カルセドニーダンジョン㉒


改めて冷静に宝箱の中に入ってた物を見てみると……


銀色のキューブのペンダントが3つ


不思議な色の金属の塊が1つ


不思議な色の金属の鞘が1つ


あと……キャンディ包の中に入ってる丸い玉?が1つ


うーん、こうやって見ても1つだけ場違いな物があるんだけど。

なんで、ダンジョン奥底の隠し部屋に、ある宝箱の中に飴(仮)が入ってるだろう。


私が飴(仮)の事を考えていたら、ナユナとシンシアさんが宝箱の中にある物を見ながら


「この金属って……もしかしてオリハルコンじゃないかしら」


「うむ、その通りだぞ。エルフの娘よ」


「ええ!?これが伝説の金属と言われてる。オリハルコンなんですか!?それじゃあ、この同じ金属で作られてる鞘もオリハルコンって事なんですか!?」


そう言いながら、ナユナがオリハルコン製の鞘を宝箱から取り出したら、それを見たクロが突然!


「あっ!り……ゴホン、ゴホン」


あっ、クロいま素が出るところを誤魔化したな。

それにしても、誤魔化し方がベタだな、剣なのに咳で誤魔化すなんて。

その誤魔化し方が下手だったみたいで、シンシアさんがちょっと不思議そうにクロを見ながら


「あの、黒金様、大丈夫でしょうか?」


「いっいや、なんでもないぞ。エルフの娘よ」


あら~かなり動揺してるしクロはやっぱり残念な剣だなってな事思っていたら、クロが念話で語りかけてきた。


《りん!酷いよ!酷いよ!》


《えっ!?いきなり酷いってなに?》


《鞘だよ!鞘!ナユナが見せてくれなかったら、忘れてた所だったよ!》


あっ!そう言えば、マラカイトに着いたら作ってあげるって言ってたんだっけ。

完全に忘れてたわ。

あ~、これは忘れてたって言ったら、永遠と念話でごちゃごちゃ言ってくるパターンになるな……


うーん……よし!誤魔化そう!


《あ~鞘ね。いや~本当はマラカイトで作ろうと思ったんだよ》


《本当に?なんか怪しい》


あぁ、クロって、こういう時には妙に感が働いてるし。


《ほっ本当だって!だけどさ、マラカイトの鉱山でオーク殲滅した後、シンシアさんに会って、このダンジョンの宝にオリハルコンがあるって言ってたから、オリハルコンが手に入ったら、作ろうと思ったんだよ。それにさ、クロって神武じゃん。やっぱりそれ相当の素材で作らないと、示しがつかないしね》


私は早口でまくしたてた。

どうか、クロよ。

これで納得してくれ。


《そうか!りん、ありがとう!オイラの事をちゃんと考えてくれてたんだね。疑ってごめんね》


うっ凄い罪悪感が押し寄せてくる……クロごめんね。


私は罪悪感を紛らわす為にさっき気になった。

飴(仮)の事をみんなで相談してみる事にした。


「宝の2つはオリハルコンって事がわかったけど、この3つのペンダントとこの包装されてた。丸い物体は何なんだろう。二人ともわかる?」


「うーん、この3つのペンダントは、どんな効果があるかわからないけど、マジックアクセサリーだと思うわ。丸い玉は、なんなのかわからないわね」


そうか、Sランクのシンシアさんでも、わからないのか、そんな事を思っていたらクロが突然偉そうに。


「そうだろう。なんと言っても、女神の宝なのだからな。そう易々とわかるまい。うむ、りんよ。こんな時はお主の鑑定で調べれば1発でわかるだろう」


「えっ?!りん君って、アイテムを鑑定できるの!?」


シンシアさんは驚いた顔をして言った。

クロに言われて思い出したけど、私の鑑定って道具とか鑑定できたんだったな。

そのおかげでクロの本性も見つけられたしね。

あれは、我ながら傑作だったわ。


それじゃあ気を取り直して鑑定して見ますか。


まずは、3つのペンダントから調べてみるかな。

私は3つのペンダントの1つを手に取って「鑑定」っと唱えて見た。

その結果は以下の通りだ。



アイテムbox(神級)


女神が創り出しもの。

生命ある物は入れられないが、その他の物は無限に収納できる。

そして、その中に入った物は永遠に入れた時の状態で保管される。



以上が鑑定結果だ……ってえぇ!?これって超チートアイテムじゃん!


ヤバいよヤバいよ……!!こんなすごい物が宝箱に入ってるなんて思いもしなかったよ。それも3つも!

オリハルコンも凄けど、このアイテムって物が無限に入るだけでもすごいけど、何より入れた物が永遠に入れた時のままって事が凄いわ!

そんな凄いアイテムを鑑定して1人で興奮していたら


「りん君、このアイテムの鑑定結果がわかったなら、教えて欲しいんだけど」


シンシアさんがワクワクした目で私を見ながら、言った。

そして、ナユナの方を見たら、ナユナも早く知りたいのか、ソワソワしながら私を見ていた。


「シンシアさん!ナユナ!何とこの3つのペンダントはアイテムboxだったんだよ!そんでもって!このアイテムbox無限に物が入れられて!その入れた物は入れた時のまま永遠に保管できるんだって!それに、これって!なんかよくわからないけど神級なんだって?!」


興奮した私は一気にまくし立てながら言った。


「えっ!アイテムboxで……神級!?伝説級じゃなくて?」


シンシアさんが驚いた顔をしながら言った。


「はい、鑑定した結果、神級ってなってましたよ」


「 「えぇ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈!!」」


「ちょっと待って!?考えさせて!?えっ?!神級って、あの神級の事よね……だから……無限に物が収納できるって事……そして……アイテムboxの中は時間が止まるって事よね……だから、神級って事なのね……」


「神級って……神話でしか聞いた事がないです……凄い……凄い……凄い……」


2人は驚いて大声を上げたあと、シンシアさんは下を向きながら考え込んで、ナユナは放心状態のまま凄いを連発で言っていてちょっと怖い。


《りん、こんな時こそ神聖魔法じゃない?》


《なるほど!クロ、ナイスアイデア!》


私はクロのアイデアを聞いて2人が元の状態に戻ることを願って回復魔法を唱えた。


「2人共、戻ってきてヒール!」


ヒールを唱えると淡い光が2人を包み込んだ。

そして、淡い光が消えた時に2人は、はっと我に返って恥ずかしそうにしながら


「ごめんなさい。神級って聞いちゃって、かなり取り乱しちゃったわね。私ったら」


「すみません。わたしも神話の中ので出てくる。言葉を聞いてしまったので混乱しちゃいました」


どうやら、2人は元に戻ってくれたみたいだ。


「それにしても、2人が取り乱すって事は神級って凄い物なの?」


「「凄い物よ!」です!」


「いい!りん君、神級って言うのわ。神話の話の中に出てくる伝説の……いいえ神が創った道具や武器なのよ。この世界にある神級って言ったら、黒金様やヴェルザンディ教に保管されてる。白金の神鳥の杖の事を示してるのよ!」


なるほど、クロも神級の分類に入るのか、確かにクロも女神に創られた剣だしな。

このペンダントも女神が創った物だから神級なんだね……って事は女神が創った物はすべて神級って事なのか、ならオリハルコンの鞘も神級って事になるのかな?


ちょっとだけ調べて見るか、私はボソリ小さな声で「鑑定」と唱えた。



オリハルコンの鞘(神級)


女神が黒金の神狼の剣の為だけに創った鞘。

どんな形でも、ちゃんと収まるようになっている。



おぉー、これは便利だわ、街に居る時は今まで通り短剣のままでダンジョンの中とか戦闘が多い場所には大剣サイズに出来るってのがいいね。


「りん君!さっきの話聞いてたかしら」


あぁ、そうだった。

神級の事話してたんだったな。

ちょっと女神が創ったオリハルコンの鞘が神級なのか気になって鑑定してたから、途中からちゃんと聞いてなかったわ。


「えっと、って事はクロも神級って事なんですね」


「ええ!もちろんそうよ!」


それを聞いたクロが


「エルフの娘よ!我をその様なただの道具と一緒にするでない!我は神武ぞ!」


《りん!シンシアって酷いよね!ただのペンダントと一緒にするなんてさ!》


クロ……ちゃんと聞いてるから、副音声はやめて欲しいわ。


そんなクロの言葉を聞いたシンシアさんが


「はっ!くっ黒金様、もっ申し訳ございません。神級を見て舞い上がってしまいまして神武である。あなた様と同等としてしまいまして、本当に申し訳ございませんでした!」


そう言うとシンシアさんは見事なジャンピング土下座をした。

あっ久しぶりに見たなジャンピング土下座……って何やらしてるのクロ!


《クロ!何やらかしてるの!シンシアさんに土下座させて!》


《だって、さっきも言ったけど、ただのペンダントと一緒にされたんだよ。こんな事言われたら普通に怒るでしよう》


《うーん、だけど、シンシアさんにとっての神級って神武のクロとヴェルザンディ教に保管される。白金の神鳥の杖くらいしか見た事がないんだから、しょうがないじゃない。クロは神武なんだから、寛大な心で受け入れる器で居ないとダメだと思うよ。だから、シンシアさんの事、許してあげなよ》


《そうだね。りん!オイラは神武なんだもんね。シンシアを寛大な心で許すことにするよ》


偉いぞ!クロだけど、寛大な心があるなら、シンシアさんの言葉を流すのが普通だぞ。


「エルフの娘よ。顔を上げよ。我も少し言い過ぎた。すまぬな」


「あっありがとうございます!黒金様。お慈悲をいただき本当にありがとうございました。これからは、この様な事がないように心に刻み込みます」


「うっうむ」


シンシアさん、ちょっと重いクロがドン引きしてるよ。


クロがシンシアさんにドン引きをしてる所でナユナが


「あの?りんさん、わたし気になってたんですが、ペンダントがアイテムboxなら、その丸い玉はなんなんでしょう?」


「うむ、人間の娘よ。我も気になってたところだ。りんよ。鑑定してみよ」


あぁ、やっぱり鑑定しないとダメなのか気にはなるけど、なんか私の中の私が危険だって言ってるような気がするんだよね。


うーん、鑑定したくないけど、今まで手に入れた。

アイテムって凄く使える物だったし、手紙にも私に役に立つ物って書いてたから、鑑定してみるか。


「うん、じゃあ、鑑定するね」


私は丸い玉?を鑑定した。



経験値飴(※※※級)


女神が鬼塚りんの為に急遽作った飴。

食べると進化できるレベルまで上がる。



ちょっと、いろいろツッコミたいんだけど……


まず雑な設定すぎる!なんで飴なの!女神なら、奇跡の力で私を進化させてよ!って言うか、こんなのあるなら、最初っからクロに持ってこさせてよ!


そして!※※※級って何?!文字化けしてるんだけど!怖すぎるんだけど!?


これ食べないといけないのか、そしてやっぱり飴だったんだね……


「りんさん、丸い玉の正体わかりましたか?」


私はテンション低めにナユナに鑑定結果を伝える。


「あぁ……うん……なんか、一気に進化できるレベルまで行ける飴なんだって」


それを聞いた皆が


「りんさん!おめでとうございます。これでゴブリンとはお別れ出来そうですね」


「おめでとう。りん君をこのダンジョンに連れてきてよかったわ」


「流石、女神ぞ!良かったな。りんよ」


《良かったね!りん!》


祝ってくれるのは嬉しいけど、クロ、副音声はやめて。


皆がお祝い言葉を言ってくれてるけど、はぁーこれ食べないといけない雰囲気だ……食べたくないよ。


だってなんか、やばそうな色してるんだもん、例えるのは難しいけど食べ物にあってはならない色なんだよね。

でも、匂いは甘い良い匂いなんだけどね。


私が食べるのを今か今かと皆が見てるんだよね。

これは食べないといけないよね。

それに、私は進化がしたい!今のレベルは149と高レベルになったけど、あと101上げる自信がない……なら!食べるしかない!


「それじゃあ!食べるね!いただきます!」


飴を口にした感想は飴にしてはちょっと大きいから、すぐに噛む事はできなさそうだ。

味は、うん!フルーティな感じで美味しい!?……あれ?!あれ!?


なんか、鼻に抜ける香りが生臭い魚の香りがする!?

あっ!味まで生臭くなって来た……ヤバい口から飴を出したい……いや、飲み込めば……ダメだ!飲み込めない大きさだ!


噛むしかない……けど噛もうとしても身体か拒否反応を起こして噛めない!


口から出すか、いやこれに耐えれば、進化が出来る。

耐えるしかない!


だけど、やっぱり……マズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイ


『りんさん、りんさん、大丈夫ですか!』


あぁ、幻聴かな……なんか……ナユナの声が聞こえる……


『ちょっと、りん君!気持ち悪いなら、吐き出しちゃいなさい』


あぁ、今度は……シンシアさんの声も聞こえる……


《りん!りん!もういいから!オイラ、りんが進化できるレベルまで頑張るから、無理しないでよ~》


頭にクロの声が微かに聞こえる……


あぁ……もう少しで飴が無くなりそうな大きさになって来た。

最後の力で私は飴を噛み砕いた!


あとは飲み込むだけだ!私は一気に噛み砕いた飴を飲み込んだ!


やったー!私はついにやり遂げた!



安心したのもつかの間に、突然の頭痛と顔面に強烈な痛みが走った……私は痛みのあまり、両手で顔を覆った……だけど痛みは、ますます酷くなり、顔を引き剥がされる様な感じの痛みが走った……この痛みは耐えられない……イタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイ……そして私の意識は無くなった……

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