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第134話 病気の予防を教えてみました
第134話 病気の予防を教えてみました
「ティルラお嬢様はシェリーを抱いて、ぐっすりと眠られておられました」
ティルラちゃんの様子を見て来たらしい、ライラさんが答えてくれた。
……俺がこの食堂に来た時、既に料理の用意だけでなくお茶の用意までされていたのに……一体ライラさんは屋敷内をどう移動しているのだろう……?
俺が屋敷に戻って食堂に来るまで、10分くらいしか経っていないはずなんだが……。
「ティルラは寝かせておきましょう。久々に街に行けて随分はしゃいでいた様子ですから」
「そうですね。孤児院でも子供達と遊んでいましたし、疲れてるのかもしれませんね」
もしかしたら、エッケンハルトさんがいた頃から続いてる、鍛錬の疲れが出たのかもしれない。
鍛錬に勉強に……ティルラちゃんも色々忙しかったみたいだからな。
「それでタクミさん。タクミさんは今回の薬草販売、どうでしたか?」
「んー、売る事に関してはカレスさんに任せておけば良いでしょうね。レオを客寄せに使った事や、店の外での販売法と言い、上手いやり方だと思います」
夕食後のティータイム、クレアさんとラクトスの街で行った薬草販売の事について話す。
まぁ、レオが予想以上に人気になって、子供達の対応が遅れたというのはあるけどな。
「あとは……アンナさんの言う通りなら、今ラクトスには薬草が足りていないはずです。評判を聞いてお客さんが来る事も期待できるかと思います」
「そうですね。公爵家としては、薬草が足りていない街の状況というのは問題ですが……。おかげでタクミさんの薬草が評判になりそうですね」
「まぁ、問題はその薬草が足りない原因なんでしょうね」
悪質な店が、粗悪な薬草や薬を売る。
住民達は他の店では薬草が売り切れてるから、その悪質な店を頼るしかなくなる……。
考えれば考える程、各店で買い占めてるのもその店の可能性が高いな
……そのおかげで、俺の作った薬草も売れ行きが好調なのは、皮肉なのかもしれないけどな。
「そうですね……セバスチャンが調べているとは思いますが……住民に悪質な薬草を売るというのは由々しき事です」
「タイミング良くなのか、狙ったのかはわかりませんが……疫病もありますからね。孤児院の皆は治せましたが、街の皆となると数が多過ぎてすぐには対処出来ないでしょう」
「はい……タクミさんに住民全員分のラモギを栽培してもらう、なんて無理はさせられませんし……疫病がこれ以上広まらない事を願うばかりです」
「そうですね……」
クレアさんに答えつつ、俺は疫病の事を考えていた。
孤児院の皆が罹った病気は、見る限りでは風邪の症状だ。
ラモギを飲ませればすぐに治るとは言え、その数は不足している。
何とか予防出来れば良いんだが……。
ん? 予防?
「クレアさん、予防するという事は出来ませんか?」
「予防……ですか? それは一体なんなのですか?」
予防という概念が無いのかもしれないな……。
医学が発達してないせいなのか、それとも薬で対処すれば良いと考えられてるせいなのかはわからないが。
「えっとですね、俺の以前住んでた所の話になるんですけど……」
俺は持てる知識で、予防の事をクレアさんに伝えた。
人にうつる病気という事は、病原菌が原因の可能性が高い。
俺は医者でも無ければ医学を学んだわけでも無いから、にわか知識ではあるけど、それでも伝えられる事はあるかもしれない。
「成る程……タクミ様のいた場所はそういった事なされていたのですね」
「はい。最低でも手洗いやうがい等を欠かさないでおく事で、病気に罹りにくくなります。あとは、出来るだけ体を清潔に保つ事ですね……住居も出来れば清潔にするのが望ましいと思います」
俺がクレアさんに伝えたのは基本的な事だ。
外から帰って来たら手洗いうがいをする……日本だと子供に教えるくらいの知識だな。
他にもある程度は教えたが、それら全てをクレアさんは初めて聞くようだった。
予防と言う考え方が無いくらいだから仕方ないな……。
「わかりました。まずこの屋敷に住む者達には徹底させます。それと……そうね……ライラ、セバスチャンに伝えて頂戴。ラクトスの街の住民にも徹底させるように」
「畏まりました」
クレアさんに言われたライラさんは、一礼して食堂を出て行った。
街の住民全てが徹底する事は難しいかもしれないが、公爵家がお触れか何かを出せば、それを実行してくれる人も多いだろう。
少しでも疫病が広まるのを防げれば良いと思う。
その後もしばらく、お茶を飲みながら疫病予防についてクレアさんと話し合った。
俺の知ってる知識が疫病に効くかはわからないが、風邪だとしたら十分に効果が出るはずだからな。
「さて、昨日は休んだから今日は素振りをしておくか」
「ワフ?」
休まないの? と言うレオの視線と声。
すまないが、昨日休んだ分、今日はしっかりやっておきたい。
ついでに、ラモギも追加で作っておきたいからな。
裏庭に出て、持って来た剣を鞘から抜いて構える。
素振り1000回、昨日休んだ分も取り戻すように集中して行った。
ティルラちゃんは起きて来なかったので、今日もお休みだ。
「あとはラモギを……と」
「タクミ様、街での事は聞いています。あまり無理をなされては……」
「これくらいならまだ大丈夫ですよ。任せて下さい」
今日も俺が鍛錬する間、見守ってくれていたライラさんに心配されるが、これくらいなら大丈夫だろう。
明確な指標は無いが、ラモギを栽培するのは、多くの力が必要な事じゃないと思うからな。
「よし、出来た。ライラさん、これを使用人達皆に飲ませておいて下さい」
「わかりました。これも先程、クレアお嬢様とお話しされていた予防のため、ですね」
まぁ、それもあるかな。
前もってラモギの薬を飲んでおくことで、効果があるかはわからないが……この屋敷にいる使用人さん達は病に罹っていたティルラちゃんと接していたからな。
潜伏期間があるから、もしかしたら症状が出ていないだけで、病気に罹っている人がいるかもしれない。
ライラさんは予防という事で納得したが、実際のところはそんな風に俺は考えていた。
「よーし、レオ。部屋に戻るぞー」
「ワーウ」
裏庭で俺が素振りをするのを見ていたレオに声を掛け、部屋へと向かう。
レオの方はあくびをするように返事をしてのそりのそりと付いて来る。
今日は街に行ったり、子供達と遊んだりでさすがのレオも疲れたかな?
時間も遅いし、眠いのは仕方ない事だろう。
部屋に戻ると、レオはすぐにベッドの横で丸くなって寝てしまった。
「おやすみ、レオ。お疲れ様」
「ワフゥ」
それを見ながら俺もベッドに入り、レオに声を掛けて寝る。
寝言のようにレオが返事をするを聞きながら。
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