【大感謝!510万PV突破!】異世界転移したら飼っていた犬が最強になりました~最強と言われるシルバーフェンリルと俺がギフトで異世界暮らしを始めたら~【Web版】
第708話 プルプルしてツルンとした物がありました
第708話 プルプルしてツルンとした物がありました
リーザと一緒に厨房へ行く事に決めた俺に、自分は? と首を傾げるレオにフェンリル達を見ておくよう言って、ゲルダさんにもお願いした。
フェンリル達はおとなしくしてくれているだろうけど、一応はお客様と言っていいだろうから、放っておくのもな……使用人さん達がいるけど、レオがいた方がいいだろうから。
残念そうなレオが息を漏らし、仕方なさそうに頷いてゲルダさんについて部屋から出て行くのを見送る。
……もしかしなくても、手伝いたかったのか? 俺やリーザと一緒にいたかったのかもしれないけど。
「さて、俺達も行こうか?」
「うんー」
帰ってきたばかりでも、まだまだ元気なリーザを連れて、俺達も厨房に向かうために部屋を出た――。
「セバスチャンさん、ヘレーナさん、何か用でしょうか?」
「用ですかー?」
「来られましたな」
「タクミ様、リーザ様も、わざわざ申し訳ありません」
リーザと一緒に厨房に入って、忙しなく動く料理人さん達の中で、セバスチャンさんと話しているヘレーナさんを見つけて声をかける。
「タクミ様、申し訳ないのですが……これを見てもらえますか?」
「これは……まさか、豆腐ですか?」
ヘレーナさんに示されて、二人の前の台に置かれている物を見ると、明らかに見た事のあるツルンとした表面、柔らかそうで触れたら崩れそうな見た目の四角い物体がお皿に載せられていた。
どこからどう見ても豆腐にしか見えないそれは、俺が知っている物より若干黄色がかっていたが、卵豆腐程黄色ではなく、大豆……ソーイを使った豆腐のようだ。
「トフーと呼ばれている食材です。タクミ様からハンバーグの事を教えてもらう際に、色々な食材の話をしたと思いますが、その中にソーイがありましたよね?」
「トフー……あ、はい。ソーイがあれば、色々な料理もできるかと考えてはいましたけど……」
「タクミ様やお嬢様方が屋敷を留守にしている間に、新たな料理のためと考えてラクトスへ行ってみたのですが、その時行商人が売っているのを発見しました」
「行商人……」
そういえば、ユートさんも言っていたけど、ラクトスは通行の要衝になっているため色んな所から色んな人や物が集まると聞いた。
ニャックのその中でラクトスで探せばあるだろうと思われていたけど、まさか豆腐まであるとは……いや、トフーか。
この辺りの、前の世界と同じようで微妙に違う呼び名って、誰が決めているんだろうかという疑問……もしかしたら、ユートさんや俺みたいに異世界から来た人が名づけている可能性もあるか、ダンデリーオンとかタンポポを英語にして読み方を変えただけだしな。
まぁ、とりあえず今は目の前のプルプルしている物体についてだな。
「行商人は、旅から旅をする商人ですな。一つの場所に留まらず、様々な場所へ行き商売をする関係上、珍しい物を見つけては仕入れるという事もするようです。このトフーもその一つなのでしょう」
「はい。初めて見る物でしたが、食べられるという事なので買って参りました。タクミ様に聞けば、わかるかもという考えもありましたので……」
「ちょっと、俺を買いかぶり過ぎな気がしますが……」
俺は料理人ではないし、食材に詳しいという程ではなく、自炊をした事もあって日本で一般的な食材を知っているくらだからな……ニャックもトフーも日本人なら誰でも見た事がある物だし。
「えーと、このトフーはその行商人が売っている以外には?」
「ラクトスでは見つかりませんでした。なんでも、海に関係した物を使って作られているらしく、この辺りでは作られていないそうなのです」
「公爵領に川や池はありますが、海はありませんな……」
「そうですか……」
海がないという事は、豆腐……トフーを作るのに重要なあれがないという事だろう。
何かの実験番組で、子供達相手に豆腐を作る場面を見せるのを見ていたおかげで、ちょっとだけ知識がある。
海水から塩を精製する際に残った液体、苦いから付いた呼び名の、にがりが必要だ。
大豆から抽出された汁、つまり豆乳ににがりと呼ばれる物を混ぜて凝固剤とする事で、豆腐が作られるわけだけど、海がないという事は海水の入手が難しいため、トフーを作る事は難しいだろうな。
「行商人が仕入れて売っていたこのトフーは、どこから? もし近くだったら、そこから買う事もできると思いますけど……」
「別の国から来た者だそうで、仕入れるのは難しそうです」
「そうですか……」
「タクミ様は、このトフーがどのように料理されて、美味しい物かわかっておられるようですな?」
「え、あぁ……まぁ。俺がいた場所ではよく食べられていましたから。作り方もなんとなくは知っていますけど、海が近くないと少し難しいですね」
「成る程……」
そうだった、セバスチャンさんやヘレーナさんは、今回初めてトフーを見たんだからどういう風に食べられているか知らないんだったな。
多分、俺を呼んだのはトフーの事を知っているかの確認と、もし知っていた際にはどう扱えばいいかを聞くためだったんだろう。
うーん……豆腐の食べ方か……スタンダードな食べ方だと、醤油をかけるくらいで、後は薬味を加えるくらいだな。
とにかく、ニャックに続いて栄養豊富で食べやすく、そして何よりダイエットにも効果的な食材が見つかったと思ったら、仕入れる事も作る事も難しいから、継続的に食べる事はできそうにないか。
海水さえあれば……と考えて、どうにか海のある所から海水を運んで来ればと思ったが、塩を作るのも大変な事だし、トフーのためだけに取り寄せるのもこれまた難しそうだから諦めた。
こればっかりは仕方ないので、ソーイを使った物でダイエットに使える物がないか、いずれ考えておこうと思う。
ニャックに頼りすぎなのも、どうかと思うしな……とりあえずランジ村からの帰り道に、応用方とソーイから新しい物を作る事を考えていたから、後日ヘレーナさんと相談だ。
今はまず、ここにあるトフーを使った物を考えないといけないし、以降はあまり食べられないだろうから、できるだけ美味しい物にしたいからな。
またそのうち、いっぱい食べられるようになるといいなぁ――。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます