カルセドニーダンジョン⑯

「おはよう。りん」


リースが大きく伸びをしながら、私の方に歩いてきた。


「うん、おはよう。リース」


「りん達の護符のおかげで、昨日は久しぶりに見張り番の交代をしなくてよかったから、ゆっくり寝れたよ。ありがとね」


本当に良く眠れたらしく、リースが嬉しそうにお礼を言ってきた。


「そうか、ちゃんとグッスリ眠れたんだね」


「あぁ、そのおかげで疲れもだいぶとれたからね。力がみなぎってるよ」


そう言うと、リースは力こぶを作って見せてきた。


「アハハ、それは良かったね」


そんな話をしていたら突然グゥーという音がリースの方から聞こえた。


「ハハハー悪いね。どうやら、たっぷり寝たから、腹が空いちまった見たいだ」


「起きた時ってお腹空くもんね。そろそろ朝ごはんが出来上がると思うから、ナユナ達の所に行こうか」


「それはちょうどいい、そんじゃあナユナ達の所に急いで行かないとね」


私達は雑談をしながらナユナ達の所に向かった。

そして、ナユナ達の所に着いたら、ナユナとシンシアさんが忙しそうに朝食の準備をしていた。


うーん、二人とも忙しそうだな、手伝える事がないか聞いて見るかなって事を思っていたら


「あ、おはようございます。りんさん、リースさん」


ナユナが私達に気がついて私達に挨拶をしてくれた。


「おはよう、ナユナ。何か手伝える事ある?」


そんな私を見たリースも


「おはよう、アタイもできそうな事があったら手伝うよ」


「いえ、もう食事は作り終わったので、あとは皆さんが揃うだけなんです。あ、それじゃあリースさんは、ライノスさん達を呼んで来てもらえますか」


「わかったよ。それじゃあ、アタイが呼んでくるよ」


そう言ってリースはライノス達の所に走って行った。


うーん、結局今回も私は何も出来てないな……でも!私には食事が終わったあとに皿洗いをするって使命があるんだった!頑張るぞ!


「それじゃあ、りんさん私達はリースさん達が来るまで待ってましょうか」


「うん、そう言えば今日のメニューはなんなの?」


「今日のメニューは昨日に引き続き、大人数でもすぐ作れる。簡単なスープとあとはチーズを上に乗せて焼いたパンですよ」


「へーそれは美味しそうだね」


そんな話をしていたらリース達が来たので私達は朝ごはんを食べることにした。


「うめぇー!やっぱり、ナユナとシンシアの料理はうまいな」


美味しそうにリースが料理をほうばりながら言った。うんうん、そうでしょそうでしょ、ナユナとシンシアさんの料理はいつ食べても美味しんだからねってな事を思っていたらナユナとシンシアさんが


「そんな大した料理じゃないですよ。でも、喜んでもらえて嬉しいです」


「そうね、そんなに喜んで食べてもらえると、作った甲斐が有るわね」


ナユナとシンシアさんは嬉しそうに言った。


「だけど、ナユナとシンシアの料理は、これで食べ納めなんだな……」


突然リースがしんみりとした感じに言ったけど、そう言えばリース達とはご飯が食べ終わったら、これでお別れなんだな……ちょっと寂しいけど、でもしばらくはギルドに居るって言ってたから、私達が早くダンジョンを攻略すればまた会えるかな。

よし!早く攻略してまたリース達と一緒にご飯をたべるぞ!


「このダンジョンを攻略したら、また作ってあげるわよ。リース、それにおかわりは沢山あるからいっぱい食べなさい」


「おぉ、何か柄でもないこと言っちゃったな、よし!気を取り直して、おかわりくれないか」


「はいはい、沢山食べなさいね」


うーん、シンシアさんが何かお母さんに見えてきたわ。




◆◆◆




「それじゃあ、俺達は地上に戻るよ。貴重な食料ありがとう」


「いいえ、私達も貴重な情報を貰えたから、こちらこそありがとう。食料は日持ちしそうな物と、あとサンドウィッチも入れて置いたから、それはお昼にでも食べてね」


「お!サンドウィッチだって!それは楽しみだねぇ」


「おい、リース静かにしろ!何から何まで、すまないな。それじゃあ俺達は行くよ」


「そう、気をつけて行きなさいね」


シンシアさん……何かいつか、お母さんって呼びそうだわ。

お母さん力が半端ないです。


「りん、アタイらはしばらく、ギルドにゆっくり滞在してるから、りん達がダンジョンから帰ってきたら、一緒に飯でも食べに行こうな。カルセドニーの美味しい店知ってるからさ」


「うん、私も行きたい!ダンジョンから帰ってきたらリースの所に行くね!」


「おう、それじゃあ、アタイは行くけど、ダンジョン攻略頑張りなよ」


そう言ってリースはライノス達の所に合流して出発して行った。




「それじゃあ、二人とも私達も行こうか」


「はい、頑張りましょう。りんさん!」


「ええ、行きましょう、ライノス達にもらった情報があるから、これで迷わずに地下9階まで行けるわよ」



少し不気味な笑みを浮かべたシンシアさんにちょっと引いてしまったけど。

これから、地下9階までノーストップで行くつもりで行くぞ!

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