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第479話 レオやリーザと見張りをしながら焚き火を眺めました
第479話 レオやリーザと見張りをしながら焚き火を眺めました
野営地での深夜見張り担当は、最初に俺とレオとリーザで、次にニコラさんとセバスチャンさん。
その次が、フィリップさんと名前を聞き忘れてる護衛さんのうち一人で、最後にヨハンナさんともう一人の護衛さんとなる。
大体一組あたり二時間から三時間で、見張りをする人は担当ではない時間に仮眠する事となっている。
最後に、魔物の気配だとわかった場合、すぐレオに頼む事というのが決まった。
これは、察知能力が高いというだけでなく、レオだったら問題なく対処してくれるからという理由で、俺からお願いした。
エッケンハルトさんもセバスチャンさんも、その提案を承諾。
護衛さんのうち初めて森へ来た二人は、がっくりと項垂れて存在意義を自分に問うようにしてたが、苦笑しながらフィリップさんとニコラさん、ヨハンナさんの三人に慰められてた。
フィリップさん達は、前回見張りをしている時にオークが近寄って来た時、レオがサッと起きて一瞬で倒して終わらせ、何事もなかったかのように寝る……というのを見ていたからな……。
張り切って見張りをしようとしていた護衛さんには、申し訳ない事をしたかもしれないな……すみません。
「焚き火って不思議。ずっと形が変わり続けてるんだね?」
「そうだなぁ、火っていうのは決まった形がないから」
「ワフワフ、ワフ?」
「いや、それはもういいから……」
皆がテントに入って寝始めた頃、俺とレオとリーザで焚き火の近くに座り、見張りの開始となる。
見張りという事で、念のためナイフを腰に取り付けたリーザが、ジッと焚き火を見て不思議そうに呟いた。
俺も一緒に火を見ながら、リーザに答えるが、横で丸まってたレオが顔を上げ、固形の火を出す魔法もあるけど、使う? と聞くように声を出す。
前回の時もそうだったが、レオって魔法が使いたいのかな……?
ともあれ、今魔法をつかっても、寝ている皆に迷惑だから止めておいた。
皆をゆっくり休ませるための見張りなのに、騒がせたりしちゃいけないからな。
というか、固形の火ってなんだ……?
凍ってる……というのは火だから違うだろうし……日本にいた時は見た事も聞いた事もなかった。
もしかしたら、魔法の作用で何かしら方法があるのかもしれないが……俺にはよくわからない。
暇ができた時に覚えていたら、是非見せてもらおう……もちろん、周囲に迷惑をかけないように気を付けながらな。
「あぁ、そうだ。リーザ、森の中はどうだ?」
「初めて、こんなにいっぱい木が有るのを見たよ!森の中の匂いも初めてだし、遠くから……何の音だろう、カサカサってこすれるような音がするの! それと鳥さん? の羽根の音も!」
「カサカサっていう音は、多分草木が風で揺れて、葉がこすれる音だろうな。鳥は……俺は森の中では見た事がないけど、どこかにいるんだろう」
匂いというのは、森に入ってすぐの時に言ってたな。
葉っぱがこすれる音や、鳥の羽ばたく音か……。
一瞬鳥の魔物かなと思ったが、野鳥が人間や魔物を察知したりすると、すぐに逃げているんだろうと考え直す。
この森で、鳥のような魔物がいるとは聞いていないし、前回あれだけ長い間森の中にいて探索をしたのに、遭遇していないんだから、魔物ではないんだろう。
魔物だったら、人間に襲い掛かって来たり、他の魔物と争ったりしていてもおかしくないしな……多分。
とにかく、リーザは今までラクトスから出た事がないために、見る物全てが珍しく新鮮に感じているみたいだ。
危険も少ないし、屋敷で留守番させるのではなく、連れて来て正解だった。
屋敷の中にいたら、大自然の中で森の息吹……と言うのは少し大げさかもしれないが、こういった景色や風景を見たり感じたりはできなかっただろうしな。
川を初めて見て、レオの協力で中に入る事もできた事だし。
「そういえば、リーザ。川は大丈夫だったか?」
「うん、ママがしっかりぶら下げてくれてたから、大丈夫! ママみたいにできなかったけど……」
「ははは、少しずつ慣れて、練習したらいいさ」
リーザは、夕食前までレオと川に入っていた。
ぶら下げて……というのが比喩でもなんでもなく、本当にずっとレオが咥えていてくれたからなんだろうが、初めてだからそれくらいが丁度いいか……シェリーみたいに、溺れてもいけないしな。
そのシェリーは俺が枝拾いを終えた頃に、川で泳げない事に落ち込みつつ、クレアさんに慰めてもらおうとトボトボとした足取りで戻って来てた。
レオ程泳げるようにとは言わないまでも、もう少し頑張って挑戦してみた方が良かったんじゃないかという気がしなくもない。
それはともかく、レオのおかげで川に入れたリーザは、泳ぐ事にも挑戦したみたいだが駄目だったらしい。
もしかすると、レオが咥えてぶら下げてたせいじゃないかと思うが、それは言わないでおく。
あと、ママみたいにって……レオは当然のように犬かきで泳ぐんだが、リーザはそれでいいんだろうか?
クロールとかバタフライとか、色々な泳ぎ方はあるだろうに……まぁ、知らないだけなんだろうけどな。
今度、余裕がある時にでも教えるか……あまり得意じゃないが。
「ふわぁ~……」
「ワフ~」
「ははは、眠いか? あまり無理しなくてもいいんだぞ?」
しばらくの間焚き火を見ながら話していると、リーザが眠くなってきているのか、あくびをする。
それに釣られてレオもあくび。
レオの方は大丈夫だろうが、リーザはそろそろ眠気を耐えるのが辛くなって来たんじゃないかと、笑いながら聞く。
「……うぅん……まだ、起きてる。パパやママが頑張ってるのに、リーザが寝ていられないの。……一緒にいたいし……」
「そうか……まぁ、あまり無理はしないようにな?」
寝不足気味なはずのリーザだが、目をこすりながらも頑張って起きていようと、顔をブンブン振ったりしている。
声からは先程までの元気もなくなってしまっているが、リーザが起きておくと言うなら、その頑張りを見守ろう。
本当は、寝て欲しいとも思うんだが……やっぱりこうして一緒にいたいと甘えられるのも、うれしいもんだな。
もし眠気に負けて、リーザが寝てしまったらテントまで運んであげればいいだろう――。
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