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「ここがオレが、今借りてる部屋なんだ」


そう言ってライカさんは、ドアを開けた。

中を見てみると、ジルコンのギルド宿舎とあまり変わらない造りだった。


そう言えば、ナユナがジルコンの宿舎で言ってたけど、お風呂付きの部屋の値段って、確か金貨1枚とか言ってたな。


やっぱ、Sランクってお金もってるんだな、凄いな、私はライカさんの顔を見ながら思った。


「どうしたの?オレの顔なんか見て」


「いや、なんでもないです」


Sランクの人ってこんないい部屋に簡単に泊まれるなんて、お金たくさん稼いでるんですねって下衆な事を考えてたなんて言えないけどね。


「そうか、オレの顔に惚れたのかと思ったよ」


前世だったらキャーキャー言ってたかもしれないけど、今は……


「うーん、それはないですね」


「ハハハ、即答か、まぁあとりあえず、お風呂に入ってきなよ。奥の扉が風呂場だから」


「それじゃあ、お風呂お借りますね」


「のんびり入ってきなよ。オレは先にナユナちゃんの所に行ってるから、鍵ここに置いておくから、部屋を出る時、鍵かけておいてくれる」


「はい、わかりました」


私の返事を聞いた後にライカさんは部屋を出て行った。


「やっほーい!お風呂だ、お風呂だ!」


ついつい嬉しくて、独り言を言ってしまった。


私は身体を洗って、湯船にゆっくりと入った。


あぁ、やっぱり、お風呂は最高だな……それにしても、ライカさんに会えてラッキーだったな、会えなかったら裏の井戸で水浴びだったし、それに……ライカさんが言ってたけど、裏の井戸は大規模依頼の時は人が沢山いるって言ってたから、うっかり仮面でも外してゴブリンだとバレたら、即討伐対処になる所だったよ。


それに何よりもライカさんに会ったおかげで、こうしてゆっくりとお風呂に入れる事が一番嬉しいけどね。


そんな事を思っていたら……


《りん!オイラも洗ってよ。オークの返り血とかで汚れてるから、気持ち悪いんだ》


《ええ!剣って洗っていい物なの?!なんか、錆びそうで怖いんだけど》


《大丈夫!オイラはそこら辺の剣違って、ゴシゴシ洗っても錆びないよ》


まぁ、クロは神武だから、簡単には錆びないだろうけど……でも、剣ってなんかこう布みたいな物で拭くイメージなんだけどな。


クロがゴシゴシ洗っても大丈夫って言ってるから、洗ってあげるか。


私はブラシでゴシゴシとクロを洗ってあげた……


《お客さん、お痒いところはございませんか?》


《なんでそんな事聞くの?》


《いや、この世界にあるか分からないけど、前世で髪を切ったり洗ってくれたりしてくれるお店があるんだけど、髪を洗ってくれる時にかならず言ってくれるんだよね。だから何となく言ってみただけ》


《へ~そんな所があるんだ……じゃあ、左の刃の部分をゴシゴシして》


《はいはい、じゃあ、じっとしてて下さいね。お客さん》


私はクロがゴシゴシして欲しいって言った所を念入りに洗ってあげた。


《ふぅー、これでどう?満足してくれた》


《うん、りん!ありがとうね》


《また、汚れたら洗ってあげるからね》


《その時はまたお願いね、りん》


さてと、私もクロもお風呂に入ってピカピカになったから、ナユナ達の所に行くか。


あっそうだ、ライカさんに鍵をかけておいてって言われてたんだった、忘れる所だったよ。


ガチャっと鍵をかけて、私はナユナ達の所に向かった。




◆◆◆




うわぁ、食堂めちゃくちゃ混んでるな……さてとナユナ達は何処かな

私がみんなを探していたら


「りんさ~ん!こっちです!」


ナユナが手を振って居場所を教えてくれた。


「りんさん、ライカさんと会っていたんですね」


「偶然、入口で会えたんだ。そのおかげでお風呂に入れたから、ラッキーだったよ。あれ?そのライカさんは何処にいるの?」


「ライカさんなら、ちょっと用事が出来たからって言って受け付けカウンターに行ったよ。それにしても、りんってあのライカさんと知り合いなんだな、凄いな」


「りん、ガイったらライカさんに会った時凄かったのよ。りんにも見せてあげたかったわ、あのガイの慌てよう」


「フフフ、本当に凄かったですよね。ルフラさん、あとアイザックさんも凄かったんですよ」


「しょうがないだろ。なんたって、ライカさんは俺達の世代の憧れの存在なんだから」


「うんうん、ガイの言う通りだよ。まさかこんな所で会えるとは思っても見なかったからね」


ガイは想像がつくけど、負担冷静なアイザックが慌てるって凄いなそれだけ二人の憧れの人なんだな、ライカさんは


「私も二人が慌ててるところ見てみたかったよ。そう言えば、みんなギルドに報告は終わったの?」


「さすがにもう、慌てたりしないよ。その報告は、今、ライカさんがしてくれてるよ」


「そのおかげで、オレもここで待ってるんだ。あとオレも、もう慌てないよ」


そうか、だから、ライカさん居ないのか


「そう?それはちょっと寂しいかな」


「「ライカさん!」」


ライカさんが声をかけたら二人とも勢いよく立ち上がってお辞儀をした。

なるほど、これは最初にあった時はもっと凄かったんだろうな。


「りんちゃん、ナユナちゃん達から聞きたいんだけど、ボスオークを倒したって本当?」


「あっはい」


「それ、ご飯を食べたあと、ナユナちゃんと部屋でゆっくり教えてくれる」




うーん……これは面倒くさい事が起きそうな予感だぞ

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