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第216話 エッケンハルトさんが来る事になりました
第216話 エッケンハルトさんが来る事になりました
「……はぁ……お父様……いつも突然ね」
「もう少し前もって報せて欲しいです」
「まぁ、緊急性はそこまでありませんが……公爵として例の店を見過ごせなかったんじゃないですか?」
クレアさんとティルラちゃんの二人は、溜め息を吐くように漏らしている。
俺はフォローというわけでも無いが、二人に声を掛ける。
エッケンハルトさんは、正義感が強そうにも見えたから、領民を苦しめる悪質な店を見過ごす事ができなくて直接来る事にしたのかもしれないしな。
ランジ村に病の原因となるガラス球が置かれた事や、ワインの事も含めると、公爵家当主が直々に……というのも間違いじゃないのかもしれない。
相手は伯爵家繋がりがあるみたいだしな。
……突然で、こちらが対応に追われる……というのは確かなんだけどな。
「……お父様には、今回屋敷へ来られたら言っておかないと……」
クレアさんは、一人決意したように呟いている。
でも、エッケンハルトさんの事だから、笑い飛ばして聞きそうにないなぁ……。
いやでも、娘の言う事だから、父親として聞くのかもしれないな。
何はともあれ、明日にはエッケンハルトさんが来るのだから、それに備えなきゃいけない。
とは言っても、俺は特にする事が無いから、剣の師匠であるエッケンハルトさんが来るまでに、少しでも腕を上達させる事くらいしかできないか。
「よし、俺は剣の鍛錬をします」
「私もやります!」
「はい、無理はなさらないで下さいね」
「はい」
俺の言葉に、ティルラちゃんも同じことを考えたのか、意気込んで立ち上がる。
そんなティルラちゃんを連れて、クレアさんの言葉に頷きながら、裏庭へ。
「お父様が来たら、驚かせたいです!」
「ははは、ティルラちゃんは素人の俺から見ても、十分に上達してると思うから、大丈夫だよ」
「ワフ」
「キャゥ」
意気込んでるティルラちゃんだが、目的はエッケンハルトさんを驚かせたいかららしい。
子供らしく手微笑ましい動機だが、既にティルラちゃんは十分に剣が上達していると思う。
俺が笑いながら言う言葉に、レオもシェリーも頷いている。
「でも、まだレオ様に剣が当たりません……」
「あー、まぁ、レオはなぁ……」
エッケンハルトさんが以前本邸に帰る時言っていた、レオに剣が当たるようになれば一人前の剣士だ……と。
しかし今日まで、レオには俺もティルラちゃんも一切剣を当てられていない。
いつものように遊んでるような気軽さで避けられるだけだ。
……実際、魔物と戦う時のレオを見ていたら、剣を当てられれば一人前どころか、達人の域になるんじゃないかと思うが……。
「じゃあ、もしその事をエッケンハルトさんに言われたら、手本を見せてもらおう」
「手本ですか?」
「エッケンハルトさんがレオに剣を当てられるか……もし当てられるのなら、どうやって当てるのか……ね」
「ワフワフ」
「それは良いですね!」
エッケンハルトさんには申し訳ないが、レオに剣を当てる……というイメージを俺もティルラちゃんも思い浮かべる事ができない。
それは俺達が未熟なのもあるし、レオの動きが早すぎるのもあると思う。
達人の域に達してるエッケンハルトさんならどう当てるのか、見本を見せてもらえれば、イメージももう少しはっきりするかもしれないからな。
レオの方もエッケンハルトさんと対峙する事に問題がないように頷いてるし、ティルラちゃんも楽しそうだ。
その後は、いつもより集中して剣の鍛錬を行った。
使用人さん達はエッケンハルトさんを迎えるために忙しそうにしていて、ミリナちゃんも手伝いをしていたから薬の勉強は無し。
ラクトスへの薬草も、今日はニックに渡したし、明日の分は今日多めに作ったから準備はされている。
あとは特にやる事も無いから、俺とティルラちゃんは二人で鍛錬に打ち込むだけだ。
「ふぅ、明日はエッケンハルトさんが来るのか……」
「ワフ?」
集中し過ぎてライラさんに止められるくらいだった鍛錬も終わり、夕食を取り素振りも終わった夜、部屋で一息つきながら明日の事を考える。
鍛錬はしっかり続けて来たし、おかげでニックの時もオーク達が襲って来た時も体が動いてくれた。
剣を教えてくれたエッケンハルトさんには感謝しかないな……あれがなければ今頃死んでいてもおかしくないだろう。
強くなる実感と一緒に、まだまだエッケンハルトさんには敵わない事を思い知る。
あの域にすぐにたどり着けることはないのはわかっていたが、剣を扱えるようになるごとに敵わない事がわかって来るものだ。
「怒られないと良いけど……」
オーク達との戦いで動きを止めた事で怪我をした。
エッケンハルトさんからは、戦闘中に動きを止めるのは禁物だと教えられていたのに、だ。
まぁ、そんな事で起こるよりも、無事な事を喜ぶ人だというのはわかってはいても、剣の師匠と言えるエッケンハルトさんの反応は気になるところだ。
「まぁ、考えていても始まらないか。明日にはエッケンハルトさんが来るんだし。な、レオ」
「ワフワフ」
隣にお座りしているレオを気晴らしに撫で、考える事を止める。
明日になれば絶対会う事になるんだから、ここで無駄に考えなくても良い事だろうからな。
「ん、レオ……結構汚れてるな……」
「……ワフ。ワフゥ?」
レオを撫でながら、そちらをよく見て気付く。
綺麗で輝きすら放つようだった銀色の毛は、今はくすんだ色になっており、所々絡まっていて撫でる手が引っかかる事もあった。
レオに声を掛けると、少し躊躇しながら鳴き、これくらいなら汚れてないよ? とでも言いたげだ。
「……色々走り回ってくれたからな……汚れるのも当然か。よし、風呂に入って綺麗にしてやるぞ!」
「ワフゥ……ワフワフ!」
ランジ村に行ったり、魔物と戦ったり……寝るのも外だったから、レオが汚れてしまうのも当然だ。
そう考えて風呂に入る事を言うと、全力で俺から離れ、勢いよく首を振っている。
……今まで以上に反応が過敏だな……。
「レオ、そんなに風呂が嫌いなのか?」
「ワフ! ワフ!」
問いかけてみると、全力で肯定するように何度も頷き、鳴いている。
ふむ、いい機会だから聞いてみるとしよう。
せっかくレオと会話っぽい事もできるんだから、嫌いな理由を聞いて、改善できるようならレオの風呂嫌いが治るかもしれないしな。
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