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第730話 セバスチャンさんの愚痴に付き合わされました
第730話 セバスチャンさんの愚痴に付き合わされました
俺に雇われる事がやる気に繋がる理由として、屋敷が離れた場所にある事が原因の一つらしい。
ラクトスまで馬を使えば一時間程度とはいえ、徒歩で行くなら一日全て使う覚悟で行かなきゃならない。
それに、街に行っての用が多ければ、もしかすると日帰りも難しくなったりする事だってある。
日本で言うと郊外に住むようなものかな? 職場が近くとも、時間がある時に遊びに行こうにも、簡単にはできないという……。
でも、ランジ村も人の多い場所じゃないし、屋敷からよりラクトスのような街から離れているから、不便と言えば不便だろうになぁ。
いや、俺の考え方が人の多い場所や、娯楽施設に遊びに行くという考えだから微妙に感じるのか。
村にいれば、日頃仕事を一緒にしている同僚以外に話し相手とかもできるだろうから、そう考えると屋敷で働くよりもいいのかもしれない。
それに、貴族相手と考えると……日々気を遣いそうだからなぁ……公爵家の人達は、細かい事に目くじらを立てるような人じゃないけど、それでもな。
「それに、もし家族を……所帯を持とうとしても難しい事もありますからな。基本的に同じ場所で働いている者と、となる事が多いですし、日頃顔を合わせている相手なので、飽きが生じる者もちらほらいるようです。そんな中ですので、気まずくなる事も多々ありまして……仕事には影響がないよう、徹底はさせております」
「あー……まぁ、職場以外で異性と知り合う機会が極端に少ない、ですね」
それこそ、仕えている貴族に見初められて……という玉の輿展開とかもありそうではあるが、今いる屋敷に限ってはそんな雰囲気もないしな。
あと、職場恋愛をしていた男女が、もし何かがあって別れたりでもしたら……仕事がしにくい事は想像に難くない。
それなら、人が少ないとはいえ村にいた方が出会いとか、やりやすさもあるのかもしれないな。
あと、結婚して子供ができて家族が増えるとなったら、村の方が育てやすいだろうからなぁ……子供の遊び相手だっているわけだし。
「あとは……レオ様とシェリーも原因の一つですな。リーザ様も同様に」
「あぁ、それは何となくわかります。レオ達、使用人さん達に人気ですからね」
さすがに、レオ達が遊びとかに夢中になっている時は控えてくれているけど、時間があったり暇そうにしていた時なんかは、使用人さん達がレオを始めリーザやシェリーを撫でたがる事が多い。
可愛さや撫で心地がいいから、癖になっているのかもしれないな……あと、クレアも薬草畑運営を一緒にやるから、ランジ村に行く事が決まっているし、そうなるとシェリーも一緒だからな。
「タクミ殿も、人気なのですけどね。ライラやゲルダに、お世話係を変わって欲しいという者もいるようです」
「俺が、ですか? レオ達ならわかりますけど……俺なんて……」
「タクミ様は、お世話をするライラや私にも、お願いをする事があっても命令のようには言われません。レオ様がいて、ギフトもある。さらにクレアお嬢様達にも気に入られているのに偉ぶる素振りはない。そこが、人気のようですよ?」
「今まで、使用人とか誰かに命令する立場じゃなかったので、なんとなくお願いをするくらいだったんですけど……」
使用人さん達に偉ぶるなんて、俺のような小市民にできるとは思えない。
さらに屋敷の使用人さん達はほとんど俺と同年代か年上ばかりで、年功序列を重んじるわけじゃないけど、なんとなく根底にあるせいか何かを言いづらかったりもする。
これから人を雇ったり、薬草畑を運営するために部下を持つ必要があるから、これじゃ駄目なんだろうけどな……だからって偉ぶったりはしたくないが。
これから、少しずつ頑張ろう。
「そういった事もあり、将来的な安心感なども加わって、今屋敷ではタクミ様方が人気なのですよ。ほっほっほ」
仕事に対して、将来的な安心感が得られるかというのは重要だな。
給料が良くても、俺みたいに休む暇もなく働かされていたら、いつか体を壊してしまうから元も子もないし、かといって給料が低ければ生活に支障が出る。
やりがいのある仕事、というのはあるだろうけど……だからといって全てを犠牲にするなんて人は、少数派だろうし、全ての人がそうでも色々な問題が発生してしまうからな。
まぁ、若輩ながらも倒れてしまう程働いてきた俺の経験からだが。
「まぁ、俺が人気というのはまだいまいちわかりませんけど……」
「クレアお嬢様と一緒になれば、さらにタクミ様に雇われていても安泰だ……という者もいるようですがな?」
「うぇ!?……はぁ……そういう噂というか、話をされているのはなんとなく想像できますけど……そんなものですか?」
家政婦は見た……だと事件が起きてしまうから違うか……ともかく、使用人さん達からすると俺やクレアを見ていて、何かドラマを見ているような盛り上がりをしているのが想像された。
クレアは公爵家のご令嬢だからなぁ……将来的な事を考えると、そういう事も考えたりするのか……。
「使用人とはいえ人の子。そんなものですよ。かくいう私も、期待しておりますがな?」
いや、セバスチャンさんにはこの前エッケンハルトさんと一緒に話したじゃないですかー! と思ったが、だからこそそちらに向かうように期待しているのかもしれない。
むぅ……俺が決断せずに考えているあいだに、外堀が埋められているような?
「はぁ……とにかく、屋敷の人がやる気を出しているというのはわかりました。どうするんですか?」
「どうもしませんよ?」
「え? どうにかしたいと思ったから、俺に話に来たのでは?」
「いえ、ただの愚痴ですから。聞き流していただいて結構です。タクミ様が仰られていたように、やる気があるのは良い事なので、あとは管理する私共が気を引き締めさせるだけですからな」
「……真剣に考えようと思ったのに……」
「ほっほっほ、年寄りの与太話ですよ」
……結局、セバスチャンさんは暇潰しに来たという事らしい。
なんというか、話を聞くだけならいくらでも聞くんだけど、それならもっとわかりやすく相談するような雰囲気で来ないで欲しかったなぁ……。
セバスチャンさんからの話は何かしらの相談事、というイメージがあるので、俺が早とちりしてしまったのもあるんだろうけど。
楽しそうに笑っているけど、駅馬や面接の事もあって忙しいんじゃなかったのかこの人は? 若者をからかって気分転換をする趣味なのかもしれない――。
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