【大感謝!510万PV突破!】異世界転移したら飼っていた犬が最強になりました~最強と言われるシルバーフェンリルと俺がギフトで異世界暮らしを始めたら~【Web版】
第816話 レオは興奮を抑えられないようでした
第816話 レオは興奮を抑えられないようでした
フィリップさんという身代わりに逃げられたので、仕方なくレオに乗ったが……その際に喜びを示すようにレオの尻尾が勢いよくブンブン振られていた。
大きな尻尾が激しく振られているため、フィリップさんのいる方へ砂埃が舞い踊っていたのは……そういう運命だったと諦めて欲しい。
そこまで壮大な事じゃないけど……。
「ワウー!」
「ちょ、ちょっと勢いが付き過ぎだぞレオ!」
俺を乗せて走り出したレオは、すぐに近くを走っていたフェリーに追いつける程の速度で、危うく後ろに放り出されそうになったが、叫びながら慌ててレオにしがみ付いたので落とされずに済んだ。
鍛錬していたおかげもあるんだろうが、全力でレオの毛を掴んだりもしたんだが、痛がる素振りも悲鳴もない……人の力で引っ張っても、痛みを感じる程じゃないのか……。
子供達から時折引っ張られていたのを見ているから、我慢していたのかと思っていたけどそうじゃなかったらしい。
「わー、ママもパパを乗せて参加だー。フェリー負けるなー!」
「フェリー頑張ってください!」
「グ、グルゥ……!」
「ワウー?」
「グル、グルゥ!」
俺とレオが近付いて一緒に走る事で、リーザとティルラちゃんが喜び発破をかけているが、当のフェリーは気後れするように鳴いている。
多分、シルバーフェンリルのレオに敵うわけがないとか、畏れ多いみたいな事を言いたいんだと思う。
そんなやり取りをしているうちに、ダッシュするレオに慣れてきたな……飛び出した瞬間の勢いが凄かっただけで、安定して走っていればなんとかなりとそうだ……速度的には、以前ランジ村に急いで行った時とそう変わらないくらいか。
ようやくしがみついていた体を起こし、ホッと息を漏らそうとしたところで、レオがフェリーに対して煽るように鳴いた。
「グルルゥ!」
「わー、速い速いー!」
「おぉー! でもリーザちゃん、しっかり捕まっていないと危ないですよ!」
「ワフ。ガウー!」
「って、レオもか! リーザ、ティルラちゃん、振り落とされないように気を付けて!」
「わかった、パパ!」
「はい!」
競争、というわけではないがさらに速度を上げるフェリー……全力かはともかく、喜んでいたリーザとティルラちゃんはさらにしっかりとフェリーにしがみ付いていた。
レオもフェリーから少し遅れて速度を上げたが、一瞬でフェリーを追いつき、追い越した。
追い越す際に、リーザ達へ注意を促したからきっと大丈夫だと思うけど、ティルラちゃんはいっぱいいっぱいっぽかったのに、リーザは結構平気そうだったな。
さすが獣人というところか? 違和感というか、魔法に対する感覚があるから、無意識のうちに体を強化する魔法を使っているのかもしれない……元々無意識に使っているようだから、しがみ付くために使っているんだろう。
それはともかく、フェリーを追い越したレオはそのままフェンやリルルの方へと向かう。
急加速の勢いは走り始めよりマシだから大丈夫だが、速過ぎてさすがに平気な顔はしていられない……しがみ付くまでしていないが、レオの毛はしっかり掴んでいるくらいだ。
最初は驚いたのもあったけど、走っていれば慣性の法則があるから、いきなりじゃなければ振り落とされる心配はないか……多分。
「タクミさん! レオ様もそうですが、リルル達も凄い速さです!」
「そうだね! 馬より速くていいんだけど、さすがにこれを通常にはできないと思うよ!」
「そうですねー! あ、タクミさん、気を付けてー!」
「気を付けるけど、どっちかというとレオに言って欲しいかなー!」
リルルの横に並び、並走を始めたレオ。
クレアがリルルに乗ったまま、叫ぶようにして声をかけて来る……というか、叫ぶくらいじゃないと風切り音が凄くて声が聞こえづらいからだろう。
俺も同様に、クレアに叫んで返しながら、さらにリルルを追い越し始めるレオの毛をぎゅっと掴んだ。
気を付けてと言ってくれるのは嬉しいんだけど、そういう忠告みたいなのは、できれば俺じゃなくレオに言って欲しいところだ。
「ワウー!」
「ガウゥ!? ガゥ、ガゥガゥ!」
「キュウ!」
「ワッフー!」
レオの方は、リルルに叱咤するように吠える。
あっさりと追いついたレオに、リルルが驚いて声を上げた後、シェリーと共に何やら鳴き声を上げて挨拶のような会話のような声を交わした。
その後、リルルを置いてフェンの方へ走り始めるレオは、さらに少しだけ加速……フェンが一番荒っぽいのと、速度を出しているからだな。
あっちにも追いつくつもりか……さすがにそろそろしがみ付いておこう。
「ワウー?」
「レオ、こっちの心配をするならもう少し早くしてほしかったが……フェンに追いつくんだろ? 落ちないようにしがみ付いておくから、気にせず走ってくれ」
「ワウ!」
「……後で、注意するからな」
「ワウ!? キューン……ガウー!」
俺を乗せて走る事に興奮して、今まで気付かなかったんだろうけど……しがみ付こうとした動きでようやく俺の事を心配するように鳴いたレオ。
もうこうなったら、落ちないように注意して走るだけ走ってくれと考え、気にしないようレオに指示。
元気よく頷いたレオがさらに速度を上げようとする瞬間に、ボソッと付け加えてたので、驚きの声を上げるレオ。
背中に乗っているから表情はわからないが、しょんぼりした雰囲気と声を出しつつ、やけくそのように吠えて加速した。
俺が落ちそうになったから、というよりも、フェリーを煽ってティルラちゃんやリーザが少しだけ危険だったしな……興奮し過ぎないように言ったのに、お構いなしだったのもある。
まぁ、厳しく叱るというよりも、注意するくらいだけどな。
「まぁ、今はとにかく走れるだけ走ろう、レオ。行くぞ!」
「ワウ!」
チラリと後ろを見ると、さっきまで走りながらも元気よく尻尾を振っていたのに、今はおとなしくなっている。
さらに、いつもピンとしている耳も心なしか、しおれている様子だったので、効果が出過ぎたかもしれない。
仕方ないなと思いつつ、しがみ付いている手でレオの体をポンポンと叩きながら、意気を上げるように指示。
エッケンハルトさんと森に入る前に、少しだけ練習した合図のようなもので、すぐに気を取り直して吠えるレオ。
さらにグングンと速度を上げながら、かなり遠くを走っていたはずのフェンへと近付く。
レオはやっぱり、合図を送って意気を上げた方がやる気になるみたいだな……レオが意気を上げて何かに取り組む事って、早々ないだろうけどな――。
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