲルダさんにはまだはっきりと聞いていないので、本当に来てくれるのかどうかわからないが、リーザはライラさんだけでなくゲルダさんにも懐いているから、嬉しそうだ。
喜ぶリーザに、レオが同意するように鳴くのを聞きながら、ゲルダさんに断られないよう説得する決意をした。
リーザには、寂しい思いをさせたくないからな……。
一通りメモやリストに目を通して、雇う人達に関しては少しだけ進んだので、終了させた。
あまりリーザやレオを放っておきたくないからな……以前は、仕事にかまけてレオを放っておく事が多かった反省からだ。
焦る事でもないしまだ余裕はあるから、根を詰める事でもないからな……ゲルダさんには、早いうちに話をしておかないといけないけど。
その後は、おとなしくしていてくれたのを褒めるため、レオやリーザの頭を撫でて構ってやりつつ、就寝した――。
―――――――――――――――
翌日、昼食後の鍛錬が終わった後、セバスチャンさんに呼ばれて執事さん達がいる部屋へ。
以前、税金とかに関して話す時と同じように、クレアが先に来ていて座っており、セバスチャンさんは立っている。
クレアが座っているのは中心にある一番大きな机がある場所だから、セバスチャンさんが使っている物だろうな……こういう時、セバスチャンさんはクレアを優先するから。
ちなみに、ティルラちゃん達は今頃裏庭でラーレやレオ達と戯れているはずだ、訓練も終ったしな。
「タクミ様、こちらへどうぞ」
「はい」
部屋に入って来た俺を、机の向かいにある椅子に座るよう勧めて、お茶の用意をサッと済ませるセバスチャンさん。
「それで、今回はなんの話ですか? えっと、駅馬の話ならフェリー達の返答待ちだと思いますけど……」
「駅馬に関しては、フェンリル達の協力を得られた場合や、得られない場合なども含めて、今は様々な想定をしているところでございます。若い者に任せていますが、経験豊富な者や私もチェックしておりますよ。また、旦那様にはすでに報せを送っておりますので、しばらくの後には本邸から返答も得られるでしょう」
「お父様なら、反対をしたりはしないと思います。こちらの想定が甘い部分などの指摘になると思いますが……試験的にラクトス付近で、限定的に行う事になるのは確実でしょう」
駅馬の話に関して、何かあったのかと聞いてみたんだが……とりあえずはまだ企画段階と考えて良さそうだ。
実現に向けて動いていても、昨日の今日で開始できるような話でもないからな。
エッケンハルトさんの意見も聞かないといけないし、最終的な決定権はあちらにあるから、向こうにも相談しないといけないし……こういう時、電話とかインターネットで連絡ができたのは、やっぱり便利だったんだなと、実感する。
こっちじゃ、移動に少なくとも数日、長ければ月単位でかかる事もあるみたいだから。
「今回お呼びしたのは、ランジ村で薬草畑を運営する際に住む家の事でございます」
「家……でも、前に建材とかは相談したと思いますよ?」
「はい。あの時は石を使うか木を使うかという、大まかな内容でしたが、今回は家の中身の事ですね。つまり、内装や部屋の割り振りなどです」
「あぁ、成る程」
内装というか、どの部屋をどの位置に作って、誰が使うのかなどの話し合いという事だろう。
家なんだから当然皆が住む事になるし、一部は雇った人も住むように考えているから、部屋割りとかも重要だろうな。
適当に、皆で勝手にそこらの部屋を作るわけにもいかないし、先にどういう部屋が必要なのかも決めないといけないからだ。
実際に作り始めるより先に、こういう話し合いが必要なんじゃないか? とも思うけど、本格的な建築に取り掛かる直前の今が、ちょうどいいタイミングなのかもしれない。
ある程度大きさによって、部屋数とかが決まっている建築の仕方らしいから、先に細かく設計してとかではないんだろう……建築関係は詳しくないから、よくわからないけど。
そう言えば、ラクトスでは既に作られた家を住む人が買って、後で内部に壁を作ったりして部屋を分けるという事が多いそうだ。
内部に手を入れられる、建売住宅と考えればいいのかもしれないな。
「大まかには、家の外観や大きさなどはこちらで決めさせて頂きました。レオ様が自由に過ごされる事を想定しておりますので、部屋や廊下の空間は十分に取る予定です」
レオは大きいから、人間だけが住むように想定された家では、自由に動けない……というより、場合によっては中にすら入れない事になってしまうからな。
それで、想像以上に大きな家になる事が決まってしまったけど、そこは仕方ない。
「この屋敷と違い、新たに作る事で水道も完備できる代わりに、ある程度厨房や風呂場などの場所は決まっています。……未完成ですが、こちらが家の内部の図になります」
「えっと……厨房がここで、お風呂場がここ……」
「やっぱり、厨房とお風呂場は一階に集中するわよね」
「はい。そして、お客様を迎える客間や食堂も同様ですな。料理を運ぶのが階上となると、若干手間がかかります。場合によっては運ぶ事もあるでしょうが、食堂での食事を主にするのであれば、一階にしておいた方が良いでしょう」
セバスチャンさんが説明しながら、棚へと近付いて取り出したのは、丸めてある羊皮紙。
机に広げられた羊皮紙を見ると、書き込まれていたのは家の内装……というか断面図のようなものだな。
これが、内部の設計図や構造を記したものになるんだろう。
紙じゃなくて羊皮紙を使っているのは、耐久性の問題だろうか……植物性の紙よりは、長く保存するのに向いているからかもしれない。
その羊皮紙に書かれている内部は空白が多く目立つが、各自の部屋についてまだ決めていないからだろう……決まっているのは、厨房と風呂場、客間と食堂、そしてトイレなどだな。
水を使う場合には水道が必要になって来るが、外から家の中に引き込むためにある程度場所が決まってしまう物らしい。
客間と食堂に関してはセバスチャンさんの言う通り、一階にあった方が何かと便利だからな。
トイレに関しては、一階だけだと不便なので二階以上にも設置されるようになっており、これは水を使う頻度や量が他よりも少ないからのようだ……部屋から遠いと、結構辛いから良かった――。
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