きみ探し

作者 紫藤 咲

空行の間隔にさえ、この世界が切り裂かれていくような感覚。

  • ★★★ Excellent!!!

 ミステリアス。

 切々と地の文が流れ、千々と感情が乱れる。
 現実か空想か、その世界の境界で揺れ動きながら物語は進むわけだが、狙ってやった才能か、偶然の産物か、或いは作者自身の叫び故か。

 空行の間隔にさえ、この世界が切り裂かれていくような感覚。

 共感性の賜物、と言ってしまえば、それまでの話だが。
 自己の存在証明を、鏡で映すように。

 己を形作るもの、モノ、物、者。
 なんでもいい。
 ちりばめられたそこに、何が、大事であるかを指し示してくれる作品である。

 読後感からくる小気味よさは、まさに、きみがきみを探す。
 そんな、物語であったと言えよう。

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