首都高伝説

箱丸

第1章 サターントレノ編

第1話 車好きになった理由

「ねぇ、母さん。大黒いこ!」

 僕は母さんを説得して大黒PAに連れていってもらう。

 つい先日、父さんに連れていって貰ってから毎日のように連れていって貰っている。それほど好きになった。

 僕はたった1台、一目惚れした車があった。

 それは白の日産・スカイライン2000ターボRS-Xだ。ホイール以外、外はノーマルだった。

「なんだい坊っちゃん。そんなにウチの鉄仮面ムスメにでも惚れたか?」

 中から出てきたのはかなりのお年をお召していた人だった。

 あれ……、どっかで……?

「肉屋のおじいちゃん!?」

 家からすぐ近くにある肉屋のおじいちゃんだった。

 そこから質問攻め。全部返してくれた。


10年後……。

「ねぇ、星也。肉屋のおじいちゃんが……」

 俺が高3になったとき、突然の訃報だった。

「それでね、遺書に星也に車を譲るって……」

 それも突然すぎた。

「だから、早く行ってらっしゃい。待ってるから―――……」

 母に見送られ、家を出た。

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