【大感謝!510万PV突破!】異世界転移したら飼っていた犬が最強になりました~最強と言われるシルバーフェンリルと俺がギフトで異世界暮らしを始めたら~【Web版】
第733話 異世界の労働事情は意外とブラックに近いようでした
第733話 異世界の労働事情は意外とブラックに近いようでした
「俺が雇って薬草畑で働くという事は、ギフトの事を教えておかなきゃいけませんよね? なので、高い給金を払っておいて、できるだけ口外しないようにお願いしておこうかなと考えています。高い給金がもらえていれば、お金を受け取って情報を流す人も減る可能性が高いかなと……」
「……確かに、その方法は有効ですな。お金で動く者ばかりとは思いたくありませんが、優遇されていると実感できる仕事で、失ってしまう事と比べた時に高い給金であった方が、自制できるかと。ふむ……それでしたら、守秘義務項目としてギフトの事やレオ様の事を追加し、それを守るためとして給金に追加する形にしましょう」
「ワフ?」
真面目な話の最中、急に自分を呼ばれたからか、首を傾げて鳴くレオ。
駅馬の時と違って、今日は聞いていなかったのか……ラーレがいないので、ティルラちゃんが寂しがらないようにそちらへ集中していたせいかもな。
それはともかく、守秘義務項目か……。
「レオはまぁ、口外しない事としても無理なので……ギフトの事だけにしましょうか。体が大きいですし、基本的に外に出ないようにするのではなく、リーザも含めて自由に過ごして欲しいので、ランジ村にいて知らないなんて事にはならないでしょうから」
「そうですな……では、ギフトの事のにしましょう。レオ様の事は、あまりおかしな噂を流したりしないよう、前もって念を押しておけばいいくらいでしょうな。レオ様を間近で見せれば、素直に飲み込んでくれるでしょうから……」
それって、脅すと言っているに近い気もするけど……実際にはレオに慣れてくれて、可愛さに気付いてくれれば変な噂が出たりしない……といいなぁ。
あとセバスチャンさん、最後にニヤリと笑うのは止めて下さい……怖いですから。
「それでは、給金に関してはこのくらいですかな。もう少々詰める必要はあるでしょうが、概要としては良いでしょう」
「はい。待遇面で良い条件にした方が、雇われる人も働きやすいでしょうからね」
「えぇ。……おっと、待遇面で思い出しましたが、仕事をする日数や休日に関してはどうされますか?」
「仕事の日数や休日ですか……えっと、こちらではどういう感じなのでしょう?」
「屋敷では、基本的に休日はなしに近い状態になっております。ですが、さすがにそれだと働かせすぎですので、十五日以上働けば一日休みを取れるという事にしています。例外はありますが……」
「農業に属している者は、小さな所では無休、大きな所では時折休みを取っているようですな。畑という事でタクミ様もこれに属するとも言えますが、ギフトもあって特殊なので、変則的でもよろしいかと存じます。あと、他では十日で一日の休養日とするのが通常のようですな」
「……休み、ほとんどないんですね……」
うーん……使用人さんは仕える主によって変わるんだろうけど、様々な事に対応するため、休みが少ないのはなんとなくわかる。
それでも、もう少し休みをあげてもいいんじゃないかと思うけどな……考えてみれば、この屋敷にいてお世話をしてくれるライラさん達が、休みで近くにいないという事がほとんどないから、そういうものなのかもしれないけど……ライラさん、ゲルダさん、いつもありがとうございます
農業に関しては、休みがないのも納得できるか。
あちらは毎日何かしらの手入れだったりがあるだろうから、仕方ない……代わりに、休耕期間とか作物が育たない時期なんかは、全くやる事がないわけじゃないが、ゆっくり休んだりもできるみたいだから。
ふーむ……平均十日で一日休み……労働時間中に休憩はあるだろうし、残業がなければ過労にはなりづらいんだろう。
毎日朝早くから働き始めて、日付が変わるまで残業をしていた俺とはまた違うんだろうけど……それでもちょっと働き過ぎな気がする。
発展途上というのは、えてしてそういう物なのかもしれないけどなぁ。
せめて、一週間に一日……できれば二日休みにして連休という概念をあげたいと思うのは、以前の経験から来る考えだ。
連休があれば、レオとちょっと遠出したりもっと構ってやれたりもできるのに……なんて考えもあったからな。
「えーと、ちょっと強引かもしれませんんが、俺が雇う人に対しては一週間……七日のサイクルを基本として、五日働いたら二日休日を与える。という事を基準にしたいと思います」
「え!?」
「それは……ギフトで薬草を作るので、なんとかなるとは思いますが……少々人員が足りなくなるかもしれません」
思い切って、週休二日制の導入を提案。
これには、クレアが驚いて声を出し、セバスチャンさんは難色を示すように眉を寄せて顔をしかめている。
過去の経験からか、俺が目指すのはブラック企業ではなくホワイト企業だ……企業ではないけど。
仕事が生きる目的になったり、体や心のバランスが崩れてしまう事は望まないし、家族とかと一緒にいられる時間を増やしてあげたいというのもある。
「人手が足りなければ、その分多く雇って対応します。それだけの利益は出るはずですよね?」
「それは……確かにそうですが……。ですが、それだとタクミ様自身の利益が減ってしまいます」
「まぁ、それはそうでしょうけど、今でも十分どころか手に余る程の利益が得られていますからね……」
公爵家と契約を締結する前に、自分で薬草を販売した方が利益が得られると言われたけど、契約しても現状得られている利益を考えると十分どころではないからなぁ。
利益を追い求めるよりも、お世話になっている公爵家の人達に恩を返しつつ、レオやリーザと一緒にのんびりできるくらいでちょうどいいと思っているから、多くの利益は必要ない。
……これも、仕事ばかりで何が目的かわからなくなるくらい働いていた、弊害なのかもしれないが……ともかく、人並みに暮らせるくらいのお金があればそれでいいと思っている。
まぁ、住む家はレオのためだったり、クレアが一緒な事もあって想像以上に大きな家になりそうではあるけど、俺にはそれで十分だ。
身に余る利益を得られても、心に余裕を持って生活できなければ、意味はないとさえ思うくらいだからな……ちょっと言い過ぎかもしれないけど――。
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