第42話 魔術師ギルド(2)
「もちろん、代官様への手土産は用意しております」
錬金工房から長剣と盾を取り出してテーブルの上に置く。
いましがた鑑定してもらった長剣よりもやや
新たに眼の前に置かれた長剣と盾に視線が釘付けとなっている二人に言う。
「どちらも硬化と自己再生が付与されています。さらに長剣には炎の魔法も付与されています。剣身に炎をまとわせることができるので戦場で映えるでしょうね」
「炎に自己再生だと!」
「国宝級ではありませんか!」
ギルド長と鑑定役の女性が同時に腰を浮かせ驚きの声を上げた。
事前にロッテに訊いたときには『聞いたことのない魔剣ですけど、修理しなくていいのは凄く便利そうですね』、と言っていたが……国宝級だったのか。
炎をまとわせる剣は耐久性に問題がある。
これは性質上やむを得ないことなのだが、この剣は自己再生機能があるので剣身に炎をまとわせながらも常に再生し続ける」
「魔力が続く限り。という条件はありますが簡単に壊れたりはしません。この剣なら代官様にも気に入って頂けると確信しております」
代官が派手好きなら尚更だろう。
「おっしゃる通りです。献上品がこちらの品なら魔術師ギルドとしても自信を持ってご紹介できます」
ギルド長の言葉遣いが代わった。
「ギルド長にそう言って頂け、私も気が楽になりました。可能なら今夜か明日にでも代官様のお宅を訪ねたいのですが?」
「随分と急ですな」
「父から『商人は時間を無駄にしてはいけない』と教えられて育てられたので」
ずるずると引き延ばされるのは困る。
今夜や明日の訪問をこの場で約束できないのは分かっている。だが、ロリコン代官のところにいますぐにでも使者を出すくらいはできるだろ?
「しかし、幾ら何でも急すぎますな……」
ギルド長が額の汗を拭う
そのとき誰かが扉をノックした。
「いま、来客中だ」
「申し訳ございません。そちらのお客様からご依頼されたアンデッド・オーガの査定が終わりましたので、買い取り明細と代金をお持ちいたしました」
絶妙のタイミングじゃないか。
「差し支えなければ彼女を入室させて頂けませんか?」
「カンナギ殿がそれでよいなら」
ギルド長のその一言で扉を代金を持った女性が応接室へと招き入れられる。
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