【大感謝!510万PV突破!】異世界転移したら飼っていた犬が最強になりました~最強と言われるシルバーフェンリルと俺がギフトで異世界暮らしを始めたら~【Web版】
第554話 レオが魔法を使いたそうでした
第554話 レオが魔法を使いたそうでした
「だけどセバスチャン? はっきりとは確認されていなくとも、その大きな鳥の魔物は、他の魔物を従えていたのでしょう? それなら、空を飛んでいるのが一体だけ……というのはどうなのかしら?」
「そこには私も疑問を感じます。ただ、他に鳥の魔物がいる場所もいないため、もしかしたら……と推測しての事でございますが……」
「ふぅむ……ずっと我々の頭上を飛んでいるが、他に飛んでいる者はいないな」
「そうみたいですね。レオ、どうする?」
「ワフ? ワフワフ。ガウ~」
他の魔物を従えているはずの魔物が、一体だけここにいるというのが疑問に感じるようで、クレアさんがっセバスチャンさんに問いかけた。
セバスチャンさんの方も、それは考えていたようで、難しそうな表情になって考え込む。
エッケンハルトさんと俺は、もう一度空を見上げて、確かに一体だけしか飛んでいない事を確認。
ずっと空を見上げていたレオにも、とりあえずで聞いてみた。
「それは……できるのか?」
「ワフワフ!」
「そうか……でも、変にこちらから手を出したら、挑発した事にはならないか?」
「ワフ~ワフワフ。ガウ~」
「んー、まぁ確かに親フェンリル達を見る限り、レオの言う事は間違いないのかもしれないけどな……」
レオの言っている事は簡単だ。
気になるなら、叩き落して聞いてみればいい、どうしてここに留まるようにして飛んでいたのかを……という事だ。
これが地上にいるオークとかトロルドが相手なら、レオが言う事をきいて任せるんだが、相手は空を飛ぶ魔物。
レオの能力がどれだけ高くとも、見上げている空までジャンプするのは不可能だろうし、そんな事ができるのか疑問だ。
だがレオは、俺の問いに簡単そうに魔法を使って叩き落せばいいと答える。
魔法かぁ……オークを簡単に凍らせる事ができる魔法を、シェリーが使ったのだし、フェンリルより上位のシルバーフェンリルであるレオなら、それも可能なのかもしれない。
かといって、向こうが何もしてこない以上、このままにしていた方が安全なんじゃないかとレオに言ったら、どうせ危険な魔物じゃないから、落として聞いた方が早い……と気楽に言った。
確かに、親フェンリルなどの大量のオークを簡単に倒せる魔物すら、レオには敵わないのだから、もし飛んでいる魔物が向かって来ても、レオにとっては危険じゃないんだろう。
そして、レオに守られている俺達も当然大丈夫、という事だ。
うーん……一番手っ取り早いのは確かに、レオの言った事だな……どうするか。
とりあえず、俺一人では判断が付かないので、エッケンハルトさん達にレオが言った事を通訳した。
「ふむ……確かにレオ様であれば、危険な魔物という事はないだろうな。というより、レオ様が危険と言う魔物がいるのかどうか怪しいが……」
「そうですな。このまま空を飛んでいても、いつ襲って来るとも限りません。魔物を従えると言う知能があるのであれば、レオ様のいるこちらへは何もしてこないとも思いますが……絶対ではありませんからな」
「そうね。全てではないにしても、私達はレオさまの強さを知っているわ。だから、ここはレオ様に任せた方がいいのかもしれないわね」
俺以外の皆、意外と乗り気なようだ。
ティルラちゃんとリーザに至っては、レオの魔法が見られるという事で、期待に目を輝かせてすらいる。
……シェリーを含めたフェンリル達三体は、俺やレオの話を聞いて、離れた場所へ行き、尻尾まで後ろ足の間に挟んで丸くなり、身を寄せ合って体をプルプル震わせ始めたが……どれだけレオが怖いんだろう?
「ワフ?」
「はぁ、皆やる気のようだし、レオに任せると言ってくれているからな。……というか、レオも魔法を使いたいんだろ?」
「ワフゥ~」
やる? とばかりに鳴いて俺を見るレオ。
その瞳は、少し嬉しそうにしている事から、魔法を使って見たいんだと察した。
今までも、ちょっとした隙に魔法を使いたそうにしていた事もあったし、今も尻尾を振って嬉しさを隠しきれてないからな。
「わかった。だけど、皆に被害が及ぶような魔法は禁止だぞ? あと、知能があって話ができる魔物の可能性もあるから、控えめにな?」
「ワフ~!」
あんなに強いフェンリル達が怯えている事から、レオが本気で魔法を使ったら、周囲にいる俺達人間にも影響が及ぶような気がする。
レオに魔法を使う許可を出しながら、周囲へは影響を与えない事と、やり過ぎないようにする事だけは伝えておいた。
楽しそうに返事をするレオは、魔法が使える喜びからか、尻尾をブンブン振っていた。
もし、頭上を飛ぶ鳥型の魔物が、知能を持っていたら話ができるかもしれないからな。
レオやフェンリル達のような獣型じゃないから、リーザは無理だとしても、レオやフェンリル達を介して話ができる可能性は高い。
魔物を従えているという、セバスチャンさんの言っていた山にいる魔物なら、知能はあるだろうから。
ただ同種族だから一緒にいる、といったオークとは違い、従えるというのは本能だけでは難しい事だ。
それも、他種族というか人間から見て従えていると感じるのなら、知能があって意思を伝えたりはできるはずだ。
「えっと、一応少し離れましょうか。……リーザも」
「わかったー。パパー!」
「おっと! よしよし……。エッケンハルトさん達も」
「うむ、そうだな」
「シルバ―フェンリルの魔法。これまでも多少見られましたが、本格的に攻撃する魔法というのを見るのは初めてですな」
「そうね。どんな魔法なのかしら?」
「キュゥ……キュゥ……」
「ガゥ……」
「ガゥゥ……」
レオなら配慮はしてくれるだろうが、それでも念のため魔法の影響を受けないよう、その場から離れる。
リーザに声をかけ、レオの背中から飛び下りて俺に抱き着いて来たのを受け止め、頭を撫でながら他の人達にも声をかける。
皆、レオが魔法を使うという事で、期待が隠せない様子だ……セバスチャンさんとクレアさんは特に、興味深々だな。
ともあれ、数メートル離れ、フェンリル達に近い場所まで避難した俺達。
シェリーや親フェンリルは、体をプルプルとさせながら、相変わらず尻尾も丸めてか細い声を出していた。
……人間の俺や、獣人のリーザは期待するような、楽しそうな雰囲気なのに、フェンリル達は怯えてばかりなんだな。
フェンリルの本能だけにわかる、上位のシルバーフェンリルに対する恐怖なのかもしれないな――。
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