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第472話 ティルラちゃんの緊張を解しました
第472話 ティルラちゃんの緊張を解しました
「ふぅ……」
「疲れたかい?」
「いえ、大丈夫です!」
森へ移動する途中、馬を休ませるための休憩場で、木にもたれかかるティルラちゃん。
疲れたような息を漏らしていたので、声をかけたんだが……本人は元気だとアピールするように、大きめの声を出した。
……大分緊張してる様子だな。
「緊張し過ぎてても、疲れるだけだから、もう少し楽にしてた方がいいと思うよ? ほら、リーザのように」
「……リーザちゃん、初めての森なのに楽しそうです」
「まぁ、確かにね……」
オークと戦う……という事がわかっているからだろうか、ティルラちゃんは肩肘に力が入ってしまっている様子だ。
馬車の中でも緊張していたんだろう。
何でもないと本人は言っていても、このままだと森についた頃には疲れ果ててそうだ。
野営をする場所までは、ある程度森を歩かなきゃいけないし、移動で疲れてちゃいけないと思って、緊張を解すように、話しかける。
レオやシェリーに、クレアさんとエッケンハルトさんを交えて、楽しそうに過ごしてるリーザをティルラちゃんと一緒に見るが……リーザはティルラちゃんとは逆に、緊張しなさすぎだなぁ。
魔物が出る森で、危険な事はちゃんと伝えたはずだが、警戒している様子はないし、緊張もしてない。
今も、クレアさんに撫でられて気持ち良さそうにしてるし……。
二人を足して二で割ったら、丁度いいかもしれない。
「なんにせよ、今日は森へ入って川を目指す。そこで野営をして、明日からオークを探すんだから、今から緊張しなくても大丈夫だよ」
「でも……森の中でオークに出会うかもしれません」
「それは確かにね。実際、前の時は移動中に遭遇したし……。でも、その時は護衛さんやレオが何とかしてくれるから、ティルラちゃんはどっしりと構えていればいいんだよ?」
「それは……お父様くらいしかできないのでは?」
「あははは、そうかもね」
今日はまだ、ティルラちゃんがオークと戦う事はない。
本番は明日からなんだから、今緊張しなくてもいいように、なんとか言葉を重ねる。
森を移動中にオークが出てきたとしても、護衛さんやレオがいるからなんとかなるだろうし……ティルラちゃんは気にせずにおけばいいと思ったが、さすがにエッケンハルトさんのようにはいかないようだ。
まぁ、エッケンハルトさんと違って、魔物と戦うのが初めてだから、仕方ないけどな。
「そろそろ、出発しますよ!」
「はい、わかりました!」
「はい!」
どうしようかと考えているうちに、セバスチャンさんが皆に声をかけ、再び森へ出発する事になった。
ふむ……。
「すみません、エッケンハルトさん。ティルラちゃんですが……」
「ティルラか……どうしたのだ? かなり緊張しているのは見てわかるが」
「いえ、このままだとすぐに疲れ切ってしまうでしょうから、レオに乗せて移動して見てもいいですか?」
「レオ様に? そうだな、レオ様と接していれば、緊張も解けるかもしれんな」
それぞれ、休憩を切り上げ、馬車に乗り込んだり馬に乗っ足りしているのを横目に見ながら、エッケンハルトさんに声をかける。
エッケンハルトさんから見ても、ティルラちゃんが相当緊張している事はすぐにわかるようだ。
まぁ、父親だから娘の事はよく見てるか。
ともあれこのままだといけないという事と、レオに乗せて移動してみる事を提案する。
すんなりエッケンハルトさんから許可が出たので、馬車に乗り込もうとしてたティルラちゃんと、リーザを呼んだ。
「どうしたのですか、タクミさん?」
「ティルラちゃん。レオに乗って森へ移動してみるかい? 馬車で移動するより、気持ちいいかもしれないよ?」
「……いいんですか?」
「大丈夫。レオも歓迎してくれるよ。――な、レオ?」
「ワフワフ!」
馬車に乗ろうとしていたのを、俺に呼ばれたため、不思議そうに首を傾げていたティルラちゃんだが、俺からの提案を聞いて、少し期待するような表情になる。
やっぱり、ティルラちゃんもレオに乗りたいとは思ってたんだな……そういえば、ティルラちゃんがレオに乗るのは、もっぱら裏庭でばかりだったか。
少しでも気が紛れればと思ったが、結構いい案だったようだ。
期待しながらも、本当にいいのか不安気なティルラちゃんの前で、一応レオにも聞く。
ティルラちゃんなら大歓迎とでも言うように、レオが鳴いて、乗せる事が決まった。
これで、ティルラちゃんの緊張が、少しでも緩和されればいいんだが……。
あとはリーザにもちゃんと説明しておかないとな。
「リーザ、すまないが、クレアさん達と一緒に馬車へ乗ってくれるか? さすがに、リーザとティルラちゃんを一緒に乗せるのは、俺が支えられないからな」
「うん、わかった! 馬車も初めてだから、楽しみ!」
「そうか、ありがとうな」
「ありがとうございます、リーザちゃん!」
「うん!」
ティルラちゃんもリーザもまだ小さい。
レオに乗った時、万が一にも振り落とされたりしないよう、俺が支える必要がる。
裏庭の時は、大分加減して走ってるからな。
それでも、ティルラちゃんなら支えなくても大丈夫かもしれないが、もしもが有っちゃいけない。
だが、俺一人で支える事になるため、リーザとティルラちゃんの二人を支えるのは難しい。
できない事はないかもしれないが、念のため安全な方を取りたいから、リーザには馬車に乗ってもらう事にした。
素直に頷いてくれたリーザは、俺とティルラちゃんのお礼に答えた後、クレアさん達のいる馬車の方へ駆けて行った。
馬車に乗るのが初めてだから、楽しみというのは本当なんだろうな。
「わー、速いです!」
「ワフッワフッ」
出発してすぐ、レオに乗ったティルラちゃんは、後ろから俺が支えてあげながら、興奮した様子で声を上げる。
レオも、ティルラちゃんが喜んでいるとわかって、上機嫌な鳴き声だ。
後ろにいるから、ティルラちゃんの表情まではわからないが、さっきまでの固い声ではないから、緊張も多少薄れているんだろう。
「あ、おいレオ。もう少し速度を緩めてくれ。皆を置いてきぼりにしてるぞ!」
「ワウ? ワフ」
「レオ様って、こんなに早かったんですねー!」
ティルラちゃんを喜ばせるためか、調子に乗って速度出し過ぎていたレオを注意して、馬車や馬から離れ過ぎないようにさせる。
一足先に森へというのもいいんだが、それだと皆を心配させそうだからなぁ。
特に、エッケンハルトさんがティルラちゃんを過剰に心配しそうだ……速度を出したレオに乗せられた事があるだけにな……。
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