カルセドニーダンジョン⑩



私はクロから、魔物を自分で倒さないと経験値が入らない事を知らされてから、大広間を探しつつ途中魔物が出たら、シンシアさんの氷の魔法で魔物達の足止めをしてもらって、剣でちまちまと魔物を切って倒して行った。


うーん、それにしてもこんな倒し方で経験値が入るなんて、なんて楽なんだろう。

しばらくは、シンシアさんに魔物の足止めしてもらって私がとどめを刺す事にしようっと。


そんな事を考えながら、私は魔物を倒していった。


「これで最後かな」


ここに居た最後の魔物を切ったら光の泡になって消えていった。

うーん、アイテムドロップは無しか残念。


「りん君お疲れ様」


「りんさんお疲れ様でした」


私が魔物を倒し終わったら二人が労をねぎらってくれたけど、でも私って大した事やってないんだよね。

寧ろシンシアさんの方が働いてたと思うんだけどね。


「シンシアさん、魔物の足止めありがとうございました。すごく楽に倒せました」


シンシアさんに私はお礼を言ったらシンシアさんは満足げな顔した。


何度も言うけど、本当足止めしてもらわないと、私の攻撃が当たらないんだよね、特に飛んでる魔物にね。

だから、魔物を魔法で足止めしてもらうと確実に攻撃が当たるから、そこからはクロで一撃なんだよね、なんたってなんでも切れる剣だからね。


「それはよかったわ……こういう倒し方をしてると貴族の依頼を思い出すわね」


「貴族の依頼ってどんな事をするんですか?」


「そうね一言で言うと、レベル上げの手伝いね」


「私がやってもらってるのとあまり変わらないですね」


「りん君はいいのよ。だけど貴族はプライドが高い人が多いから、だから、結構ストレスが溜まるのよね。それにりん君見たいにはいかないから、足止めしても一撃で倒せる訳でもないから、魔物もある程度弱らせないといけないしね」


確かに貴族相手だと気を使わないといけないし、それプラス魔物を弱らせないといけないのか、それは嫌だな。

私は報酬が良くても絶対にそんな依頼受けたくないな。


「確かに気を使いそうですね。貴族相手だと」


「そうなのよ。貴族って傲慢な人が多いからね。まぁこういう依頼はSランクに多いから、それが嫌でAランク止まりでいる人も居るのよね」


はぁ~っとシンシアさんはため息をついて言った。

なるほど、いろいろと大変なんだなSランクって、まぁシンシアさんには悪いけどDランクの私には関係の無い話だけどね。


「それは大変な依頼でしたね。Dランクのわたしには一生縁がない依頼内容ですね」


「うーん、どうかしらね。ナユナさんの場合、空間魔法があるから、いつか貴族からの依頼が来るかもしれないわね」


またちょっと悪い笑みを浮かべながらシンシアさんは言った。


「えぇ、それはちょっと……」


ナユナは戸惑った表情になった。


「あと、貴族からの依頼って断れないのよね。その時は覚悟しておきなさいね。二人とも」


「えぇ……」


ナユナは情けない顔をして、そして情けない声を出していた。


うーん……なんか嫌なフラグがたったような気がする。

これは、ナユナにもし貴族からの依頼が来たら依頼が終わるまで別行動させてもらうっと。

だって、仮面を付けてる、私が居たらきっと怪しい奴め仮面をとれって言われたら、私がゴブリンだってバレちゃうしね。


「さてと、そろそろダンジョン探索を再開しましょうか」


シンシアさんがそう言ったので、私達はダンジョン探索を再開した。




◆◆◆




魔物を倒しながらダンジョンを探索していたら、かなり開けた場所に着いた。


「ちょうど野宿に最適な場所に着いたし、今日の探索は終わりにしましょうか」


「そうですね。時間的にもちょうど夜ですから、いいと思います」


ナユナは時計を見ながら言った。


「二人がいいなら、私もOKだよ」


「それじゃあ決まりね。今日はここで野宿にしましょうか」


という訳で私達はこの場所で野宿をする事にした。


そしてなぜか、シンシアさんがキラキラした目で私を見ているのだけどなんでだ?

そんなキラキラした目で私を見ながらシンシアさんは


「こういった魔物が出る場所で野宿する時には最初に安全を確保する為に護符を張るのよね。という訳でりん君!結界を張って見せて私に!」


さっきまでキラキラした目だったシンシアさんが、今はギラギラした目で私を見ていた。

クロごめん、クロのこと情けないって思って、確かにあの目は怖いわ。


「シンシアさん、大した事じゃないのでそんな目で見ないでください。結界っとこんな感じでいいですかね」


私は開けた場所全体に結界を張ったら、その場所全体に淡い光が湧き出した。

それを見た、シンシアさんが呆然として見ていたと思ったら次の瞬間


「こっこれが!りん君の結界!私はまた奇跡を見たのね!」


と言い出したので、めんどくさい事になる前にナユナの方に私は向かった。


《あっりん、逃げるなんて狡い、オイラの時はちゃんとしてくれなかった癖に》


クロが言ってきたけど、私は無視をしてナユナの方に向かって行った。


「ナユナなんか手伝える事ある?」


「えっと、夕食を作りたいんですけど、お水を出せる。シンシアさんがいまあんな感じなので、しばらくは何も出来ないですね」


ナユナはちょっと困った顔をして言った。

確かに、シンシアさんが正常な状態に戻ってくれないと夕食も作れないか。


「ちょっと、シンシアさんに回復魔法神聖魔法を掛けてくる」


「えっと、魔法でなんとかなるものでしょうか?」


「多分大丈夫だと思うよ。私の回復魔法、一応、状態異常も回復できるしね」


そんな訳で私はシンシアさんに回復魔法を掛けてみた。


「シンシアさん元に戻ってヒール!」


「あぁ、なんて心地のいい光なの……これが神聖魔法の力なのね!」


あっ逆効果だった……これはしばらくそっとしておくのが正解だったわ。

仕方が無いので私とナユナは、シンシアさんが正常に戻るまでしばらく見守ってた。



しばらくすると正常に戻って顔を真っ赤にしたシンシアさんが


「……二人とも今度から、私がりん君の魔法で変な感じになったら、私の事を引っ叩いてちょうだい!そしたら元に戻ると思うから」


果たして、引っ叩いて治るんだろうかあの状態は、それよりも……


「流石にシンシアさんを引っ叩く事なんて出来ませんよ」


「わたしもシンシアさんを叩く事なんて出来ません」


ナユナも同じ考えだったようだ。


「やっぱりそっか~それじゃあ私が何とか自分を抑えないといけないわね」


とシンシアさんは溜息をつきながら言った。

うーん、ここはシンシアさんに頑張って貰わないとね。


「シンシアさん、さっきの事は忘れて夕食を作りませんか」


落ち込んでたシンシアさんはナユナの言葉を聞いた途端に


「そうよね。いつまでもクヨクヨしててもしょうがないわよね。ナユナさんありがとうね」


「いえいえ、それじゃあご飯を作りましょう。りんさんは座って待ってて下さいね」


そう言ってナユナはシンシアさんと夕食を作りに行った。


うーん、毎回二人が料理する時に思うんだけど、自分の女子力の無さに呆れてしまうな……よし、絶対にダンジョンから出たらナユナに料理を習って女子力アップするぞ!


あっでも、そう言えば、私って今オスか……

まぁ!オスだけど料理が出来ないより出来た方がいいからね……うん、頑張ろ!


そんな事を決心していたら


「りんさん、夕食ができましたよ」


えっはや!ご飯作るの早くない?二人ともこれが女子力ってやつなのかな……


「ご飯作るの早くてビックリしたよ」


「今日の夕食は、昨日の残り物を使って作ったんで、そのおかげで早く作れました」


流石料理上手、残り物アレンジなんて私には出来ないわ、流石ナユナとシンシアさんだな。


「今日のメニューてなんなの?」


「それはですね。昨日のビーフシチューを使った煮込みハンバーグです」


「簡単なメニューでごめんなさいね」


とシンシアさんが言ったけど結構凝ったメニューだと思いますよ。


そしてテーブル上には美味しそうな煮込みハンバーグと新鮮なサラダとこんがりと焼けたパンが乗っていた。


「昨日に続き凄く豪華な夕食だね。二人とも凄いよ!」


「わたしはちょっと手伝っただけなので、凄のはシンシアさんですね」


「そんな事ないわよ。ナユナさんも手際が良くって助かったわ、それじゃあ食べましょうか」


「「はい、いただきます」」


食事の挨拶をしてから、私達は夕食を食べ始めた。

私は煮込みハンバーグを食べたけど、うん!ハンバーグの中にチーズが入っててとても濃厚で美味しい、それにスープをパンにつけて食べたらパンがちょっとしっとりして美味しい!こんな美味しい物をダンジョンの中で食べれるなんて、とっても幸せだな。


そんな訳であっという間に私は夕食をたいらげた。


「ごちそうさま、やっぱり二人とも料理が上手なんだね。とっても美味しかったよ」


「喜んでくれて良かったわ」


「はい、わたしもシンシアさんのビーフシチューのおかげでこんな美味しい煮込みハンバーグが食べれて幸せです」


ナユナが幸せそうな顔で言った。


「それじゃあ、私は料理の手伝いは出来なかったから、今回も食器洗いをするね」


「それじゃあ、よろしく頼むわね、りん君」


そう言うとシンシアさんは、木のバケツに魔法で水を入れてくれた。

それじゃあ、料理は手伝えなかったけど、皿洗いなら慣れて来たから超スピードで終わらすぞ!


「りんさん、わたしも手伝いますよ」


「大丈夫、大丈夫、皿洗いなら慣れてきたからすぐ一人で終わらせられるから、ナユナはシンシアさんと食後のお茶でも飲んでて」


そして私は食器を超スピードで洗いだした。


洗い物があっという間に終わったので、ナユナ達の所に戻ってナユナに食器を渡したら。


「洗い物ありがとうございました。りんさんもシンシアさんと一緒にお茶でも飲んで一休みしてください。その間わたしは今日の寝床を作っちゃいますね」


「うん、よろしく頼むね」


ナユナからお茶を受け取ってお茶を飲みながらナユナが天蓋付きのベッドを出してるところを見ていた。

相変わらず、すごい魔法だな空間魔法って。



そんな訳で、私達は今日もナユナが出してくれたベッドに横になり眠りにつくのであった……


あっいま思ったんだけど、プライベート空間を作るために天蓋付きのベッドを買ったって言ってたけど……それなら、テントでも良かったんじゃないか。

二日目にしてそんな事に気がつく私であった。

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