【大感謝!510万PV突破!】異世界転移したら飼っていた犬が最強になりました~最強と言われるシルバーフェンリルと俺がギフトで異世界暮らしを始めたら~【Web版】
第617話 アンネさんは爆弾発言を後悔しているようでした
第617話 アンネさんは爆弾発言を後悔しているようでした
「あ、そういえばアンネさんはどうしたんですか?」
気持ち良さそうにお腹を撫でられている、フェンとリルルを見ながらふと見当たらない人物の事を思い出した。
野生を忘れた二体の事は置いておいて、朝に弱いエッケンハルトさんがいるのに、アンネさんがいないのは珍しい……かも?
「アンネは、部屋で悶えていました。はぁ……あんなになるようなら、言わなければいいのに……」
「悶えて……って、何かあったんですか?」
「昨日の、食堂から出る直前の事ですよ、タクミさん」
「食堂から……。あぁ……」
今度風呂に一緒に入ろうとか、あの爆弾発言の事か。
どうやらアンネさん、勢いで言ったはいいがその後とんでもない事を言ったと、恥ずかしくなってしまったらしい。
発言の直後から、すでに顔が赤くなって恥ずかしそうだったし、今更ながらに発言を後悔して身悶えてしまっているんだろう。
それなら、言わなければいいのに……とは思うが、勢いで言ってしまったのだから仕方ない。
……俺も、勢いで言って後で後悔するなんて事、よくあるしな。
「……焦る必要は、やはりなかったのだな」
「そのようですな」
「本当に勢いだったんでしょうねぇ……」
「ベッドで転がりまわるアンネは、少し面白かったのですけどね。……見に行ってみます?」
「いえ、そんな面白そうに言われても……見てみたくはありますが、遠慮しておきます」
アンネさんの状態を聞いて、昨夜俺と話しを急ぐ必要はなかったのだと、納得するエッケンハルトさんとセバスチャンさん。
クレアさんはからかう相手と思ってか、アンネさんを観察するのを楽しそうに提案されたが、お断りしておいた。
女性同士ならまだしも、アンネさんも男に見られたい姿じゃないだろうしなぁ……それこそ、もっと悶えさせる事になりそうだ。
というかクレアさん、完全にアンネさんをからかう対象として見ているようだ。
これも以前話した、クレアさんが思うように過ごすうえでの事なのかもしれないが、公爵家……というより、エッケンハルトさんに似てるところなんだろうなぁ。
「ワウ!」
「ガウ!」
「ガウゥ!」
「キャゥ!」
「フェンもリルルも元気だねー!」
朝食後、ティータイムとしてお茶を飲みながらのんびりしている時間。
テーブルから離れた場所で、レオ達が戯れるのをなんとはなしに眺める。
レオが指示を出すように吠え、フェンとリルルがそれに従うように動く。
なぜかシェリーも一緒になって動き、リーザがレオに乗ったまま楽しそうに笑っている……という微笑ましい状況が展開されていた。
フェンやリルルも、お腹を撫でられるのが落ち着いてから、ヘレーナさんによって狩ってきたオークを調理してもらい、お腹いっぱいお肉を食べて満足したようだ。
オークはありがたく屋敷の方で受け取り、二体あったので一食分にしては多く、今日の昼食や夕食にも使われるらしい。
「なんというか、森の中でもそうだったが……強力な魔物が集まっているのに、平和だな」
「そうですね。全て、レオ様やタクミさんのおかげなのでしょうけど」
「俺は何も……レオのおかげですよ?」
「そのレオ様も、タクミ殿と一緒にいるからなのだがな。ともあれこの光景、以前の私なら信じられなかっただろうな……」
「シルバーフェンリルだけでなく、フェンリルにカッパーイーグルまでいますからね。人間が敵わない魔物がいっぱいです」
レオ達の様子を、朗らかに見ながらポツリとエッケンハルトさんが漏らす。
クレアさんも同意し、レオだけでなく俺のおかげとも言ってくれるけど、俺がやった事なんてほとんどないと思うんだがなぁ。
それはともかく、人間と魔物……敵対しているとまでは言わないが、人間にとって危険で強力な魔物が、争う事なく一緒にいて楽しそうに遊んでいるというのは、平和でいい事だ。
血なまぐさい争いとか、できればない方がいいからな。
「おー、ラーレ格好良いです!」
「キィー!」
レオ達とはまた別に、ティルラちゃんは自分の従魔になったラーレと仲良くしている様子。
いまは、ラーレが大きく翼を広げて雄々しい姿に、ティルラちゃんが喜んでいた。
動物園で見かける、孔雀とかみたいに綺麗な模様のある翼ではないが、猛禽類なうえにただでさえ大きい体、翼を広げると迫力も増して確かに格好良い。
ティルラちゃんが喜ぶのもよくわかる。
俺達だけでなく、使用人さん達も朗らかに裏庭の光景を眺めていた。
初めてレオを見た時と違って、怖がっているような人を見かけないのは、先にレオと接していて慣れていたおかげだろうと思う。
一番大きくて、一番強いシルバーフェンリルで先に慣れていたというのは、大きいのかもな。
「タクミ様、ゆっくりお過ごしの所申し訳ないのですが、ヘレーナさんから相談が……」
「ヘレーナさんが、ですか?」
「はい。なんでも、料理に関しての事らしいのですが……」
「はぁ……わかりました」
楽しそうな皆の様子を見ていると、ライラさんが来てヘレーナさんから何か相談事があると告げられた。
ちなみにライラさんは、俺が朝の支度を済ませているうちに落ち着いたらしく、もう恥ずかしがる素振りはなくなっていた。
……クレアさんもいつも通りだし、もう少し恥ずかしがる所も見たかったと思うのは、男の欲望なのかもしれない……ちょっと残念。
「ヘレーナさん、どうしたんですか?」
「申し訳ありません、お呼びだてしてしまって……その、クレアお嬢様達がいる所では話しづらかったので」
ライラさんに言われて、どんな相談かと首を傾げつつ席を離れて屋敷の中へ。
てっきり厨房にいるものだと思っていたヘレーナさんだが、小さなテーブルと一緒に、廊下で椅子を用意して待っていてくれた。
立ち話ではなく、落ち着いて座って話すという事なのはありがたいけど、廊下でこんな事をしていてもいいのだろうか?
「セバスチャンさん達に頼んで、この廊下は人が通らないようにしてあります。落ち着いて話したいですから。……私では、客間を使うことはできませんからね。厨房に来てもらうのも申し訳ないですし」
「厨房でも良かったんですけど……。えーと、それで何を相談したいのですか?」
客間を用意できない代わりに、という事らしい。
料理長とはいえ使用人だから、勝手に客間は使えないという事か。
裏庭の出入り口と厨房は、屋敷の構造上少し離れているので、移動に時間のかからない廊下でと考えたんだろう。
まぁ、人が通らないなら落ち着いて話せるか……ちょっとどころではなく、長い廊下で見通しが良すぎるけど――。
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