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第621話 レオを喜ばせる事に決めました
第621話 レオを喜ばせる事に決めました
「よしレオ、久々にレオの好きなあれを作ってやるからな? ソーセージ程じゃないが、好きだっただろ?」
「ワフ!? ワフワフ! ワウー!」
「おぉ、ママが凄く喜んでるー! パパ、何か作るの?」
「ちょっと、料理をな?」
「そうなんだー! リーザも楽しみー!」
「レオ様があんなに喜ぶ程の物……どんな物なのでしょう……?」
「わからんが、これは期待しても良さそうだな」
レオにはあれと言っただけで伝わったようで、尻尾をブンブン振って喜ぶだけでなく、遠吠えに近い吠え方までして喜んでいる様子だ。
これだけ喜ぶなら、もう少し早く作ってやれば良かったか。
「では、厨房へと伝えて参ります。昼食をという事で、よろしいですかな?」
「はい、よろしくお願いします」
話を聞いていたセバスチャンさんが、ヘレーナさん達厨房の料理人さん達への伝言役を買って出てくれたので、お願いする。
屋敷の中に入って行くセバスチャンさんは、楽しそうにも見えたから、エッケンハルトさん達と同じように期待してくれているようだ。
ちょっとプレッシャーを感じるが、失敗する可能性が低く、好きな人が多いあれなら、期待を裏切ったりはしないだろう。
「さて、さっさと薬草を作って、厨房に行かなきゃな」
「ワフ、ワフ!」
「レオ、まだ昼まで時間があるんだから、もう少し落ち着け?」
「キューン……」
「どうしても待てないようなら、まだフェンやリルルがいるんだし、一緒に裏庭を駆け回っていればいいんじゃないか? 空腹は最大の調味料とも言うしな、動いてお腹を空かせておくのもいいかもしれないぞ?」
「ワフ! ガウー!」
昼食への期待により、尻尾を振り続けて落ち着かない様子のレオ。
声をかけても、だって……と言うようにすがる目をされたら、俺にはどうしようもない。
落ち着く事ができないのなら、逆に動いていた方がお腹を空かせられていいんじゃないかと、レオに提案してみると、その手があったか! と言うように鳴き、意気込んでフェンやリルルたちの方へ駆けて行った。
あー、リーザも連れて行ったか……まぁ、一緒に遊んでくれるなら、それでいいか。
レオを見送って、少しだけ様子を見ていると、追い立てられるようにフェンとリルルが走り始めた。
訓練のつもりもあるのか、シェリーまで巻き込まれて走らされているが……まぁ大丈夫だろう。
ラーレは、走らされる中に巻き込まれないためか、さっさと屋敷の上へと非難していた……中々勘がいいようだ。
ちなみに、朝食のために用意されたテーブルや椅子は、既に片付けられていつもの裏庭となっている。
エッケンハルトさんは、出立する用意を進めるため屋敷の中へ、クレアさんも、一緒にランジ村へ行くために準備をしているようだ。
あと、アンネさんの様子も見ると言ってたか……多分、身悶えしている様子を見て、からかうんだろうなぁ。
ティルラちゃんは、クレアさんに言われて勉強をする……ランジ村へ行くために、森に行って滞っていた分も含めてやらないといけないらしく、大変そうだ……頑張れ!
「……して、タクミ様。本日はどのような物を?」
「セバスチャンさん、いつの間に……」
走り回っているレオ達から視線を外し、いざ薬草作りに取り掛かろうとすると、突然セバスチャンさんに話しかけられる。
さっき、片付けが終わった後、まだ裏庭でのんびりしたい様子のエッケンハルトさんを、屋敷の中へ引っ張って行ったはずなのに……。
もしかしたら、厨房に行った時ヘレーナさんから、タンポポの事でも聞いたのかもしれない。
こういう新しい事に対して、探求心溢れる人だからな、セバスチャンさんは。
……いつ誰にでも説明できるように備えるためっぽいけど。
「ほっほっほ、何やら面白そうな話を聞きましたのでな? 私としては、見ないでおく手はないと思いまして」
「まぁ、隠す事でもないので、別にいいんですけど……」
やっぱり、ヘレーナさんに聞いたんだろうな。
楽しそうなセバスチャンさんに見られながら、簡易薬草畑とは別の場所でしゃがみ込み、地面に手を付ける。
「えーっと、こちらにある植物なのかはわかりませんが、タンポポを作ってみようかと」
「タンポポ、ですかな?」
「はい。俺のいた場所では、ありふれた植物です。それこそ、道端に生えていてもおかしくない物ですね」
「ほぉ。では、この世界にはない物かもしれませんな」
うーん、本当にないかどうかは、断定できない。
日本でタンポポは雑草と言われるように、そこらに生えていてもおかしくはないくらい、ありふれた植物だった。
それこそ、季節が合えば川沿いの土手にでも行って探せば、確実に見つかるくらいだ。
ヘレーナさんは知らない様子だったが、だからといってこの世界にもないとは限らない。
アロエやヨモギも、ロエやラモギと名前を変えて存在しているんだし、もしかしたらソーイのようによくわからない呼び名で存在していてもおかしくはないしな。
ともあれ、セバスチャンさんには言葉で説明するよりも、実際に見てもらった方が早いだろう。
知識が豊富だから、何かの本に記載されていたという事もある。
……『雑草栽培』で作れれば、だが。
「とりあえず、作れるかどうかを試してみます」
「はい、畏まりました。期待しておりますよ」
「期待され過ぎても、失敗した時に困りますけどね。えーと……」
ニコニコしているセバスチャンさんに言って、集中するために目を閉じる。
頭に思い浮かべるのは、道端に生えていたあのタンポポ。
アスファルトの道路……その隙間から芽を出し花を咲かせる、健気な植物。
思い浮かべたのがそんな場面なのは、俺がタンポポに対してそんな隙間に生えている物だという、先入観だからだな。
もっと、植物の事を調べたり興味を持っていれば、違った思い浮かべ方だったかもしれない。
「ん……成功したようですね」
「ほぉ?」
地面と手の隙間から、何かの感触。
それを感じた瞬間から、にょきにょきと植物が生え、すぐにぎざぎざの特徴的な葉を広げて、花を咲かせた。
黄色い花びらが無数に生えて、正面から見ると円の形に……俺がよく知るタンポポの形だ――。
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