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第111話 レオに慣れてもらうための荒療治を行いました
第111話 レオに慣れてもらうための荒療治を行いました
翌朝、珍しく早く起きたエッケンハルトさんを交えて皆揃っての朝食。
和やかな雰囲気ではあるが、エッケンハルトさんとセバスチャンさんは俺の作った薬草を販売する方針を話し合っている。
「セバスチャン、前回タクミ殿に作ってもらった薬草は持ち帰る。だが、先にラクトスの街で販売を開始してくれないか」
「わかりました。タクミ殿に無理をさせないよう、いくつかの薬草を卸してもらいます」
「頼む。人の行き来が多いラクトスから販売を開始すれば、評判が広まるのも早いからな」
「もしかしたら旦那様が本邸に戻るまでに評判になってるかもしれませんな」
「ははは、そうなってもおかしくないな」
どうやら、俺の薬草はこの屋敷の近く、俺も行った事のあるあのラクトスの街で最初に販売されるらしい。
追加の薬草を頼まれるのは良いが、また高い報酬を受け取るのかぁ……使い道も考えておこうかな。
「お父様、ラクトスの街という事は、あの店を使うのですね?」
「ああ。あそこは販売品を定めていないからな。薬草を新しく商品として加えても問題無いだろう」
クレアさんとエッケンハルトさんの間であの店で通じ合ってるお店はどんな所だろう……?
ラクトスの街には二度しか行った事が無いから、公爵家の店というのがわからない。
薬草を販売する時になればわかるか。
エッケンハルトさんとセバスチャンさん、途中からクレアさんも混ざって薬草販売の事を詰めて行く。
俺とティルラちゃんはそれを聞きながら、美味しい朝食を食べた。
まだ知らない事が多いから、話に混ざれないからなぁ……。
朝食が終わる頃には話が終わり、ティータイムに入って休憩をしながら雑談。
「お父様、本邸への道中お気を付けて」
「護衛もいるからな、大丈夫だろう」
「それでも、です」
別荘であるこの屋敷から本邸まで、馬に乗って約1週間だと聞いている。
その間、魔物がいるこの世界だと何があるかわからない。
クレアさんの心配にエッケンハルトさんは笑っている。
強さという意味で考えるなら、エッケンハルトさんなら大丈夫だろうと思う。
「タクミ殿、セバスチャンもいるから心配ないと思うが、この屋敷の事を頼むぞ」
「……はい」
その言葉を、エッケンハルトさんに信頼されてる証拠だと受け取り、頷く。
何があるわけじゃないが、頼られる事に悪い気はしない。
お世話になってる人達のために何かするのは当然の事だ。
「ワフワフ」
レオも任せろと言うように頷いてる。
それに少しだけビクッとするエッケンハルトさん……まだレオに慣れてないんですね……。
「お父様、レオ様にもう少し慣れてはどうですか?」
「……レオ様が優しいというのはここ数日でわかっているが……どうしてもな……」
エッケンハルトさんは多分シルバーフェンリルの怖さというのを色々知ってるんだろう。
知識もそうだが、レオから感じるシルバーフェンリルの迫力みたいの物を感じるのかもしれない。
体も大きいしな。
そうだな……ゲルダさんがレオに慣れるようにした時と同じことをしても良いか……。
「エッケンハルトさん、出立までまだ時間はありますか?」
「どうしたタクミ殿? ……時間の方は後1時間程か……それくらいの時間なら大丈夫だぞ」
1時間か……そんなに長い時間じゃないが、それくらいでも十分かもな。
「それではエッケンハルトさん、少しだけ裏庭に来て頂けますか?」
「ん? ああ、わかった」
「タクミさん、どうするんですか?」
「エッケンハルトさんがレオに慣れてもらえるようにするだけですよ」
クレアさんの疑問には、エッケンハルトさんに聞こえないよう小声で答えておき、俺はレオを連れてエッケンハルトさん達と裏庭に出た。
「タクミ殿、どうするんだ? また『雑草栽培』で何かを試すのか?」
エッケンハルトさんは『雑草栽培』を使うのかと考えてるようだけど違う。
俺はレオと一緒にエッケンハルトさんに近付きつつ、目的を教える。
「エッケンハルトさんがレオに慣れるようにと思いまして。レオ、頼む」
「ワフ」
俺の言葉に返事をしたレオは、エッケンハルトさんに背を向けてその場に座る。
「さ、エッケンハルトさん。レオに乗ってみて下さい」
「……レオ様に……? しかしな……」
「大丈夫ですよお父様。レオ様は優しいので振り落としたりしませんから」
ティルラちゃんがレオに乗っても大丈夫だと伝えながら、エッケンハルトさんの背中を押す。
クレアさんもそれに加わって、押されたエッケンハルトさんは仕方なくレオの背中に乗った。
……エッケンハルトさんの背中を押す人の中にセバスチャンさんも楽しそうな顔をしながら混ざってた気もするが、気にしない事にする……セバスチャンさん、主人の扱いはそれで良いんですか?
「……レオ様……お願いします……」
「レオ、ゆっくりで良いからな」
「ワウ!」
エッケンハルトさんを背中に乗せて立ち上がるレオ。
馬に乗りなれてるはずのエッケンハルトさんは緊張で体を硬直させながらもレオにしがみつく。
「ワフー」
「キャゥ! キャゥ!」
レオはそのまま、広い裏庭を自由に走り始める。
乗ってるのが恐がってる人だからか、速度は初めてティルラちゃんを乗せて走った時よりゆっくりだ。
その後ろをシェリーが楽し気に鳴きながら追いかけている。
もしかして、遊んでもらってると思ってるんだろうか……まぁ、シェリーの運動になってちょうど良いか。
「タクミさん、良い方法を考えましたね」
「ゲルダさんもこれでレオを怖がらなくなりましたからね。同じ方法ですけど、効果はありそうだったので」
「そうだったのですか。確かにいつの間にかゲルダがレオ様を怖がってる様子が無くなっていましたが……」
そう言えば、ゲルダさんとライラさんを始めてレオに乗せた時、クレアさんは一緒にいなかったな。
しばらくの間、エッケンハルトさんがレオに乗って裏庭を走り回るのを和やかに眺める皆。
段々とレオに乗る事に慣れて来たエッケンハルトさん、山賊に見間違うような男性が大きな狼に乗っている姿は迫力があるな。
「レオ、そろそろ戻っておいで」
「ワフ」
大体30分~40分くらいだろうか、そろそろ大丈夫だと思った俺がレオを呼ぶ。
その声に反応したレオが、走る速度を上げて俺の前に来た。
その場でお座りの体勢になったレオから、エッケンハルトさんが降りて来る。
少しだけ足取りが不安定だが、すぐに慣れるだろう。
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