カルセドニーダンジョン⑫


私達は昼食が終わって、すぐに地下5階に降りた。


「やっと折り返し地点まで来れたわ。今日中に地下5階に来れないと思ったけど、黒金様のおかげで無事降りてこれたわね」


「はい、そうですね。流石、黒金様のお力です」


うーん、これは絶対に二人には、実はタダの棒倒しでした、なんて事は二人には言えないね。


《エッヘン!どうだ!りんも二人みたいにオイラを敬ってよね》


《はいはい、クロは凄いね》


褒めないとクロが五月蝿そうなので、私は適当にクロを褒めた。


それにしても……地下3階までは、他のパーティをよく見かけたけど、地下4階からは人っ子一人も見ないな、そんな事をシンシアさんに聞いてみると


「前にも言ったけど、地下4階からは魔物の強さが突然強くなるのよね。だからそれなりにランクが高いパーティじゃないと、この先の攻略は無理なのよね」


「そうなんですか」


って事は地下にどんどん降りて行けば行くほど魔物を倒すライバルが減っていくわけだね。

これはレベル上げのチャンスだ!

一応、地下4階で魔物を見たら倒していったけど、あまりレベルが上がらなかったんだよね……とりあえずもう一度ステータスを見てみるか……「鑑定」っと



鬼塚 りん


種族 ゴブリン新種 オス


レベル 48/250


状態 快調 【オリハルコン】


剣技 神聖魔法+ 鑑定+ 進化



うーん、一応シンシアさんの協力の下、魔物を倒したんだけど、レベル3しか上がらなかったな。

これはやっぱり、ちゃんと自分の力で魔物を倒さないと経験値が入らないのかな……

よし!次魔物を見つけたら自分の力で倒してみるか、よ~し頑張るぞ!


そんな事を思いながら私はダンジョンの奥に進んで行った。




◆◆◆




しばらく、道に迷った時はクロの棒倒しをしながら私達は進んで行った。


それにしても、地下5階に降りてから一匹も魔物に会わないな、とそんな事を思っていたら……道の奥に緑色の半透明な塊がうねうねと動いていた。


「二人ともストップ止まって!」


シンシアさんも半透明な塊に気づいたのか私とナユナを呼び止めた。


「シンシアさん、あの魔物ってスライムですよね」


ナユナがシンシアさんに確認をとると


「そうよ」


シンシアさんが頷きながら言った。


へぇーあれがスライムなのか、ゲームやマンガだともうちょっと可愛い感じなのに、あのスライム可愛くないな。

なんか、クラゲの死骸みたいで気持ち悪いな。


でも、久しぶりの魔物だ、いつもはシンシアさんに足止めしてもらって倒してたから、今回は私一人で倒すぞ!


「シンシアさん!あのスライムは私一人で倒します!」


私はシンシアさんにそう言って、全速力でスライムの所まで走って行った。


「あっ!ちょっと」


途中シンシアさんが何かを言ってたけど、私はそれを振り切り、さらに全速力で走ってスライムの目の前まで来た。


よし!この距離からなら攻撃が当たるな、それじゃあ名もなきスライムよ私の経験値の為に倒されてくれ。


そして私はスライムを叩き切った、切ったスライムは真っ二つなり絶命した……

と思ったら、二つに分かれたスライムは元気よくうねうねと動き出した。


よく見ると切られた部分の方も元気よくうねうねと動いてる。


うーん、死んでない……とりあえずまた二つとも切ってみるか、さらに私は素早くスライムを切り刻んだ……


そして今度こそ倒したかと思ったら、切り刻んで小さくなったスライム達が元気よくうねうねとしてた……えっなにこれ?!


「りん君って!何でこんなにスライム切り刻んじゃったの!?」


「あぁ、りんさん、スライムこんなに増やしちゃったんですね」


私に追いついた二人が呆れた声で言った。


「え?!スライムって切っちゃダメだったの?!」


そんな二人を見て私は間抜けな声で聞き返した。


「もう、スライムは闇雲に切っちゃうと増えてしまうからダメなのよ。スライムを倒す時は魔法で倒すか、もしくはスライムの核を切って壊さないと倒せないのよ」


「そうだったんですか……ごめんなさい」


うわぁ、私って馬鹿だ……魔物の特徴も知らないで闇雲に切りまくちゃって二人に迷惑かけちゃった……


「謝らなくてもいいわよ。でも今度からは一人で先走っちゃダメよってりん君後ろ!」


突然シンシアさんが後ろって言ったので、私は後ろを振り向いたら、スライムが突然私の顔に貼り付いた!


だけど、私には仮面とバリアがあるから、ノーダメージだけどね。

それにしても、このスライム私の顔に貼りついて剥がれないや、そんな事をしてるとスライムが、どんどん口を塞ぐ感じに移動してきた。

あれ?!これってもしかして、私を窒息死させる気でいる!?

そんなことを考えてるうちにスライムは私の口と鼻に貼りついて……息ができない……やばいこのままだと本当に窒息死する。


「ガッ!ボゥ……」


二人に助けてもらうとして声を出そうとしたけど、スライムが口に貼りっいてて声が出ない……そんな事を考えてる間にも息ができなくて苦しくなってきた、ヤバイヤバイ……そうだ!声が出ないなら念話だ!!


《クロ!助けて!》


《えぇ!いきなり言われても、あっそうだ!スライムなら切ればいいんじゃないかな》


クロ~!それはさっき私がやったよ、その結果がこれだよ。

クロとそんなやり取りをしていたら


「りん君ってスライムに口を塞がれてるのね」


シンシアさんが私の状況を確認するように言ったので、私は首を思いっきり縦に振った。


「わかったわ!いま助けるわね!凍てつく風よ」


シンシアさんが魔法を唱えたら顔に貼りついてたスライムがカチンコチンに凍ってあっさりと剥がれた。


「シンシアさん~、ありがとう~」


「もう、これに懲りて先走っちゃだめよ!」


シンシアさんが怖い顔をして私に言った。


「はい!反省してます!」


私は背筋をピーンと伸ばして反省の言葉を言った。


「りんさん、ご無事でよかったです」


「ごめん。ナユナにも心配かけちゃって」


「いえいえ、ご無事なら大丈夫ですよ」


また、ナユナに心配かけちゃったな、それにシンシアさんにも心配かけちゃったし反省しないとな。

うん!これからは、よくわからない魔物に会ったら、様子見をちゃんとしないとな。


《りん、無事でよかったね》


《あっうん、何とかね。シンシアさんが居なかったら窒息死してたかもしれなかったから、本当に危なかったわ》


《それは、りんが迂闊だったからだよ》


くっ!クロに正論を言われるとはぐうの音も出ないわ。


その後、ナユナとシンシアさんの魔法で私が分裂させたスライムを処理しをしてくれた。

そして、後から聞いた話だけどスライムは正しく倒さないと分裂して増えたスライムが攻撃してきた敵に向かって一斉に口や鼻を塞いで窒息死させてその後に殺した敵を食べる性質を持っていたらしい。



うーん、窒息死しなくてよかった、シンシアさんが居てくれて本当に良かったよ。怒られた時はかなり怖かったけどね……

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